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俺だけレベルが上がらないのに、補助AIの「最適行動」で世界最強に!?  作者: qp46


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第16話 《孤高成長》

第16話です。


今回はレナの過去やスキルについて、少し踏み込んだ内容になっています。

これまで一人で行動していた理由や、主人公と組めている理由にも触れています。


二人の関係がどう変わっていくのか、そのあたりも見ていただけると嬉しいです。


5/7 チャッピーのことについての説明シーンを追加しました。


森の奥へ進みながら、さっきの戦闘を思い返す。昨日までとは違い、無駄が削ぎ落とされたような感覚で、考える前に体が動く。隣を歩くレナの歩幅も自然に合っていて、言葉を交わさなくても次の動きが読めるような妙な一体感があった。


『前方80m、反応3』


(来るな)


「前、三体」


短く伝えると、レナが頷く。それだけで十分だった。茂みが揺れ、現れたゴブリンに対してレナが迷いなく踏み込み、「右!」で一体目、「そのまま前!」で二体目へと繋ぐ。三体目が動く前に距離が詰まり、刃が閃いて沈む。間がないというより、最初から終わりが見えているような感覚だった。


『左側面、反応2』


「左、二!」


レナが身体を流し、「後ろ回る!」の一言で位置を入れ替えるだけで流れが途切れない。気づけば戦闘は終わり、森に静けさが戻る。


レナが剣を軽く振って血を払う。


「……今の、やりやすい」


「こっちも」


素直に返し、そのまま並んで歩く。少しの間を置いて口を開く。


「……そういえばさ、俺の前に誰かと組んだりとかしてたのか?」


レナの足がわずかに止まる。


「……ある」


短く答える。


「でも無理だった」


そのまま歩きながら続ける。


「私には特殊なスキルがある」


一拍置く。


「《孤高成長ソロ・グロース》」


「……それって、どういうことだ?」


レナは淡々と答える。


「パーティで得た経験値が、ほとんど全部私に入る」


短い説明。


だが、それで十分だった。


「だから他は育たない。最初はいいけど、そのうち空気が変わる」


視線がわずかに落ちる。


「……便利でしょ」


小さく、自嘲気味に言う。


「面倒だから、一人でやるようになった」


言い切る。


(なるほどな)


納得する。レナが一人でやっていた理由。


少しの沈黙。


レナが足を止める。


「……ねえ」


振り返らないまま言う。


「あなたにも経験値、入ってこないでしょ」


(来たな)


「このままだと、あなた成長しない」


淡々としている。


だが、その先の言葉で意味が分かる。


「私とは、これ以上組まない方がいい」


(気遣いか)


小さく息を吐く。


「……いや」


短く返す。


「俺には最初から経験値なんてない」


レナが振り返る。


「は?」


「入らないんじゃなくて、そもそも存在しない」


言い切る。


「この世界のルールに乗ってないっぽい」


沈黙が落ちる。


レナがじっとこちらを見る。


「……なにそれ」


驚きはあるが、拒絶はない。


「だから、問題ない」


少しの間。


やがてレナが小さく息を吐く。


「……なるほどね」


顔を上げる。


「それで納得しといてあげる。」


ほんの少しだけ空気が軽くなる。


「もう遠慮はしない」


「え、してたのか?」


「少し」


わずかに口元が緩む。


それで十分だった。


(チャッピーのこと、俺も話すべきかもな)


「レナ、俺からも少しいいか?」


森を歩きながら声をかけると、レナがこちらを見る。


「……なに?」


「さっきの戦闘のことなんだけどさ」


シンは少しだけ言葉を選ぶ。


「正直、思った以上に噛み合ってた」


レナは少し考えるように前を向いた。


「……うん」


「初めて組んだ感じ、あんまりしなかった」


「それは私も思った」


淡々とした返事。


けれど否定はしない。


シンは小さく息を吐く。


「多分、その理由をちゃんと話しておいた方がいい」


その言葉に、レナの視線が戻る。


「理由?」


「ああ。俺、戦闘中に敵の位置とか動きが妙に分かるだろ」


「見えてる感じはした」


「実際は、俺が見てるっていうより――教えられてる」


レナの眉がわずかに動く。


「誰に?」


シンはこめかみを軽く指で叩いた。


「頭の中にいるやつ」


数秒、沈黙。


森を抜ける風だけが葉を揺らした。


「……なにそれ」


「俺も最初そう思った」


苦笑する。


「気づいた時にはいたんだよ。名前はチャッピー」


「チャッピー……」


レナが少しだけ怪訝そうな顔をする。


「変な名前」


「そこは否定できない」


思わず笑う。


少し空気が緩んだ。


「そいつが、敵の位置とか、どう動けばいいかとかを流してくる」


「魔法?」


「分からない。俺にも正体は謎」


シンは肩をすくめた。


「でも、かなり助けられてる」


狼型魔物との最初の戦闘も、街へ辿り着けたのも、ここまで生き残れているのも、全部チャッピーがいたからだ。


「だから、あの戦い方ができた」


レナはしばらく黙っていた。


否定も、驚きもない。


ただ静かに考えている。


やがて、小さく口を開いた。


「……なるほど」


「信じる?」


「半分くらい」


「半分かぁ」


「でも、説明はつく」


そう言ってレナは前を向く。


「普通じゃないくらい、反応が早かったから」


シンは少しだけ苦笑した。


「まあ、普通ではないな」


その時だった。


脳内へ情報が流れ込む。


『前方60m、反応4』


(来るな)


「前、四体」


空気が変わる。


レナが剣へ手をかけた。


「どっちから?」


「右に二。少し遅れて左」


「じゃあ右やる」


短いやり取り。


それだけで十分だった。


次の瞬間、茂みを掻き分けるようにゴブリンが飛び出す。


「右!」


レナが踏み込む。


一体目の喉を裂き、その勢いのまま二体目へ繋ぐ。


シンは左側へ回り込もうとしていた個体へ剣を合わせた。


「左止める!」


「そのまま!」


レナが流れるように向きを変える。


刃が閃き、三体目が沈む。


最後の一体が逃げようとした瞬間、シンが足を払った。


転倒。


そこへレナの剣が振り下ろされる。


静寂。


戦闘終了まで、十秒もかからなかった。


レナが剣の血を払う。


「……やっぱり変」


「褒めてる?」


「少しは」


その返しに、シンは思わず笑った。


まだ完璧じゃない。


でも、確かに噛み合い始めていた。


二人はそのまま並んで、さらに森の奥へ進んでいく。


第16話を読んでいただきありがとうございます。


今回はレナの過去とスキル《孤高成長》について触れつつ、なぜこれまで一人で行動していたのか、その理由を描きました。

強さと引き換えに他者と組みにくくなる、という少し歪んだスキルになっています。


また、主人公側の“経験値が存在しない”という点も明確にし、二人が組める理由として繋げています。

このあたりは今後の展開にも関わってくる部分です。


そして、戦闘での連携が噛み合いすぎている違和感も少しだけ入れています。

まだはっきりとは出ていませんが、今後徐々に触れていく予定です。


よければ感想やレビューなどいただけると励みになります。

反応を見ながら続きも書いていきますので、引き続きよろしくお願いします。

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