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魔法学園ヤマダ~転生するなら魔法学園とかやりたいって言っただけなのに~  作者: 天野ハザマ


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10話:目立ちたくない。フリじゃないぞ

「まあ、何になるとしても何処かで力を使う機会もあるやもしれませぬ。それを前提にしなければなりませんな」

「うーん、まあ、そうだなあ……」


 そもそも、この学園内でコアは視点を移動させることは出来る。

 出来るが……それとこれとは別だ。テレビで見る感覚と生ライブ感覚の違いというのだろうか?

 出来る限り生徒のことに関わらないようにしつつ、見守ってあげたい。

 モブでいたい、と似たような希望ではあるが「モブだったはずなのに」はやりたくない絶妙な気持ちというべきだろうか。

 だから、そういう意味では嫌われにくい猫は最適解にも思えるのだが……万が一正体を怪しまれた時の理屈付けがいる、ということだ。


「そうですね……普段は猫でよいのでは? 一番無難で、何処に居ても不自然ではありませんからな」

「賛成です。問題はその正体を何と定義するかですが……コアを意識させないようなものが一番良いのではないかと」


 ダリアン校長とアベルにコアが頷いていると、高位森人の女が「あ、でしたら……」と手をあげる。

 イリシア・ハイランド・ノクティカ。精霊魔法を教える教師だが、人間の限界を超えた美しさがある。

 緑色の長い髪は煌き、長い耳は普人のそれとは違いながら、普人にもそれをチャームポイントと思わせるだろう。

 髪の色と同じ深い森のような色の瞳は濃い魔力を湛え、何かしらの魔眼の類であることが分かる。

 浮かべている微笑はその優しい性格を示しており、羽織った身体にフィットしやすいデザインの服はエルフが好む動きやすい服装であり、ケープにはノルティカ大森林なるすでに存在しない場所の出身であることを示す紋様があしらわれている。


「イリシア。良いアイデアがあるのか? 是非聞かせてくれ」

「はい。精霊というのは如何でしょう? この世界に居る精霊たちは基本的に力の塊なので、意志ある精霊というのはそれだけで箔もつきますし」

「精霊か。いいな……姿を変える理由になりそうだ」

「えー、待ってよ。それダメじゃないけど危なくない?」


 召喚魔法教師のウルに言われてイリシアは「危ない、ですか?」と聞き返す。

 ウル・ヴァーミリオン。

 種族は普人だが、常若……魔力の大きさ故に成長の止まった、それ故に召喚魔法を使いこなせる強さを持つ、あくまで見た目だけは少女なそんな彼女はイリシアの意見にあからさまに不満があるようだった。


「だってさ、イリシアは精霊魔法使いでしょ?」

「ええ。ですから何かあった時にコアをサポートできるはずです」

「そこだよ。コアの正体が精霊でしたー、をやったとして。精霊魔法使い志望者は力を借りたがるでしょ。だって精霊魔法ってそういう魔法だもの。コアが忙しくなっちゃうよ」

「あっ……いえ、そうですね。あからさまな力があって方法がありそうに見えるなら、やりたがるでしょう……私の意見は撤回させてください」


 精霊魔法は精霊の力を借りて自分の限界を超えた力を振るうことが出来るが、だからこそ「より強い精霊」と出会うのは精霊魔法使いの命題とも言える。

 そこに「超凄い精霊」などというものがいれば、結果は見えている。


「そう落ち込むなよイリシア。で、ウル。反対意見だけってのはダメだぞ。何かアイデアはあるか?」

「あるよ!」

「おっ」


 元気よく手をあげるウルは、まさに少女のようだ。

 水色の髪と同系色のくりっとした目を持つウルは大きな三つ編みがなんともその元気な印象を強めているが……その恰好もまた、シャツにオーバーオールを合わせた地球寄りのデザインで、その異質さが逆に召喚魔法使いらしさを引き立てている。


「要はさー、利用しようとするのはヤバいと思わせればいいんだよ!」

「うんうん。具体的には?」

「ドラゴン! この世界のドラゴンって個人主義者だから知らないドラゴンが一人増えたくらいじゃ気にしなさそうだし」

「なるほど、ちょっと強そう過ぎるが……まあ、説得力はあるか。いやでもウル。お前もドラゴン召喚できるだろ?」

「うん、出来るよ」

「だとすると精霊と同じことになるんじゃないか……?」

「なるかな? あー……なる、かあ……?」


 前例主義とはいうが、出来た前例があるなら自分も、とは当然思うものだ。

 魔法学園の教師陣の優秀さが仇になったとも言えるが……今まで黙っていたマッチョな男が「いいですかな?」と声をあげる。

 武術教師であるエダム・マッソだ。アダムと比べると身体の幅が倍くらいあるが、筋肉量の違いとも言える。その大きな拳で殴ればゴブリンはそれだけで消し飛びそうな「強い印象」を持つ男で、その精悍な顔とツンツンした赤の逆毛頭は体育会系らしさを更に高めている。


「今の精霊とドラゴン、でしたかな? 混ぜてはいかんのですか?」

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