14話:世界のみなさーん! 魔法学園ヤマダですよー!
本日二回目の更新です!
拡声魔法。緑魔塔で発明されたその風魔法が使われている。
いや、それだけではない……飛んでいる。男が空に浮かんでいる。
その事実に待ち構えていた魔塔の魔法使いたちは愕然としていた。
「飛行魔法、だと……馬鹿な、一体どうやって」
「いったい何者なのだあの男は!」
ざわめく魔法使いたちを見下ろしながら、その男は……ダリアン校長は「ふむ」と頷く。まあ、予想通りの状況ではあるしキリアンの先程の行動が終わるまで透明になっていたのでしっかり何処に誰がいるかも観察していた。
「どうやら見学者も多数いるようじゃが……まあ、構わんか。さあ、招待状の所持者と、その同行者の諸君! 君たちは魔法学園ヤマダへ入学する権利を手に入れた! 此処から先は驚くような体験の連続じゃろう! 学園は君たちにあらゆる学びの機会を与えることを校長たる儂……ダリアン・レイスの名の下に約束しよう!」
その言葉と同時に、今まで何もなかった場所に巨大な浮遊島が現れる。
気配も魔力も感じなかったはずだ……なのに、そこにあるのは見逃すはずもない圧倒的な存在感と魔力を放つ空に浮く島と、その上に立つあまりにも立派過ぎる建物の数々。高い城壁で囲われたその浮遊島の正門が開いて……集まった者たちは、誰も驚きのあまり声すらも出ない。
これこそが魔法学園ヤマダなのだと分かる。分かってはいる。
だがそれでも、あまりにも……あまりにも、圧倒的だ。
こんなものを有する魔法学園ヤマダ……その事実だけで魔塔の魔法使いたちは気圧されていた。
当然だ。こんなもの、都市程度を墜とす戦力程度ではどうにかなるはずもない。
(くそっ……完全に元老会のミスだ! あのダリアンとかいう男だけでも未知数……!)
待ち構えていた騎士団たちも同じだ。此処で突撃したところで、あの未知の場所を攻略できるのか?
答えはどう考えても否だ。
だから魔塔の魔法使いたちも騎士たちもこう考える。
この情報を持ち帰るべきだと。此処で戦端を開くような真似だけはやってはならないと。
(……とまあ、そんな顔じゃなあ。うーむ、此処まで綺麗に予想の範疇とは)
庶民だ貴族だと騒ぐアホが出ることも予想の範疇だ。あえてそういうのを今回受け入れることにしたのは、そんなアホが更生可能か否かを見極める意味もある。
いよいよ暴走するようなら本気で退学にするが、教育機関としてはなんとかしたいところでもある。
……などとダリアン校長が考えていると、招待状を持ってもいないし同行者でもない……恐らく茶魔塔とかいう場所の連中だろうが、そいつらが学園を覆う結界に弾かれているのが見える。
「あー、一応言っておくが。招待された者や同行者ではない者は学園結界に弾かれるからのう。丁度今みたいな感じじゃ!」
ダリアン校長の言葉に何処かから笑い声が漏れて茶魔塔の魔法使いたちが犯人を探すが……見つかるはずもない。
「ほれ、どいてくれるかの?」
「うわーっ⁉」
ダリアン校長の放った風が入り口を塞いでいた茶魔塔の魔法使いたちを弾き飛ばし、今度こそちゃんとした招待者たちが同行者と共に入っていく。
元より、あの招待状が一回限りの鍵となっているのだ。それ以外の闖入者など許すはずもない。
最初にキリアンがガツンとやったのが効いたのだろうか、たいした混乱もなく入学予定者たちが入っていくと門扉も閉まっていき……そこでダリアン校長がわざとらしく咳払いする。
「見送りの皆様、そして見学の皆様! 此処から先は学生限定のイベント故、儂らはここで失礼する!」
「なっ……」
「ま、待て!」
「嫌じゃ」
ダリアンと魔法学園の姿が再び消えていくが、騎士団も魔法使いたちも何が何だか分からない。
先程まであんなに存在感を放っていたのに、何処へ消えたのか?
「魔法学園ヤマダ……なんと恐るべき連中だ……!」
「魔塔にこの情報を持ち帰らねば。連中は魔塔の守ってきた秩序を破壊するぞ……!」
魔塔の守ってきた秩序。聞こえないと知っていて……たとえ聞こえていても同じことをしただろうが、ダリアンは彼等の言葉を鼻で笑う。
その結果が女神による世界介入と、魔法学園ヤマダの登場なのだから。
(コアの提示した情報を総合するに、どうにもこの世界の創生神のようじゃが……まあ、であれば望み通りに荒療治をするまでじゃな)
その為に、まずは学生たちに最高の魔法学園生活を送らせなければならない。
世界の常識を破壊し、この世界に魔法を広げていく。その第一歩は……ここから始まるのだから。
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