11話:人型じゃなきゃいいやって思う
本日二回目の更新です。
「混ぜる?」
「そうです。コアの『人材創造』は世界の決まりごとに対する矛盾がなければ何でも設定できるでしょう?」
「だな」
エダムの言う通り、人材創造は比較的何でもできる。コアの魂を削ってはいるが、コア自身をどうにか出来る余地がある。望まないが、望むなら人間の形にだって出来るだろう。望まないけれど。
「で、あれば。エレメンタルドラゴンとか、そういうのも出来るのでは? 精霊と似たようなことが出来る未知なるドラゴン。これは魔法学園のエネルギーの秘密として至極真っ当な理由なのでは? 契約だの召喚だの、そういうのに応じない理由としても妥当ですし、ウルの召喚できるドラゴンとは違うんだみたいなことにも……」
「ふふ……よろしいのではないですか? 念のためですが、占術的な観点からコアのことを探られないように設定を加えるのもよろしいかと」
エダムに付け加えたのは占術魔法教師のオリビア・ハトラー。
真っ黒なウェーブがかった髪は腰の先まで長く、目元が隠れそうなほどに長い前髪をヘアピンで留めている。
紫色の服は何処か神秘的な印象を持たせるのに一役買っているが、第一印象が「魔女」めいているのは何故なのか?
「なるほどなあ。エダムとオリビアの意見を採用しよう。あとはそうだな、ドラゴン形態にも段階を持たせよう。万が一猫じゃないとバレても小竜の姿なら『かわいい』枠を維持できるかもしれない」
「そうですなあ。学園の維持に力を使っているという言い訳にもなるかもしれませぬ。まあ、猫のままでいられるのが一番ではありますがな」
「それな。よし、やってみるか」
名前:エレメンタルドラゴン
役職:エネルギーコア
魔法学園ヤマダのエネルギーコア。その本来の姿はエレメンタルドラゴンと呼ばれるドラゴンの変異種。
精霊のごとき力を扱うエレメンタルドラゴンは学園の始祖ヤマダと共に「理想の学園」を作る為、自身の姿を変えエネルギーコアになることにした。コア形態、世界を見て歩くための猫形態、子竜形態、竜形態に状況に応じて変化可能であり、何処に居ても学園の機能は維持できる。
「こんなもん、か……? テキストは不満だけどまあ、企画案みたいなもんだしなあ」
「なんか僕が考えた最強のドラゴン、みたいな……」
「こら、そんなこと言ってはいけませんよウル」
女性陣には結構ウケが悪いが、エダムは満足そうに頷いている。
ダリアン校長はいつも通りの笑顔で、アダムはムスッとしている……いつも通りだ。
まあ、問題ないということだろうとコアは頷いて。
「作成実行!」
―エレメンタルドラゴンの設定確認……確認中……―
「ん、ちょっと時間かかってるな。やり過ぎたか?」
―実行可能。コアを変化させる選択です。世界情勢に変化を起こす可能性があります。必要な魔力が膨大です。実行しますか?―
世界情勢に変化を起こす可能性がある。初めて見る警告文にコアは思わず考え込んでしまう。
エメレンタルドラゴンの登場が世界に変化を起こす? この世に現れるだけで?
流石にこれは軽く流していいものではない。
「……ウル。ドラゴンは個人主義者だって言ったよな」
「うん」
「イリシア。精霊には基本的に意思がないんだよな?」
「はい、間違いありません。力の差で大精霊と呼ばれたりする個体もいますが、同じです。彼等はあくまで力の化身です」
「ふむ……そうか。ありがとう」
エレメンタルドラゴンの登場が何を引き起こすのか?
それは分からない。分からない以上、やるべきではないのだろうか?
「……コアよ。やるべきでしょう」
「ダリアン? いや、でもだなあ。これはちょっとヤバそうだぞ?」
「元より儂らは世界を変革しようとこの世界に現れたのです。世界そのものを相手しようというのに、情勢如きがなんだというのですか。むしろ積極的に変化をもたらそうではありませんか!」
コアは言葉を失う。ダリアン校長の言う通りであったからだ。
そうだ、その為にこの魔法学園ヤマダの準備を整えていたというのに、今更そんなメッセージが表示されたくらいでなんだというのか。
「実行だ。もう日和ったりしないぞ俺は。世界情勢の変化が何だ、そんなものはこれから滅茶苦茶起こるんだからな!」
―エレメンタルドラゴンを精霊とドラゴンの王として定義します。顕現と共に両種族は王の誕生を本能で感じ取ります。それでも実行しますか?―
「実行だ! 人型じゃなけりゃまあ大丈夫だろ!」
根拠はない。一切ない。けれどまあ、主人公でもモブでもない舞台装置だ。であれば、まあコアの許容範囲内だ。この学園を護る為にも蹴散らす力があったほうが良いのは事実ではあるし。
だから間違っていない。この選択肢は間違っていない、はずだ。
「あー……吸われる。魔力がめっちゃ吸われてる……ダリアン、例のアレは後日でいいよな?」
「勿論です。コアの形の定義こそが学園始動の前準備……その締めとなるでしょうからな」
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