鷹 6
外は雲ひとつない青空です。まさに台風一過と言ったところでしょうか。
よく考えてみると、天災そのものに関する対策はあまり進歩していないように思います。地震を打ち消せるわけでもなく、台風のルートを変更させることができることもなく・・・。相手があまりにも大きいからでしょうか?
そういえば、これ、読み続けている人っているのだろうか?あまりにも投稿が遅いから、飽きられたりしてないだろうか・・・。
鷹
階段を下りる度、地上の熱気が薄れ空気が涼しくなる。地下に向かう階段は薄暗く、目を凝らさなければ足元が見えなかった。俺は一段一段丁寧に降りて行く。やがて、明かりが見える。小さな看板にはNESTと書かれていた。店の中に入る。
店は薄暗かった。暗闇の中の仄かな明かりは洞窟の中を思わせる壁を照らしていた。俺は店内を見渡す。店の奥に目的の人物を見つける。何やら酒を飲んでいるらしい。俺は気付かれないように、視線をそらしながら近づく。
「八代か?」
男は振り返らない。俺が突然現れたことにも動じていないようだ。男はグラスを持ち上げ、グラスの縁に口を当てる。男が飲んでいたものは緑色の液体だった。
「今日、俺に依頼しただろう?」
「顔は見せたくないと書いただろう?」
なるほど、男は特徴的な顔をしていた。頬はこけ、皺だらけの皮膚だが、精力的な鋭い目が光っていた。何よりも、顔に合わない奇妙な髭だ。黒い髭が口の周りを覆っている。俺は隣の席に座る。
「これ、面白いだろう。グラスホッパーというのだよ。ほら、バッタみたいに緑色をしているだろう。」
「茶色のバッタだっているだろう?」
男がマスターに酒を注文しようとするので、俺はそれを遮る。店内ではカチカチとグラスがぶつかり合う音がしている。
「どうして、私のいる場所が分かったんだね?」
「さあな。鷹ははるか上空でも獲物の位置が分かるんだ。」
もちろん、冗談だ。俺は、確かに鷹だが、一応人間だ。鳥ではない。
先程のメールは、クライアントからではなく情報屋のものだった。あの小さな箱を見つけた後、俺は念のため情報屋にクライアントの情報を集めるように連絡をしておいた。その結果が先程送られてきた。そのメールに書いてあったのは「八代 哲」という名前とこの場所だけだった。だから、俺はここに来た。
「興味があるね。ぜひ聞かせてもらいたい。」
「あの箱は何だ?」
俺は八代の質問を聞き流し、こちらの質問をぶつける。クライアントは依然として、こちらを向かない。
「何の話だね?」
「ロッカーに入っていた小包だ。あれは一体何なんだ。」
クライアントは小さく息を漏らす。笑ったのか?
「ああ。あれは前払いだよ。そう書いたと思うんだがね?」
カチカチという音がやむことなく店内に響き渡る。いや、本当に響いているのか?これは俺の頭の中で響いているだけじゃないのか?
「もしかして、あんたが雀か?」
俺は腰に手を伸ばす。何も考えていなかった。この狭い店内で人を殺した場合、すぐに捕まる可能性が高いということも頭の片隅にもなかった。クライアントはこちらを向く。その目は奇妙だった。まるで鳥のような丸い目を見開き、瞬き一つしなさそうだった。口角が上がっている。
「そんなものじゃないさ。私は、私は――」
クライアントはそう言うと、短く笑いを洩らすだけで言葉を発しなくなった。俺はこの仕事を引き受けることにした。この男が雀であろうとなかろうと、今は俺のクライアントだ。クライアントに素晴らしい人生を。気がつけば、この店にいるのはクライアントと俺だけだった。店内にクラシック音楽が響き渡る。




