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代替わり~生まれ変わっても 第3部  作者: 龍冶


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第12話 真太はパパ達龍神の歴史を知る、そしてジェシカの正体が暴かれる

 

 翌朝の事である。

 アボパパが早朝、出かけようとしているので、真太は慌てて後ろから声を掛けた。

「シンが、俺とイヅも勉強会に来いって言ったよ」

 とついて行きたい風に言うと、

「え、ついて来るのか、お前達。しかし、まだ子供すぎやしないかな。いやはや」

「連れて行きたくないの。パパ。シンが俺が粗忽だから本物の御神刀でちくりとなったら困るから、剣術を教えると言っていたよ」

「イヅも真太が行くなら行く。イヅはテレパシーでイダパパと直通だけど、実戦は行かなきゃ教えてもらえないし」

「そうだね、イヅがテレパシーで勉強しているのに、俺がしないのは年上なのに変でしょ」

 二人して食い下がると、アボパパは仕方なく連れて行くことにした。

「行儀良くしていろよ。パパをからかったりするなよ。真面目に授業するつもりだからな」

 どうやらアボパパは、真太達を前に真面目な授業をするのが照れ臭いらしいと、イヅは察していた。だが、真太は気が付いてはいなかった。そこの所だけでも、アボパパは何とか踏ん張れそうだと思えた。


 アマズンに行ってみると、アマズンの方の生徒はアビだけだった。

 真太は驚いたが、情報通のイヅにより、昨日のシンが倒していた魔物は、何とアビの仲間だったはずの龍達で、龍と魔物とのミックスだったと知った。アビの様子を窺うと、何だか深刻そうである。

 授業の前に、アバとアボはテレパシーでこそこそ話し合っている。やはり子供が聞いては不味い内容なのだろう。こそこそが終わると、アボパパは気を取り直したように、

「では、今から龍神の掟と、霊獣界と魔界の争いの歴史を話そうかな。退屈で眠くなったら遠慮なく眠って良いからな。先生は気にしない」

 真太はパパの言い方が可笑しかったが、笑えばきっと切れてもう来るなと言われるだろうと、真面目に聞いておいた。

「では、龍神の掟について、『龍神どうしで争うことなかれ』だ。これしか無い。殺し合いなどもっての外。喧嘩もダメ。覚えられるだろう。これしか無いからな。喧嘩すれば、他の仲間からは相手にされなくなるし、殺せば、死んでも霊界に戻れぬ。これが本物の怨霊龍だ。北の極み殿は、自ら霊界に行かなかったのだし、シンも霊獣界でやり残したことを終えるまで自分の意志で行かなかった。行こうと思えば行けたからな。本物の怨霊龍は行きたくても行けない。この違いも判るよな。では次、霊獣界と魔界の争いの歴史」

 この歴史の方は、話が長かった。アバや、アボがまだ若く、アビよりももっと若く、真太達よりは年上だった頃、魔界の魔物達が済む地獄の出入口三か所は、固く閉ざされていた。しかし、閉ざされていた筈の出入口が開き、鬼や魔物が龍神達霊獣界に居る者を襲い出した。

 そう言う話になった時、真太は、

「なぜ、出入口が開いたのかな」

 と、ぽろっと口走ると、アボはじろっと真太を見たが、見ておいて無視して話をつづけた。

 真太はこの眼つき、日ごろのアボパパを見ているので、開いた原因はアボかアバ、あるいはその辺りの龍神に関係ありと分った。

 アボやアバは、若い頃は年齢の近かった北の極みの尊や、北の大露羅の尊達と仲良く空を翔けて、世界中を回り、それより歳の行った龍神は住処の色々な川でグループで暮らして居た、とアボは話を続ける。真太はつまり、うろついて彼女を見繕っていたと思った。そんな雰囲気の話を、前世に極み爺さんが言っていたと記憶している。

 そんなある日、地上でその頃のアマズンのリーダーや年嵩の龍神達が魔物と戦い出していて、上から見て、どうやら龍神達が劣勢なのが分かり、慌てて降りて、戦いに加わった。と言い出すアボ。真太は思う。遊んでいるうちに、戦いが始まっていて、気が付いたら負けていたんだろう。

 リーダーを失ったアマズンの龍神一族は、次のリーダーは老龍を選ぶより、その時一番強い龍神が成るべきだと言う事になった。最後に戦うのは最強のボスでないと、都合が悪いと分かったと言う事だろう。それで、アバかアボのどちらかと言う事になり、アバが拒否して、それならアボで、と話がまとまりそうになる。だが、アボは誰も俺の言う事は聞かないだろうからと、嫌がってみた。実際、アボの意見が通った事は無かった。そう言う訳で、アボがリーダーと言う事になった。真太が聞いていても、ため息の出る話である。その後は、もうすでに真太達も知っている話で、簡単に終わった。

 アボパパは言いたくなさそうに、質問はあるか尋ねた。真太はあったが、質問しない事にした。聞けば、おそらく帰ってからは機嫌の悪いパパになっていると思った。その代わり、アビが聞いた。あいつ、空気読めないなと真太は思う。

「あのう、閉ざされていた地獄の出入り口はなぜ開いたのでしょうか」

「聞きたいか。仕方がないから話しておこうかな」

 アボは諦めたように言った。簡単に説明すると言うアボ。

 要約すると、その頃四龍で遊んで、空を翔け巡っていたと言っても、年上の北の極みの尊には決まった相手が居た。あの、レディ・ナイラである。その彼女をほっぽって、若い龍と遊んでいた北の極みの尊であるが、ある日、とうとう我慢できなくなったナイラに、北の極みの尊は振られてしまった。破局である。意気消沈の極み殿は、北極に籠ってしまった。今で言う所の、引きこもりである。すると、彼氏の守りが無くなって、そのナイラが魔物にさらわれ、地獄に連れ去られてしまった。真太は、ナイラがさらわれた理由は舞羅の件で分かっていた。何所かに籠る理由のない三龍がそれを空からみて、慌てて追いかけたが、出入口は地上に降りるとすでに閉ざされていた。ナイラが食われるんじゃないかと、慌てた三龍は急いで助けなければと、三つの出入り口をそれぞれで壊して、地獄に入ろうとしたが、生身の龍では地獄を体が拒否して、中には入れず入口で意識を失ってしまった。そこへ、察した北の極み殿がやって来て、霊体になって地獄に入りナイラを助け出したらしい。らしいと言う訳は、気を失っていて実際の所は知らないとアボは言った。三龍の意識が戻った時には、ナイラはナイラの川に戻っていて、北の極み殿は、また北極に籠っていた。そして、出入口は壊れたままになって今日に至る。と言う事である。

 真太はきっと、ナイラの声で地獄が壊れそうになって、追い出される感じで出て来たのではないかと思った。極み爺の活躍はそれほどでもなかったのだろう。活躍していれば、ヨリが戻っているはずである。

 アボパパの授業が終わり、シンの気配がしたので、真太が振り返ると、後ろにはアビの仲間の龍が人型で三人揃っている。アビが驚いていると、シンは、

「半身は霊界に来ておってな、大神様が哀れに思われて、霊界に受け入れたそうじゃ。それに、この者達は、今日はまだ少し役目があるから連れて来た。ほれ、お前達アバが聞きたいことがあるそうじゃ。アバ、聞いてみろ。物は言えぬが、首は動かせる。『はい』か『いいえ』の答えになるように聞いてみるとよい」

 アバは、

「そうか、それは有りがたい。では、お前達、知っている事を教えるんだぞ。お前達の父親は龍神か」

 首を横に振る龍達。

「魔物か」

 首を縦に振る。

「母親は龍神か」

 少し考えて縦に振った。アボは、

「実の母親には育てられていないからな」

 と呟いた。アバは、聞いてみた。

「実の母親に会った事はあるか」

 少し、首を傾げたりして、結局横に振った。

「では、生まれてから、誰に育てられたのかな。直ぐにはひとりでは生きられないだろう」

 アボはそう言って、アバを見た。何だか打ち合わせていたらしく、アバは、

「ジェシカに育てられたのか」

 首を縦に振る。

「父親の魔物に会ったことはあるのか」

 首を縦に振る。

「ジェシカも魔物に会っていたのか」

 首を縦に振る。

「えっ、ジェシカママも仲間だったって」 

 アビは叫んだ。真太としては、何だかアビが気の毒になってくる展開である。まだ続く質問。

「ジェシカはミックスか」

 首を縦に振る。アビは驚愕している。真太とイヅも同じくそんな感じ。

「ジェシカの父親はお前達と同じ奴か」

 首を横に振る。

「ジェシカの父親に会ったことがあるか」

 縦に振る。

「知っている魔物は二匹か」

 横に振る。数を増やして聞き、関係しているのは四匹と分った。

 アボは思いついたように、

「そうだった、この間、ジェシカさんに龍神の子を育ててもらったお礼を、改めてするからと言っておいたんだったな。連れて来ようかな。お礼がしたいと言って」

「そんな話に乗るものかのう。この所の状況、ばれて居らぬのか」

 シンがアボの言いように不思議がる。アボはシンにテレパシーで、

『霊獣界の事は分かっていないな。それにあの時、ウインクしておいたし』

 真太は、アボは二人だけのテレパシーのつもりらしいが、親だからか分かったし、情報通のイヅだって目を瞬かせていたが、アボパパは子供らの様子は無視して、出かけて行った。

 アバは何気無さそうに、

「じゃあ、今日の授業は終ったみたいだし、真太とイヅはお家に帰ってはどうかな。昼寝の時間じゃあないか」

 アバはよその子の睡眠時間も気にかかるらしい。

 そう言われて、イヅも欠伸が出て来ている。後の事が気にかかった真太だが、シンの剣術の授業はもう無いみたいだし、家に帰るしかなくなった。


 二人で家に帰ると、千佳由佳にままごとに誘われた翼がいた。

 真太は、翼にもアビが舞羅に惚れた話をしたかったが、ままごとの真っ最中で、翼の眼つきで話が出来ない事が分かった。

 千佳のセリフ、

「まあ、アビ、私を置いて出て行ってしまうの。皆で一緒に仲良く暮らして居たのに、あんな子供っぽい舞羅のどこが良いのよ。このジェシカの美しさより、あの子の方が美しいとでも言うの。他の子はジェシカママの方が美人だって言っているのに、あなたの目、どうかしているわ」

 翼のセリフ、

「何、言っているんだ。婆さんのくせに化けおって、舞羅は本物の若さだからな」

 驚いた真太、及びイヅ。この情報の速さは誰が発信したものなのか。

「酷いわ、アビ、そんな言い方。あなたの為に私、この美しさを一生保っていくはずだったのに、出て行ってしまったら私は誰のために美しくなればいいの、よよよ」

 と泣き崩れるマネの、ジェシカ役千佳。そして、きりっと立ち上がり、

「あの子がいけないのよ。舞羅がアビを誘惑したのね。アビは今までこのジェシカママ一筋だったのに。おのれ、舞羅」

 それを見ていた真太は、千佳の凄いシナリオ作成能力にも感心したが、もしかしたら実際舞羅が逆恨みされそうな気もする。しかし、この情報源は誰だろう。真太は聞いてみる。

「あのう、せっかくのドラマの途中ですが、その話のネタ、何処から仕入れたんでしょうか」

 千佳は、

「あら、内緒だけど。昨日の夜のパパとママの会話よ。面白そうだったから寝たふりして聞いていたの。内緒よ。何も話さなくなったらネタが無くなって困るの」

 そんな話をする千佳を放って置いて、由佳は自分のセリフを言う、

「あら、アビさん良くご近所で会うわねえ。ああ、真太君の家に行くの。アボ叔父さんに用事が在るのね。帰りに舞羅のお家にもよってね。ちゅう」

 由佳が翼に投げキスをした。

「おい、翼。こいつらのままごとに付き合うの、もうやめた方が良いんじゃないか。段々過激になって行く感じだし」

「うん、高校生になったら遊べないって言っているんだ。春休みが終わるまでの付き合いだよ。高校に入ったら後、大学入学の検定試験が有るけど、受けるのはどうしようかな。真太達と高校通った方が面白そうな気がするんだけど」

「そんな気がするだけだってば。勉学に励んでくれよ。アホの真太に付き合わなくて良いから」

「でも、最近真太、授業の時に内容を聞いていただけで、割と良い点とるでしょ。真太は覚えが良いって、アボさんに担任の先生が言ったそうだよ。これも千佳ちゃんが聞いたパパとママの会話からの情報だけど。こういう脳みそは、一度聞いた事を二度と忘れないタイプだってね」

「ふうん、そうなのか。ひょっとして褒めていたって事かな。その話聞いて、寒くならなかったか翼。俺は寒い。今日は情報が多めだから、俺も昼寝しよう。眠って情報をまとめとかないとね」

 すでに、真太がいつも寝ているソファにはイヅが眠って居るので、真太は二階で布団に入って本格的に眠る事にした。





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