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代替わり~生まれ変わっても 第3部  作者: 龍冶


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第10話 舞羅の二度目の恋の気配と、アビの仲間の不審な気配

 

 有無を言わさずアビを連れ帰ったアバだったが、眠ってしまってはアビの監督など出来るわけがなく、アビは又、日の国の舞羅の近くに舞い戻った。姿はまだ消していた。

 アバの指摘通り、実際に会った事も無い相手なので、アビは何とか不自然に見えない様な出会いを考えねばならないと思った。今の所は、舞羅を良く知るための観察である。

 舞羅は仲良しの友達数人と、今日最後に歌った歌について、話しながら帰っていた。

「ねえ、舞羅。歌詞にあったシンていう人、誰の事。真太君じゃないわよね」

「真太君の名は前の方で、出ていたものね。あたし、川西に行った人から噂を聞いたことがあるわ」

 舞羅は、

「わっ、鋭い。やめてよ、その事は内緒なの」

「歌っちゃったんだから、内緒には出来ないわよ。舞羅のママが、舞羅達がオーデション受けるのを止めに西京に来た時、すっごいハンサムの遠縁の人と来たんだってね。あの頃、あたし達の間では、舞羅の様子からその人と付き合い出したんじゃないかってうわさが、飛び交っていたのよ。あの人がシンじゃないの」

 女子の噂は半端ないスピードだと言う事が、舞羅には骨身に染みる所となった。

「でも、近頃はそんなハンサム見かけないよ。別れたの」

「ううん、亡くなったの」

「ごめん、知らなくて、悲恋だったのね。この話題はもうやめるね、舞羅」

「うん、ありがとう」

 それからは、少し気まずくなったまま分かれ道で、皆と別れた舞羅だった。

 アビとしても、さっきの歌詞を聞いて気になっていた所だったのだが、もう恋敵はいない事が分かり、安心してすっかり舞い上がった感じである。

 友達と別れひとりになった舞羅は、あの日々のような、好意的な視線を感じた。でも、シンでは無いのは分かっている。別の誰かではあるが、今、皆とシンの話になった所為で、懐かしい感覚に思えた。又、誰かの愛を感じた舞羅である。

 そして、声を掛けられた。

「コンニチハ、マイラサン。ハジメマシテ・・・」

「え、あなたはどなたですか」

 そう、舞羅は聞いたものの、その顔や様子で、アバや、アボ達龍神の仲間の1人だろうと思った。

「アビトヨンデクダサイ。ジコショウカイサセテクダサイ。アバノムスコデス。サイキンアマズンニ、モドッテキマシタ」

 アビは舞羅が知っていると思い、不仲だった親、アバの名を利用してしまった。我ながら呆れる変わり身と思うが、この際利用できるものは何だって使うつもりである。

 舞羅は今日の為の練習で忙しく、あまり真太達から最近の事情を聞いていなかったので、

「まあ、そうなの。アバさんには私、お世話になっていたの。そう言えばよく似ていらっしゃるわね。親子だもの、当たり前だったわね。うふふ」

 と笑いかけ、すっかりアビに打ち解けた気分だ。

 アビは舞羅に笑いかけられ、呆けたような感じ。

「最近、戻ったんですか。アマズンに」

「ハイ、イママデ、ホクオウノ、マジョノイエニイマシタ。マジョニ、マモノニオソワレテイタトコロヲ、タスケラレテカラ、ズットカクマワレテイマシタ」

「まあ、そうだったんですか。私も、能力の所為で、魔物に度々襲われていたんですけど、龍神さん達に助けられてなんとか暮らせているんです」

「ノウリョク?」

「そうなの、本当はレディ・ナイラさんの能力ですけど。昔、私達の先祖に、レディ・ナイラさんが愛と希望を振りまく自分の能力を渡したんですって。レディ・ナイラさんはUSBBの大統領夫人で龍神なんです、私は会った事ないんですけど。それから、南の島国の人には未来の予知能力を渡したそうです。レディ・ナイラさんが未来を予知して、魔物がその能力を手に入れようとするのが分かり、阻止しようと思ったそうです。でも、今はこの事は魔物に知られてしまったんですけど」

「ソレハタイヘンナウンメイデスヨネ。ボクモオヨバズナガラ、アナタヲマモリタイデス」

「まあ、それはどうもありがとうございます」

 舞羅、まだ助けられていないのに、お礼が早すぎないだろうか。そう思った真太。実は、アビが学校をうろついているのを、アボパパ共々感付いていて、迎えに来たのだった。

「おいおい、舞羅。そいつはまだ舞羅を助けちゃいないぞ。お礼が早すぎないか」

 『ちっ』と、舌打ちをして真太を睨みたいところだったが、アビはかろうじてその態度を抑え込み、だが、

「おや、真太君、久しぶりだね。元気そうで何よりだ」

 思わず、良い子のカタコトぶりはやめてしまったアビである。

「お前に襲われないから、元気でいられそうだよ。ところでカタコトを忘れているぞ」

「やだ、きゃはははは」

 舞羅は大笑いである。

「アビさん、面白い人ね。あ、面白い龍神だった。そう言えばアボ叔父さんも、最初はそんな感じだったって、千佳ちゃんが言っていたわね。日の国の人が想像している、外国人の風貌になって見せているんだってね。ほんと、アマズンの龍神さんは皆サービス精神があるわね。あはは。じゃね」

 家の前まで来たので、笑いながら家に入った舞羅である。

「お前のせいで舞羅さんに笑われたじゃないか」

 アビが憮然と言うと、

「ふん、自分でばらしといて何を言い出すんだ。言っておくけど、舞羅の技にかかったな。舞羅は別にお前を好きになった訳じゃないから。耐性が無いと、皆、最初は引っかかるんだからな。気を付けろよ」

「俺はさっきは姿は消していたから、これは引っかかった訳じゃないから。俺自身が気に入ったんだ。舞羅の技じゃないからっ」

「これは多分、重症だな。ご愁傷様、失恋は時間の問題みたいだ。言っておくけど」

「違うと言っているだろ。さっさと失せろ」

「お前が失せないと、こっちも帰れないんだ。アボパパからアビを見張れって言われたんだ。それから、明日の朝からアマズンでお勉強会だと。授業内容は、龍神としての常識のあれこれ。仲間にも、来たい奴は来いって言っておけって、アボパパが言っていた。伝えたからな。ちゃんと」

 アビは、舞羅が家に入ってしまったので、これ以上付きまとう訳にはいかないと思い、

「俺は帰るが、別にお前に言われたからではない。これ以上付きまとうのは変に思われるから、やめておくだけだ」

 そう言って立ち去った。


 帰り道、思いついて霊獣界に入って帰る事にしたアビ、舞羅の笑い顔が思い出されて、うっとり帰っている途中、仲間の龍の気配を感じた。彼らは霊獣界に入れないと思っていたアビである。みんな人間界をアビ共々移動していたので、違和感を覚えたアビだった。自分の気配と姿を消し、仲間の気配を感じる方へ行ってみる事にした。アバやアボは何故か自分の気配が分かったらしいが、仲間はまだそんなに能力は無いはずだ。


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