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異世界×AI〜俺だけレベルが上がらないのに、補助AIの「最適行動」でいずれ世界最強に!?〜  作者: qp46


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第53話『読ませる』

控室。


シンは椅子へ深く座ったまま、ゆっくり息を吐いた


外から歓声が響く


大会はまだ続いている


でも今だけは少し静かだった


『呼吸誘導を開始』


「……ん?」


チャッピーの声が頭へ響く


『筋弛緩』


『脳負荷低減』


『集中補助を開始』


シンが少し眉を上げる


「お前、そんなことできたのか」


『最近できるようになりました』


「最近って便利な言葉だな……」


苦笑が漏れる


でも確かに、さっきより身体は軽かった


疲労は残っている


腕も重い


脚もだるい


ただ。


戦えないほどじゃない


『戦闘継続可能ラインまで回復を確認』


「ブラック企業の仮眠時間みたいな回復だな……」


『比較対象を確認できません』


「だろうな」


小さく笑う


でも少しだけ落ち着いた


シンは天井を見上げる


ミリグ戦。


あの最後の踏み込み。


普通なら避けていた


でも。


チャッピーは違った


“予想外”

を選択肢へ入れた


最適解じゃない


少なくとも、

前までのチャッピーなら絶対に出さなかった答えだ


『予測外行動の有効性を確認』


『既存戦術との統合を推奨』


「統合って簡単に言うけどさ……」


シンは小さく息を吐く


「結局それ、“読まれるな”って話だろ?」


『肯定』


即答。


でもそこから少し間が空いた


『固定化された行動は解析されます』


『同一行動の反復は、対応率上昇を確認』


「……学習されるってことか」


『はい』


シンは視線を落とす


センチを思い出す


小さい動き。


無駄のない重心。


あの男は多分、

相手を“固定”して読む


避ける奴なら、

避ける先を読む


下がる奴なら、

下がる位置を読む


なら。


こっちも変わり続けるしかない


避けると思わせて踏み込む


下がると思わせて流れる


“読ませた上でズラす”


そこまで考え始めている時点で、

少し前の自分とはかなり違っていた


コンコン、と扉が鳴る


「次!!」


「シン準備しろ!!」


大会スタッフだった


「……もうですか」


思わず社会人みたいな返事が出る


「次始まるぞ!! 急げ!!」


「はいはい……」


シンはゆっくり立ち上がる


身体は動く


問題ない


剣を握る


『戦術同期開始』


「頼むぞ、相棒」


『肯定』


控室を出る


歓声が一気に近付いた


熱気。


視線。


ざわめき。


闘技場へ足を踏み入れた瞬間、観客席がどよめく


「来たぞ!!」


「シンだ!!」


「相手センチだろ!?」


「“読む側”と“避ける側”!!」


好き勝手言われてるな、とシンは少し苦笑した


でも。


前より嫌じゃない


中央。


そこには既にセンチが立っていた


静かだった


小さい構え。


無駄のない重心。


まるで最初からそこにいたみたいに自然だった


センチがこちらを見る


「君」


初めて口を開く


「さっき、変な動きしたね」


「褒め言葉として受け取っていいですか?」


「……どうだろう」


センチは少し考える


「普通、あそこは避ける」


「まぁ、俺もそう思いました」


「でも前に出た」


シンは小さく肩をすくめる


「……あのままだと、対応される気がしたんで」


センチが少し黙る


その視線だけが妙に鋭かった


見られている


呼吸。


立ち方。


重心。


全部。


『観察精度、高』


チャッピーの声が静かに響く


『固定化を狙っています』


シンは小さく息を吐く


読む側。


完成寄り。


だから強い


でも。


完成してるなら、

変化には弱いはずだ


センチが小さく構える


「少しだけ」


「気になってる」


「光栄ですね」


シンも剣を構える


『戦術同期完了』


開始鐘が響いた

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