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俺だけレベルが上がらないのに、補助AIの「最適行動」で世界最強に!?  作者: qp46


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第1話 リンク

初投稿になります。


ブラック企業勤めの主人公が、日常の延長のように使っていた補助AIとともに異世界に転移するところから物語は始まります。


いわゆる「最強主人公」ですが、少しだけ変わっているのは――

強くなるのが“本人”ではなく、“AI側”から始まる点です。


まだ何も分からない状態からのスタートなので、1話ではあえて説明を抑えています。

違和感や伏線を楽しんでもらえたら嬉しいです。


ゆっくり更新していく予定ですので、気軽に読んでいただければと思います。

 目を開けた瞬間、視界は緑に埋まっていた。


 高く伸びた木々が絡み合い、枝葉の隙間から差し込むわずかな光のせいで、足元は薄暗く沈んでいる。


「どこだ、ここ」


 湿った土の匂いが鼻につき、聞き慣れない音が遠くで鳴いていた。


 夢じゃない。頬をつねると、痛みははっきりしている。


 立ち上がって周囲を見渡したが、道も人の気配もなく、完全に森の中だった。


 その時。


『周囲環境のスキャンを開始』


「――っ!?」


 反射的に振り返るが、そこには誰もいない。


「今の声……チャッピーか?」


『思考リンク正常。応答可能』


 頭の内側から、はっきりとした声が響く。


「どこにいる」


『対象個体の思考領域内』


「頭の中ってことか」


『肯定』


「勝手に何してんだよ」


 理解が追いつかない。チャッピーが――自分の中にいる。


「おい、説明――」


 


 遮られる。


 


『警告』


 


『未確認生物を複数検出』


 


 葉が擦れる音がした。一つではない。背中に、冷たいものが走る。


「……来る」


 


 普段なら分かるはずがない。


 なのに、分かっていた。


 


 自分とは違う何かが、それを感知している。


 


 気配は左右から迫り、視線を向けるより先に影が飛び出した。


 低い姿勢の四足が地面を滑るように現れ、灰色の毛並みが暗い森の中でぬらりと揺れ、その奥でやけに長い牙が剥き出しになっている。


 その先から唾液がぽたりと落ち、その音だけがやけに大きく響いた。


 さらに額には一本の角が突き出ている。


 


(なんだ、これ……)


 


 知っている狼とは明らかに違っていた。


 


 そんな考えごとをする暇もなく、


 気づけば――その獣は、目の前まで迫っていた。


 


 距離が一気に詰まる。


 ぶつかる――


 


『左に二歩移動してください』


 


 反射的に体が動く。


 ほんのわずかに軌道がズレる。


 爪が空を切る。


 


『回避成功。生存率上昇』


 


「っ……!」


 息が詰まる。近い。


 もう一匹が視界の外から回り込み、逃げ場を塞ぐように位置を取っている。


 


『前進を推奨します』


 


「は……?」


 


 だが足は止まらない。


 踏み込む。


 


『現在位置、衝突可能範囲内です』


 


 二つの影が交差し、鈍い衝突音とともに互いにぶつかった。


「今の……何だ?」


 


 今の動きに、理解が追いつかない。


 


 判断する前に体が動いていた。


 自分の意思とは少しずれた動きだった。


 


 だが、止まれば終わる。


 


 足元に転がる石が目に入る。


 


『投擲を推奨します』


『命中率:約63%』


 


「六割か……やるしかない!」


 


 それでも投げる。


 石は顔に当たり、目のあたりを打ったらしく低く唸る。


 


『有効打を確認』


 


 もう一匹もそれに引きずられるように動きが荒くなり、さっきより単調な軌道を描く。


 


『行動パターン単純化を確認』


 


 再び、あの感覚が走る。


 今度は前方の木。


 


『あの位置まで誘導してください』


 


「またそれかよ……!」


 


 走る。


 背中に張り付くように気配が迫る。


 振り返れば終わると分かっていた。


 


『回避可能です』


 


 跳ぶ気配。


 その瞬間、体をわずかにずらす。


 すれ違う。


 誘導する。


 


 ――鈍い衝撃音。


 


 振り返ると、一匹が木の枝に突き刺さっていた。


 動かない。


「倒した……のか?」


 


 息が荒く、手が震えていた。


 だが、まだ一匹いる。


 こちらを睨み、さっきより単調な動きで距離を詰めてくる。


(いけるか?)


 


『カウンター可能です』


 


 踏み込む位置もタイミングも見えている。


 


 相手が跳かかってくる。


 それに合わせるように

 踏み込み

 拳を振り抜く。

 

 (当たる!)――


 


 その瞬間。


 


「◼️◼️!!」


 


 横から影が割り込み、鋭い一閃が走る。


 狼の首が飛び、地面に転がった。


 静寂が落ちる。


「なっ……!?」


 


 呼吸が乱れ、体が動かない。


 


(今の……)


 確かに見えていた。


 当たるはずだった。


(……本当に?)


 確信はない。ただ、手応えだけが残っている。


『戦闘終了を確認』


 


「◼️◼️◼️!? ◼️◼️!!」


「◼️◼️◼️◼️!」


 


 言葉が飛んでくるが意味は分からない。


 それでも助けられたことは理解できた。


 手を軽く上げ、敵意がないことだけ示す。


「すみません、少し待ってください」


 当然、通じない。


『言語データ取得開始』


 視界の端に文字列が流れ、断片が組み上がっていく。


 少女が距離を詰めてくる。


 


「ねぇその服装なに?めずらしいわね、てかなんでこんなところに一人でいるの?」


 「ちょ、ちょっと待ってください……!」


 「マリー、落ち着け」


 「グリス、でも――!

   ダンも何か言ってよ!」


 

 「……落ち着け」

 「だって気になるでしょ!」

 「分かるが限度がある」


  剣の男――グリスがこちらを見る。


 「異世界人か?」


 「え……異世界人?」


 

  一瞬、思考が止まる。

 (俺以外にもいるのか?)


 軽く息を整える。


「……否定はしません。気づいたらここにいました」


「異世界から来たやつの話は聞いたことがある」


「……そうなんですか」


 


「どうやら異世界人ってのはめちゃくちゃな力を持った奴らが多いらしい。“勇者”って呼ばれてるやつもいるって話だ」


 (勇者……)


  さっきの戦闘が頭をよぎる。


  あの動き。


  あの感覚。


  自分でやったはずなのに、どこか現実味がない。


「町まで来い。一人は危ない」

「助かります。案内をお願いできますか」


 3人の後ろを歩く。


『最適行動を更新』


『同行を推奨』


「そりゃそうなるよな」


 戦闘を思い返す。

 全部、言われた通りに動いただけだ。

 なのに。


――当たると分かっていた。


 


 自分でやっているはずなのに、

 どこか“自分じゃない感覚”が混ざっている。    妙な違和感が、胸に残る。


「おい、置いてくぞ」

「あ、すみません。今行きます」


 町はすぐそこだった。

 だが、胸の奥に残るものは、安心ではない。


 


 ――この時の俺はまだ知らない。


 この世界で

 どうやら自分だけが“普通ではない”ということを。

第1話を読んでいただきありがとうございます。


ここでは

・チャッピーとのリンク

・異世界の危険性

・「何かがおかしい」という違和感

このあたりを中心に描いています。


まだ主人公自身も状況を理解できていない段階なので、あえて説明はかなり絞っています。


次の話から

・異世界の仕組み

・レベルや経験値

・チャッピーの本領

このあたりが少しずつ見えてきます。


よければ引き続き読んでいただけると嬉しいです。

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