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異世界×AI〜俺だけレベルが上がらないのに、補助AIの「最適行動」でいずれ世界最強に!?〜  作者: qp46


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第49話 振るい落とし②

「残り三十二名ィ!!」


司会の怒号が闘技場へ響き渡る。


歓声。


怒鳴り声。


地面へ転がる敗者達。


振るい落としはまだ終わらない。だが、最初より明らかに空気が変わっていた。残っているのは、ただ勢いだけで暴れていた連中じゃない。生き残り方を理解し始めた奴らだ。


「っ……はぁ……!」


シンは肩で息をしながら距離を取る。全身が重い。避け続けているせいで脚がかなりきつい。太腿が焼けるみたいに熱い。それでも、最初より身体は動いていた。


『動作再現精度が上昇』


『重心制御補助を更新』


「……だから急に身体へ馴染ませるなって……!」


息を吐きながら悪態を零す。だが実際、身体の動きは変わっていた。まだ完全じゃない。ぎこちないし、無理やり感もある。それでも、“扱い方”を覚え始めている感覚があった。


次の瞬間、正面の槍使いが一気に距離を詰めてくる。


速い。


だが、今度は見えた。


踏み込み。


肩。


視線。


重心。


相手がどこへ力を流そうとしているかが、ぼんやりと分かる。


シンの身体が半歩だけズレた。


槍が空を切る。


「っ!?」


槍使いの目が見開かれる。その隙を逃さず、シンは相手の足へ剣を引っ掛けた。崩れる体勢。そこへ横から飛んできた火球が直撃する。


「ぎゃぁぁっ!?」


「うわっ、ごめん!!」


『戦術成功』


「いや俺じゃねぇからな!?」


観客席から笑いが起きた。


「また巻き込みやがった!」


「アイツほんと逃げ回るな!」


「でもなんか残ってんな……」


空気が少しずつ変わり始めていた。


派手じゃない。


真正面から勝ちもしない。


なのに落ちない。


気付けば、まだ立っている。


観客達も段々無視できなくなってきていた。


だが、上段席に座る数人だけは既に別のものを見ていた。


「あの動き……」


「最初より滑らかになってる」


「適応してるのか?」


シンはそんな視線に気付く余裕もなく、再び走り出す。


次の瞬間、横から剣士が飛び込んできた。


速い。


連撃型。


『ダブルスラッシュ類似』


チャッピーが即座に解析する。


一撃目を身体を流して避ける。続く二撃目。その瞬間、シンの足運びが僅かに変わった。


今までの回避とは違う。


誘導。


わざと避ける方向を見せる。


剣士が追う。


だが次の瞬間、シンの重心が途中で変わった。


「なっ――!?」


斬撃が空を切る。


シン自身も驚いていた。


「今の……!」


『再現動作を再構築』


『改変成功』


視界の中で、新しいラインが組み替わっていく。


今までは、最適解を“なぞっていた”。


でも違う。


ズラせる。


変えられる。


相手へ読ませた上で、途中から変化させる。


「っ……!」


シンは反射的に踏み込んだ。


木剣が相手の手首を弾く。剣が宙を舞う。そのまま別方向から飛んできた大男が、武器を失った剣士へ突っ込んだ。


「ぎゃぁぁぁっ!?」


『連鎖誘導成功』


「いやほんと怖ぇなお前!?」


その時だった。


ゴォォン――ッ!!


鐘が鳴る。


「残り二十名ィ!!」


一気に人数が減っていた。


会場の熱気も変わっている。今残っている連中は、明確に強い。


その中で、シンだけが異質だった。


正面からはぶつからない。


避け、誘導し、他人同士を噛み合わせるみたいに戦場を動かしていく。それなのに、誰よりも状況を見ていた。


「……はぁ……っ」


汗が頬を流れ落ちる。熱を持った呼吸が喉へ張り付き、視界の奥で次の敵が踏み込んでくるのが見えた。


その瞬間、チャッピーの声が少し変わる。


『複数補助処理を開始』


「……え?」


視界が広がった。


敵位置。


移動速度。


攻撃方向。


回避予測。


大量の情報が一気に頭へ流れ込んでくる。


重い。


情報量が多すぎる。


「ぐっ……!?」


視界が揺れる。脳が焼けるみたいに熱い。


『並列最適化を実行』


次の瞬間、シンの身体が半ば強引に動かされた。


横へ流れた勢いのまま回避へ繋がり、そのまま踏み込みへ移行する。視線移動すら途切れない。全部の動きが一本の流れとして身体へ統合されていく。


まるで。


複数の戦闘動作が、一つの身体へ無理やり圧縮されていくみたいだった。


『新規能力を構築』


『《統合》を取得しました』


シンの目が見開かれる。


その瞬間、真正面から巨大な戦斧が振り下ろされた。


だが。


シンの身体はもう動いていた。


半歩ズレる。


足払い。


背後の魔法使い方向へ誘導。


魔法使いが反射的に火球を撃つ。


爆炎。


巻き込まれる戦斧使い。


観客席がどよめいた。


「また誘導しやがった!?」


「なんだアイツ……!」


「意味わかんねぇ動きしてるぞ!?」


シンは息を切らしながら苦笑する。


「いや……俺もわかってねぇ……!」

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