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異世界×AI〜俺だけレベルが上がらないのに、補助AIの「最適行動」でいずれ世界最強に!?〜  作者: qp46


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47話 エントリー

訓練を終えた頃には、空はすっかり昼の色へ変わっていた


汗で張り付く服が気持ち悪い


肩は痛いし、腕はもうまともに上がらない、それでも昨日よりは動けていた感覚が身体に残っていて、シンは大きく息を吐きながら広場の石段へ腰を下ろした


レナはいつもの無表情で水を飲んでいる


「……対人戦ってさ」


シンが空を見上げる


「思ってた百倍めんどくさいな」


『対人戦では不確定要素が増加します』


「だろうなぁ……」


モンスター相手ならまだよかった


行動が単純だからだ


怒る


突っ込む


獲物を狙う


チャッピーの予測が綺麗に噛み合う


でも人間は違う


焦りで動きが変わる


恐怖で判断がズレる


逆に感情で突っ込んでくるやつまでいる


最適行動が、そのまま最適解にならない


「人間ってほんと効率悪ぃな……」


『ですが、それが対人戦闘の特徴です』


「AIみたいな回答しやがって……AIだけど」


その時だった


遠くから歓声が聞こえる


地響きみたいな熱気だった


広場の向こう、人の流れが一方向へ集まっている


コロシアムの方だった


レナがそちらを見る


「今日から」


「ん?」


「大会」


シンが眉を上げる


「大会?」


レナが小さく頷いた


「グランゼル闘技祭」


聞いた瞬間、周囲の空気が変わった


通りを歩く冒険者達の視線が自然とコロシアムへ向いている


武器屋の店主まで外へ出て盛り上がっていた


街全体が浮ついている


「そんなデカいイベントなのか?」


「グランゼル最大」


レナが短く答える


「強い奴、いっぱい来る」


シンはコロシアムの方を見る


巨大だった


街の中心にそびえる円形闘技場、その外壁には大量の旗が並び、既に観客の列が出来始めている


歓声が響くたび、胸の奥が少しだけざわついた


『高戦闘能力個体を多数確認』


『戦闘データ収集に適した環境です』


チャッピーの声が響く


シンは苦笑した


「……言うと思った」


対人戦の経験不足、身体能力不足、実戦不足


全部、昨日から嫌というほど思い知らされている

だからこそ、実戦経験が必要だった


「出るか……」


レナがシンを見る


「死ぬ」


「縁起でもねぇな!?」


「今のままだと」


シンが頭を掻く


否定できない、それが一番困る


『現時点での単独勝率は低水準です』


「お前も言うなぁ……」


それでも、シンはもう一度コロシアムを見る


歓声、熱気、怒号


あの中には、自分より強い奴が山ほどいる

今のままじゃ通用しない

だからこそ、行く価値があった


「……でも、出るしかないか」


レナが少しだけ目を細める


「単体戦?」


「ん?」


「私は出ない」


「あー……まぁレナならそういうの嫌いそう」


「面倒」


即答だった


シンは苦笑する

でも少し安心もした

正直、今のレナが大会へ出たら普通に優勝しそうだった


『大会情報を取得』


『参加受付は本日までです』


「仕事早ぇな……」


シンは立ち上がる


身体は痛い


まだ全然足りない

でも、不思議と足は軽かった

グランゼルの熱気が、少しだけ胸を高鳴らせていた

コロシアムへ近づくほど、人の数は増えていく


武器を背負った冒険者


魔法使い


格闘家


見るからに強そうな連中ばかりだった

その空気の中へ入った瞬間、シンは少しだけ息を呑む

場違い感が凄い


「……帰っていい?」


『非推奨です』


「だろうなぁ……」


受付には長蛇の列が出来ていた

受付嬢が慣れた様子で参加証を書き続けている

その横では、既に睨み合ってる参加者達までいた


怖い


民度が怖い


「次の方ー」


呼ばれる


シンはゆっくり前へ出た


受付嬢が紙へ視線を落とす


「お名前を」


シンが少しだけ息を吐く


「シンです…」


その瞬間だった


コロシアムの奥から、大歓声が響いた


まるで。


戦いの始まりを告げるみたいに。

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