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代替わり~生まれ変わっても 第3部  作者: 龍冶


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第16話 アビと舞羅、魔物にさらわれ、取り戻しに行く龍神達。そして後に残された真太達のピンチを救ったのは・・・

 

 真太はアボパパから能力が出て来ていると言われていたが、その通りで、最近は近所に住む舞羅の様子は真太の家からでも把握出来ていた。

 アビは火傷が治ると翌日から舞羅の家にやって来て、デートに連れ出していた。この事は、真奈伯母さんは知らないようだ。伯母さんは会社の事務員で、朝から晩まで働いていて忙しそうだし、誰も伯母さんに報告していない。

 真太は真奈伯母さんに、誰か言わなくて良いのだろうかと思っている。言うとしたら、香奈ママが適任だが、ママはデパートにパートに行っているが、仕事と言うより趣味的になって来ていて、パパはママの趣味をやめろとは言えないでいる。だから、あまり家に居ないので、真奈伯母さん同様に事情は知らない。ママは帰ったら慌てて夕食の準備をしたりして、真太が話しかける時間は無い。ママが一息つくと、千佳由佳がママの取り合いをするので、それに真太が混じるのも気が引ける。

 先日、真太はパパにテレパシーで『舞羅とアビの事を真奈伯母さんに黙って置いて良いのか』と聞くと、パパは『成り行きに任せていろ』とだけ答えた。つまり、パパは関知したくないと言う事だ。

 そんなこんなの状態のある日、真太は舞羅に異変を感じた。

 今日もアビと何処かにデートに行っているはずだが、舞羅の恐怖の感覚と同時に気配が消えてしまった。真太は焦った。この人間界には居ない感じである。と言う事はまた、魔物にさらわれてしまったのではないだろうか。アビは何をしていたのやら。おそらく奴より強い魔物にやられたのではないかと思った。真太は生憎、アビの事はその能力では分からなかった。

「パパ、また舞羅がさらわれたみたいだ。気配が無くなった」

 真太はパパに報告しに二階に行った。

「何、お前は分かったのか」

「うん、最近身内の様子は分かるんだ。アビの事は分からないけど」

 アボパパは、難しい顔をして、

「アビの気配は無くなっているな、今朝から。アバが探しているんだ。やられたのかもしれない」

 と言った。真太は驚いた。

「えっ、でも舞羅はさっき、アビとデートに行ったんだよ」

「アビの事は分からないと言わなかったか」

 怖い顔をして、アボパパは訊ねた。

「舞羅の様子でそう感じたんだ。変だよね」

「舞羅がそう感じたのなら、アビに化けたものに連れて行かれたな」

 真太はギョッとした。

「龍に化けることが出来る奴がいるの」

「そういう事になるな。そう言う奴が居るとしたら、俺等もうかうかしていられないぞ。アバがあの出入口の蓋をしたいと思ったはずだな。最近アバは未来が分かるようになったのかな」

「魔物は人間にだけしか取り付けないと思ったけど、違うの」

「まさか、化けているだけだろう。取り付く事が出来るとは思えないが」

 真太は内心、化けた奴なら舞羅にだって分かるんじゃないかと思った。

 そんな話をしている所へ、昼寝から目覚めたイヅが、二階にやって来て、

「アビが魔物に取りつかれて、今朝からうろついていたって、パパが言っているよ。僕は小さくて弱いから、結界の張った家から出るなって言われたんだ」

 と報告した。真太はいよいよ恐怖を感じた。

 何か桁違いの強さの魔物が、この世界に出て来たらしい。

 パパは、

「真太も家に居るんだぞ」

 と言い残して、出かけた。アバの所へ行ったのかと思っていると、千佳由佳を幼稚園に迎えに行っていた。千佳は明後日の土曜が卒園式で、四月から小学校に行く事になっている。楽しみにしているのに、それまでに片が付くだろうか。パパは千佳由佳を家に入れると、やはりアバ達の所に行ってしまった。

 千佳由佳も二階にやって来た。

「舞羅ちゃんがさらわれたって、怖いよう」

「あたし達もさらわれるかもしれないって、パパが言うのよ。そんな事あると思う?真太」

 千佳が聞くので、

「パパがそう言っているのなら、そうなんだろうな」

 真太は答えたくなかったが、この際楽観してもいられない感じである。

 真太はパパの様子は分かるので、イヅのテレパシー能力とで、アマズンの皆の様子を見ていた。


 アボパパはアバの所へ行った。

「おい、お前の息子はどうなっちまったのか」

「霊魂が魔物と入れ替わった。アビの霊魂は無事だと思いたいが、魔界の様子は分からないからな。魔物に食われたら霊魂も無くなるが、舞羅に近寄るのにはアビの体が必用らしいから、さっきまでは無事だったが。さらってしまえば必要ないんじゃないかと思えるな。最悪の場合は、今頃は食われているんじゃないかな、といった所だ」

「くそう、お前、この事は予感していたのか。出入口を塞げればとか言っていたな」

「具体的には予感してはいないが、いやな感覚が有ったな。それに最近、アビは良い子風になっていたし、こういう時は不味い事が起きていただろう。前々から似たような事があったのを、思い出した」

「そうか、それにしてもアビがどうなったか、確かめておかないと」

「どうやって」

 ふて腐れたようにアバが呟いていると、霊界からシンや極み殿迄やって来た。イヅのテレパシーで知った真太は、今から何をするか分かったので、皆に、

「俺もちょっと行って来るから、お留守番よろしくね」

 と言って、慌ててアマズンに向った。


 極み殿は、

「久しぶりじゃな、アバ。アボも居るのか、元気そうじゃないか意外と。おまえも中々しぶといじゃないか、上から感心して見ていたぞ」

 元気ないアバに変わって、アボは、

「これは、これは、北の極みの尊、お久しぶりです。あなたもお元気そうで、とは挨拶できなかったですね」

「構わんぞ、元気そうに見えれば、元気そうだと言ってくれ」

 シンはため息交じりに、

「伯父上、真面目に今後の作戦を言って下さい」

「そうじゃな。作戦だな。この間のと似たようなものだが、アバやイダは行ったことがあるのかな。アバは生身で行ったのか。お前の酔狂さには俺も敵わんな」

 とニヤリとして、

「誰ぞ取り付いても良い人間はおらぬかな。無ければ龍神で・・、とはいかぬのだよ。何せ、御神刀で切られれば龍神も下手をすれば死ぬからな。適当な人間を見繕って来い。そいつに俺等が霊魂になって憑りつき、御神刀で取り付いた人間を刺せば俺等は地獄に行ける。刺した奴も行きたければ、手をつないでおく。行きたくなければ御神刀をとり付いた人間に持たせて刺す。そうすれば御神刀も持って行ける」

 アバは、

「分かった。イダ、適当に信用のおけそうな人間を連れて来い。ところで、アボはどうする。お前はもう直ぐお迎えが来そうな気がするから、現世に居たいんじゃないか」

「よく言うよな。俺が行ってもさほど役には立てまい。お前らを刺す役で十分だろう」

 そこへ例によって真太がやって来た。

「俺、行きたいな。この前も一人で行ったんだし。良いだろパパ」

「真太、家に居ろと言っただろう。今回は今までになく強い相手だぞ。家に帰っていろ」

「でも、四人必用じゃないかな。極み爺とシンが御神刀を持って、アバと僕がアビと舞羅を抱えて帰らなきゃ」

 アバは、

「イダに行かせるから。真太は家に居ろ」

 にっと笑いながら真太に言った。

 どうやらついて行けそうもないと思って諦めた真太だが、でも家には帰りたくないし、いやな予感はあるしで、

「じゃあ、俺はパパとここで皆を待っているから」

 と言って、何が何でも居座ろうと思った。

 アバは真太を見て、

「好きにしろ」

 と言うので残って良いらしいと、ほっとした真太。アボパパはため息をつく。

 そこへイダが人間を4人連れて来た。彼は作戦を把握していて、四龍で行く事は分かっていたらしいし、4人目は自分だと自覚している。

 手筈通り四龍は地獄へ行き、真太はパパと皆を待つ事にしたが、真太の嫌な予感は的中した。

 アバとイダは急に目覚めたが、時間的に早すぎると思い、真太とアボパパは身構えた。すると龍神に姿を変え、真太達に火を吹きだした。炎は龍神の青白い炎ではなく、地獄の業火の炎である。真太も龍になり炎を吹き返すが、まだ大きさが全く違っていて歯が立たない。異変に気付いたアマズンの他の龍神達が集まってきて、真太に加勢をして炎で応戦してくれた。

 アボは以前からの体調の悪さから、炎を噴くパワーは無かった。『パパ、僕たちの後ろに居てね』真太はテレパシーでパパに言っておいた。パパはため息とともに後ろに下がった。皆で応戦しても、龍神の最強である二龍神の器に入った魔物に対し、その他大勢とまだ子龍の真太では、段々先が心細くなって来た。しかし皆必死である。

 そこへ、イヅがやって来た。真太はぞっとした。こんな時に一番来ないで欲しい奴の登場である。一体どういうつもりなのか。見ると、何だか目が座った感じ。プッツンとも言う。そして龍に変わる事も無く、火を吹きだした。

 真太はそれを横目で見ながら、どういう身体構造になっているのかと、不思議に思った。それにしても、その吐く炎は、真太達龍の炎とは違ってほぼ色は無く、光の様である。そしてその光線的な炎に当たった魔物に取りつかれた二龍神は、飛び上がって逃げまどう事となった。龍神の炎よりダメージが大きいらしい。10秒も当たらぬうちに、飛び上がったあげくにばったりと落ちて、動かなくなった。どうやら取り付きをやめて、龍の体から出て逃げ帰ったような感じである。皆で倒れた二龍神の周りに集まり確かめて、やはり抜け殻だけだと確信した。

 真太はイヅに、

「凄いやイヅ、お前の能力は本物だね」

 と言って、褒めたが、その時はもう目を開けたまま倒れてしまっていた。

「イヅ、頑張りすぎて気を失ったんだな。ありがとう、イヅ」

 イヅの周りに集まった龍神達も、

「この子は天才だな、力を使い果たしたらしい。真太、アマズン川に浸からせた方が良いな。回復が速くなるから」

 と教えてくれ、なるほどと、真太とパパとでワニを追い払いながらアマズン川に浸からせた。

「パパ、イヅって凄いね。俺、イヅが次のリーダーじゃないかなと思うけど、どう思う」

「そうだな、どっち道、決まるのは最強の龍神だからな。今の所アバとイダを別にすれば、イヅが最強のようだな」

 と言って笑った。

「これで少し俺の心配の種が減ったよ、真太。ママから真太は日の国に居させるんだ、アマズンには行かせないと言われていて困っていたんだ。ママに報告しようかな」

「うん、良かったね、パパ」

 しばし、ほっとしていたアボと真太だが、地獄に行っている四龍神の方は、どうなっているだろうか。


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