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異世界×AI〜俺だけレベルが上がらないのに、補助AIの「最適行動」でいずれ世界最強に!?〜  作者: qp46


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第58話 反省と、お疲れ様会

夕方のグランゼルは、昼間の闘技祭が嘘みたいに騒がしかった。石畳の通りには屋台が並び、酒の匂いと焼いた肉の香りが混ざって漂っている。あちこちで冒険者達が騒いでいて、勝っただの負けただの、そんな声が通りへ響き続けていた。


その喧騒の中を歩きながら、シンは小さく息を吐く。


脇腹はまだ痛む。


というか普通に痛い。


歩けているのが不思議なくらいだ。


「……地味に効いてんなこれ」


『腹部損傷率は依然高水準です』


「その言い方やめろ怖ぇから」


横を歩いていたレナが呆れたみたいに視線を向ける。


「だったら大人しく休んでればよかったのに」


「いや、部屋にずっといると逆に気が滅入る」


負けた直後ってのは、妙に静かな場所へいると色々考えてしまう。前の会社でも査定面談の後とか、無駄に一人反省会始まってたしな、とシンは苦笑した。


レナはそんなシンを横目で見ながら、小さく息を吐く。


「でも、思ったより落ち込んでない」


「まぁ、ボコボコにはされたけど」


センチの拳を思い出す。


重かった。


いや、重いっていうか普通におかしい。あんな小さい動きからなんであの威力出るんだよ。しかも途中から完全に読まれてた。思い出すだけで胃が痛い。


「でも最後、少しは通じた感じあったし」


レナが小さく頷く。


「うん」


その返事が妙に真っ直ぐで、シンは少しだけ照れ臭くなる。


通りの先では、昼間戦っていた冒険者達が酒場の前で騒いでいた。腕相撲が始まっているテーブルもあれば、既に酔い潰れて転がっている奴もいる。闘技祭ってもっと殺伐としてるのかと思っていたが、意外と祭りに近い空気だった。


「負けても普通に飲んでんだな」


「グランゼルはそういう街」


レナが淡々と言う。


「強い奴も負けるし、弱い奴も勝つ。だから引きずりすぎない」


「メンタル強ぇなこの街」


『合理的環境と推測』


「お前ほんと合理性好きだな」


頭の奥で、チャッピーの演算音みたいな感覚が微かに鳴る。最近はこうして黙っている時間も増えてきた。前なら何かあるたび即座に解析結果を流していた気がするが、今は妙に“考えてる間”みたいなものがある。


いや、考えているように見えるだけかもしれないけど。


『質問があります』


「ん?」


『対象“レナ”との戦力差を分析した結果、次戦において連携効率向上が推奨されます』


シンが少し目を細める。


連携。


つまり、タッグ戦だ。


昼間、闘技祭の掲示板に貼られていた内容を思い出す。個人戦だけじゃない。数日後には二人一組のタッグ戦も予定されていた。


シンは横を歩くレナを見る。


「なぁ」


「何」


「タッグ戦、出ない?」


レナの足が止まる。


その反応があまりにも早くて、シンは思わず苦笑した。


「いやそんな露骨に嫌そうな顔しなくても」


「嫌」


即答だった。


「早いな!?」


「面倒」


「そこをなんとか」


レナは小さく息を吐く。


「シン、自分がどれだけ狙われるか理解してる?」


「まぁ……多少?」


「多少じゃない」


レナがじっとこちらを見る。


「今日の最後、完全に観客が湧いてた」


シンは少し黙る。


それは、分かっていた。


途中から空気が変わっていたのを覚えている。“逃げ回るだけの変な奴”を見る目から、“何か分からない動きをする奴”を見る目へ変わっていた。


「正直、次はもっと研究される」


レナが静かに言う。


「今日みたいにはいかない」


「まぁ……だろうな」


シン自身もそう思っていた。


対人戦は、モンスター戦と違う。一度見せた動きは読まれる。しかもセンチ戦の最後で、シンの動きそのものが変わり始めているのを見られてしまった。


『戦闘記録からも同様の傾向を確認』


頭の奥でチャッピーが淡々と告げる。


『次戦では対策される可能性が高いです』


「うわぁ現実的……」


「だから嫌」


レナが言う。


「タッグ組んだら、絶対巻き込まれる」


「そこをなんとか頼む」


「嫌」


「頼む」


「嫌」


「お願いします」


シンが頭を下げる。


通りを歩いていた酔っ払い冒険者が「彼女へ土下座してるぞアイツ!」とか騒いでいたが、今は気にしない。


レナはそんなシンを見下ろしながら、小さく眉をひそめる。


「……なんでそこまで出たいの」


シンは少しだけ空を見る。


夕焼けが石造りの街を赤く染めていた。


「多分、一人じゃ勝てないから」


レナが少し目を細める。


シンは苦笑した。


「いや、今日で分かった。対人戦ってマジで難しい」


センチの拳。


観客の視線。


読み合い。


全部思い出す。


「俺一人だと、多分限界ある」


レナは少し黙った。


風が通りを抜ける。


遠くでは、まだ闘技祭の歓声が続いていた。


『推奨』


頭の奥でチャッピーの声が響く。


『対象“レナ”との連携時、生存率と勝率が大幅上昇します』


シンは苦笑する。


「だそうです」


「……頭の中のそれ、絶対私を便利扱いしてる」


『否定』


レナが止まる。


シンも少し目を瞬かせた。


以前より返答が速い。


いや違う。


今の、少しだけタイミングがおかしくなかったか?


『訂正』


『重要戦力として認識しています』


シンが吹き出す。


「フォロー下手か」


レナは数秒黙った後、小さく息を吐いた。


「……考えとく」


「マジで?」


「今決めるとは言ってない」


それでも、完全拒否ではなくなった。


シンは少しだけ笑う。


「十分」


夕焼けの街を歩きながら、シンはぼんやりと思う。


一人じゃ届かない。


でも。


誰かとなら、届くかもしれない。


頭の奥では、チャッピーの静かな演算音が続いていた。


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【chaPPY 更新ログ】


対人連携演算を開始


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《仮リンク》精度上昇


同期安定率上昇


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複数人戦闘への適応を開始します


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推奨:


タッグ戦闘データ取得


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『継続成長を推奨します』


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