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異世界×AI〜俺だけレベルが上がらないのに、補助AIの「最適行動」でいずれ世界最強に!?〜  作者: qp46


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第39話 緑龍

ギルドを出ると、街はすでに混乱の中にあった。


武器を抱えた冒険者達が森の方へ駆け出し、避難を呼びかける声が通りへ飛び交っている。露店を慌てて片付ける商人、子供の手を引いて家へ戻る住民、その間をギルド職員達が走り回り、街全体が目に見えて張り詰めていた。


「……マジで動きやがったのか」

グリスが苦い顔で周囲を見る。


「一週間前は“森の主が目覚めたかもしれねぇ”って程度だったんだぞ。それがもうこの騒ぎだ。街の連中も完全にビビってやがる」


「でも無理ないよ……」

マリーも不安そうに通りを見渡した。


「森の主なんて普通の人からしたら災害みたいなものだし、街の近くまで来るかもしれないって聞いたら怖いよ」


「実際、被害が街まで広がれば終わる」

ダンが低く続ける。


「緑龍クラスは、本来なら都市単位で警戒する存在だ」


レナは無言のまま森の方向を見ていた。


その横顔はいつも以上に鋭い。


「……でも変」

小さな呟き。


シンがそちらを見る。


「普通、緑龍はこんな動きしない。縄張りの中心にいるだけで周りが勝手に従うから、自分から暴れ回る必要ない」


「今回は違うってことか?」

グリスが眉をひそめる。


「違う」

レナは短く答える。


「魔物の流れ方がおかしい。縄張り争いなら、もっと偏る。でも今回は全部が外へ逃げてる」


少しだけ間を置く。


「……何かを避けるみたいに」


その言葉が妙に引っかかった。


(緑龍が原因じゃない……?)


脳の奥へ静かに情報が流れる。


『周辺エネルギー反応の上昇を確認』


(どれくらいだ)


『通常値を大幅に超過しています』


森へ近づくにつれ、空気そのものが重くなっていく。


湿った風が肌へまとわりつき、木々のざわめきすら妙に耳へ残った。


やがて外縁部へ辿り着く。


そこで最初に見えたのは、逃げる魔物だった。


ゴブリン。


二体。


枝を掻き分けるように飛び出してきたかと思えば、こちらを見る余裕すらなく脇を駆け抜けていく。


「……おい、ちょっと待て」

グリスが目を細める。


「ゴブリンが人間無視して逃げるとか聞いたことねぇぞ。普通なら真っ先に襲ってくるだろ」


「完全に怯えてる……」

マリーの声も強張る。


「しかも逃げる方向がバラバラじゃない。全部、森の奥から押し出されてるみたい」


『追加反応を確認』


脳の奥へ次々と情報が流れ込む。


『前方より小型反応多数接近』


直後、森の奥からさらに複数の影が飛び出してくる。


ボア。


狼型。


ゴブリン。


種類すらバラバラだった。


だが共通している。


全部、逃げている。


「冗談だろ……縄張り完全に無視してやがる」

グリスの声が低くなる。


「ここまで森の生態系が崩れてるの初めて見たぞ」


「……来る」

レナが静かに呟いた。


次の瞬間だった。


ズン――ッ!!


地面が揺れる。


空気が震え、木々の葉が一斉にざわめいた。


森の奥から、とてつもない圧力が流れてくる。


息が詰まる。


本能が警鐘を鳴らしていた。


『超高出力反応を確認』


『大型個体接近中』


シンの喉がわずかに鳴る。


(これが……)


木々の奥。


暗闇の向こうで、巨大な影が動いた。


最初に見えたのは爪だった。


木を砕きながら現れた前脚は、人間など簡単に踏み潰せそうなほど巨大で、その表面を覆う深緑の鱗が鈍く光を反射している。


続いて現れた頭部。


黄金色の瞳。


森そのものを睨みつけるような鋭い眼光。


そして、その巨体が木々を押し倒しながら姿を現した瞬間――全員の呼吸が止まった。


「……緑龍」

マリーが震える声で呟く。


圧倒的だった。


そこにいるだけで足がすくむほどの威圧。


格が違う。


今まで相手にしてきた魔物とは、生物としての次元が違った。


だが。


「……おかしい」

レナが低く呟く。


緑龍は荒れていた。


爪で地面を抉り、尾で木々を薙ぎ倒しながら、苛立つように周囲へ視線を走らせている。


まるで何かを探しているみたいだった。


「縄張り壊してる……」

レナの目が細くなる。


「こんなの、普通じゃない」


「森の主は、自分の森を無意味に荒らさない」

ダンも低く続ける。


「何かに反応している可能性がある」


『対象を解析します』


脳の奥でchaPPYが動き始める。


『解析中――』


その瞬間だった。


緑龍の瞳が、こちらを向いた。

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