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代替わり~生まれ変わっても 第3部  作者: 龍冶


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第11話 仲間では無かった三匹、そして恋敵には敵わないと知らされ散々なアビ

 

 自分の気配と姿を消したアビは、仲間の龍の気配の方へ近づいて見ると、南海の孤島が見えた。

 降りてみると、仲間の三龍が人型で、鬱蒼とした樹々の間に集まっていた。

 アビの仲間のひとり、エグが妙な事を言い出した。

「どうする、アビはアバの懐に入っちまったな。計算外だ。あの魔女達が要らぬ行動に出たせいで、かえって面倒な状況になったぞ」 

「面倒なのは始めからだ。こういう計画、俺は無理が有ると意見したのに、聞きはしないんだあいつ等。あいつ等は落ち目だからな。落ち目はどうあがいても落ち目でしかない。俺等にアビをけしかけて、アマズンの龍神を出来るだけ消して来いなんぞと言いやがって。消したけりゃ自分たちでやれって言うんだ。無理じゃないか、そんな命令。俺等が老龍神達相手に、何ができるって言うんだ」

 アビはぎょっとした。

 この衝撃的な事を言っているエギは、以前ひとりでアマズンに偵察に行った後、アバはもう危ないんじゃないかと、俺に報告し、『今、行動すれば、アビはアマズンの龍神達のトップになることが出来そうだ』と言っていたのに。

 すると、残りの一龍ウボが、

「俺はな、アビをけしかけさせたあいつ等の目的は、アバがアビのすることが気に入らなくて、殺すことになるように仕向ける事だったんじゃないかと思っている。俺らの親父たちは、実際、あのアマズンの龍神達と戦争をずっとやっているんだからな。俺達ミックスは、内部から崩すための駒だろうな。つまり、龍神に掟を破らせるのが目的で、俺等は龍神に殺されるために生まれて来たのさ。どうだ、これが正解と思わないか」

「何だと、ウボ。俺達は始めから捨て駒だというのか」

 エギとエグはショックらしく悔し気に俯いた。

 アビは驚いた、自分が仲間だと思っていたこいつらは、自ら魔物のミックスだと言っている。自分がアバパパと和解した所為で、目的が果たせなくなったと言って相談している場所に、当に出くわしてしまったのだ。

 すると、アビの動揺で気配が漏れてしまったのだろう、三龍と言うより、三匹と言うべき彼等はアビに気付いてしまった。

「おい、アビの気配がしないか」

「するぞ、あいつもこの霊獣界に来れるようになったらしいな。おいアビ、バレているぞ、出て来な」

 ウボが、今まで聞いた事も無いようなドスの効いた声で、アビに命令した。その声の命令で、姿を現すしかなくなるアビ。きっとこいつらは、アビ自身より能力が有ったのだと思えた。自分が騙されて踊らされていた事を察したアビである。

「アビめ、聞かれたからには始末するしかあるまいな」

 そう言ってあっという間に、禍々しい魔物と龍のミックスした怪物風に姿を変えた三匹。今まではそういう風に変化した事は無いので、アビが驚いて身動き出来ないでいる内に、三匹はアビ目掛けて火を噴いた。その炎は地獄の業火のようで、アバ達龍神が噴く炎とは全く違う代物だった。

「わあっ」

 あっという間に地獄の業火に包まれるアビ、火傷で体中が痛み死を覚悟するが、その時、何故か晴れ渡っているはずの空が掻き曇り、激しい雨が降り出した。

 その雨はアビの火傷を見る見るうちに癒した。

「何だ。この雨は」

 三匹は口々に不満を叫ぶうちに、空から見た事も無い金銀の光眩い龍神が下りて来た。

 少し、透き通った感はあるが龍神で間違いは無いだろう。雨はこの龍神が降らせたらしい。

 アビは目を瞬かせて見上げた。

 アマズンの黒い龍達とは違い、眩く光りこの世の物とは思えない美しさである。実際この世の物では無かったのだが。

 地面に降り立つとその龍神は三匹と比べて圧倒的な大きさであるが、自身の重さと言うより、威圧の様な感じで三匹を押しつぶし、足で踏みつけにしている。

 そして、テレパシーで、

「おーい真太、御神刀を持って来い」

 と言っているのが分かったアビである。見ていると真太が刀を持って来て、

「はーい、シン」

 とか言って刀を渡そうとしている。

「うむ、我が殺さねば、生身のお前達がやると、こやつらは半身が龍だし、掟破りになろうな。面倒な事じゃ、ふん」

 そう言って人型になるシンである。

 アビとしては噂通りの凄いハンサムのシンを見て、敗北感ひとしおである。

 シンが素早く、のびている三匹にとどめを刺したのを見て、奴らは仲間と思っていたのだが終わってしまったなと思ったアビは、シンに助けてもらったお礼を言った後、さっさと家に帰る事にした。

 仲間に裏切られた事よりも、今はシンの圧倒的美龍神ぶりの方が、ショックなアビだ。

「噂のシン、神々しすぎてもう無理だな、俺は」

 と呟いて、しょげて帰りかけると、後ろから、

「いや、そうとも言えまい。舞羅はどうやら気に入っておるようじゃ。口惜しいが、おまえは生身だしのう。まあ、上からどうなる事か見ておろうぞ」

 ハンサムから思いもよらぬ好意的な言葉を聞いて、また舞い上がる気分のアビである。

 真太は、

「なんだよシン、こいつを調子に乗せるなよ。それとも、後で失恋してがっくりさせる気なの」

「ふふ、どうなるかは舞羅次第だな。そう言えば明日からアボが、アビの教育をすると言っておったな。我も行きとうなった。大神様にお願いしてみようかの。真太もイヅと来い。剣術をよく教えておかねば、生身の粗忽者は、この御神刀で自らチクリとしそうで心配じゃ」

「俺そんなに粗忽かな」

 真太が気安く話しかけているので、アビはシンがかなり良い感じの性格の龍神でもあるらしく思え、舞羅に比べられそうで、自信が無くなるのだった。帰って親父アバのようにふて寝するしかない気分である。


 家に戻ると、アバは目覚めていて、不機嫌そうにじろりとアビを見ると、

「あいつらがミックスだったなら、変だと思わないかアビ。ジェシカとやらにあいつ等の本性が分からない筈がないじゃないか。魔女のトップだったんだろう。そして魔物からお前らを助けたそうだな。だが、いくら魔女だとは言え所詮人間だ。そんなに何度も龍の子を魔物から救えるかな。目を付けられて、段々強い奴が現れてくるはずだ。魔物に関わるとそうなるものだからな」

「何が言いたいんですか。俺はあの頃、仲間が増えて来るのが嬉しいだけで、よく覚えていないけれど。その言いようだと、ジェシカが怪しいと言っているように聞こえるんですがね」

「そう言っているんだ。第一、アボの話ではジェシカは魔力で若見えだと言っていたが、何歳か、実際の所。人間がそんな状態になれるか。魔女でも歳は取る筈。30前後にしか見えないと言っていたな」

「確かに若すぎて不自然とは思っていましたよ。何時だったかどうして若いままなのか聞いたら、若くてきれいなママの方が俺等だって良いだろうと言っていたけど」

「ジェシカが魔物とのミックスだったらどうだ。魔物は龍を食うと力が格段に強くなるし、若く長生きになる筈」

「何だって、魔物と人間のミックスと言う事?彼女自身も龍の子を食っていただって?」

「いや、魔物と人間との子は出来ないと言われている。昔からそんな事があった例はない。メス龍のミックスじゃないかな。人型で通しているのだろう。お前は共に暮らして居て、ジェシカが食ったり出したり、人間らしくしているのを見ていたのか」

「メス龍ねぇ、食ったり出したりとか、良く言うよ。そんな風に考えるって、アバってホントに龍神?さっきシンに会ったけど、あれが龍神の本物って感じだったな」

「うるさい、鏡見て言え。お前、俺にそっくりだと皆言っているぞ」

「ふん、とにかく、今日は色々あって、俺も眠くなって来たんだ。寝た後に考えるから」

「そう言う所も似て来たな」


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