2話:俺、魔法学園になりまして
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目が覚めた時、男は自分が魔法学園になっていることに気が付いた。
女神との会話はしっかり頭に残っている……自分は魔法学園になってしまったのだ。
「あー……まさか学園そのものになるとはなあ……いや、正確に言えばコア、か」
魔法学園のコア。そうとでも称すべきものに男はなっていたのだ。あの女神さまの前に居たときと同じような白く輝く珠の姿。ただ中空に浮いているだけの自分を囲む建物は、どうしようもないくらいの掘っ立て小屋。
【魔法学園ヤマダ概要】
・エネルギーコア(レベルMAX)
・仮校舎
―土地を掌握できていません!―
―土地の掌握を行いますか?―
なんだかどうしようもない感じだが、ひとまず何をすればいいかの指標はある。
「掌握してくれ」
―土地の掌握開始。60、90……100%。土地の掌握完了。魔法学園としての基礎が完成しましたー
「ふーむ?」
メッセージが出ると同時に、男の……いや、コアの視界は開けていく。まるで上空にカメラでも設置したかのように俯瞰出来たのだ。
そうすると、自分が今何処にいるかはっきりと見えてくる。
「なんだこれ。絶海の孤島……?」
広さはそれなりに見える。見えるが、コアとほったて小屋以外には何もない。
そして周囲は広い海……見渡す限り水平線以外は何もない。
こんなところで学校など開いたって、渡り鳥すら来るかどうかも分からない。
「ひでえよ女神様……いや、酷いのは俺の現状か。どうすんだよコレ」
―土地の掌握完了。魔法学園ヤマダ、各種メニューを解放します―
【魔法学園ヤマダ全体メニュー】
・学園施設作成・拡張
・人材創造
・研究
・特殊
コアの前に表示されたメニューはなるほど、この魔法学園を名乗るには詐欺過ぎる環境をどうにかしてくれるものであるようだ。
まずは学園施設作成・拡張。これはこのほったて小屋をちゃんとした建物に出来たり、他の色々な施設を作れるようだ。
「校舎に研究棟、寮……お、ダンジョンなんてのもあるぞ。凄いな……」
次に人材創造。このメニューを開くとコアは「うっ」と唸る。創造というから普通ではない予感はしていたが、想像以上に普通ではない。
「コアの魂とエネルギーを分割して一族とでも言うべき存在を作り出す……? 分身とかじゃなくてマジで作るのか。やべー香りがプンプンするけど、まあ要はヤマダ一族ってことか……いや、血の繋がりはないんだろうけど。いいのかよ女神様……」
とりあえず放置して、次は研究。これはどうにも学園に必要な各種のものを作り出すことが出来るらしい。特にこれ限定とか、そういう制限は無し。コアの想像力が試されるといえる。
最後に特殊。これは選んでも何も反応せず、今は何も出来ないようだ。
「うーん……まあ、いきなり現れた魔法学園なんてものをどうにかするのに人材が必要なのは確かだけど……まずは学園そのもの、だよなあ」
箱も無しに人だけいてもどうしようもない。
コアがメニューから「校舎作成」を選ぶと、島内のミニマップらしきものが表示される。
どうやら自分のいる場所はコアルームとかいう名前らしいが、そこに重ねて作成しようとすると「コアルームが取り込まれますが構いませんか?」と警告画面が表示される。
「んー……構わない気もするけど、生徒がウロウロしてるとこに俺を置いとくのもなあ。ちょっとズラしておくか」
―校舎作成中……10%……―
考えるに、コアルームは生徒の目に触れさせないほうがいい。
となると、絶対に守れる場所がいいが……そうするとやはり教師のいる場所だろう。どうせ教師は人材創造で作ることになるから。
「よし、決まりだ。教員棟作成開始」
―コアルームが取り込まれますが構いませんか?―
「いい感じに取り込んでくれ。実行」
―教員棟地下に「コアルーム」を移動、生成します。教員棟作成中……5%……―
「まだ結構時間かかりそうだな。いや、しかし楽しいなコレ。こういうタイプのゲーム、時間が溶けるんだよな……あと必要なのはなんだ? ダンジョンはまだ早いよな。お、購買は別棟扱いなのか。うーん、魔法の森に聖なる池……中庭なんてのもあるのか。ヤバいな、ここからは俺のデザインセンスがもの言うじゃないか……」
自分で考えるには少し面倒そうだが、他者を介在させたくもない。ないが……それが自分から生まれた同士であるなら……?
コアはそう考えると、人材作成のメニューに目を向ける。
向けて……そこで考えるのだ。独りよがりではいけない、と。
「まずは落ち着け、俺。異世界基準で何かをいきなりやろうとするのは、辛いの初めてな人の口にハバネロをぶちこむが如き所業だ……まずはこの世界のことを知らないといけない」
研究項目を選ぶと……「世界知識」と入力してみる。
―世界の知識に関する研究です。常識や風習、世界情勢などについて研究、学習を行います。よろしいですか?―
「よっしゃ! 早速頼む」
―情報収集、分類中……100%。結果をコアに転送します―
「おお、無いはずの脳がクラリと揺れるぜ……でもこれで大体分かってきた! よーし、どんどんやるか!」




