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俺だけレベルが上がらないのに、補助AIの「最適行動」で世界最強に!?  作者: qp46


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第17話 最適化のその先

第17話です。


今回は戦闘メインの回になりますが、これまでとは少し違う形での戦いになっています。

シンとレナの連携や、チャッピーのサポートの変化などにも注目していただけると嬉しいです。


森の奥へ踏み込むほど空気は重くなり、木々の隙間に満ちる気配がじわりと濃くなる。足裏に伝わる土の柔らかさが変わり、踏み出すたびに沈む感覚が、ここがさっきまでとは別の領域だと告げていた。


『前方反応、多数』


「前、多い。群れだ」


レナが短く頷き、剣を抜く。次の瞬間、茂みが弾け、複数の影が同時に飛び出した。左右から回り込み、正面から押し込む、数で潰す単純な動き。


『右三、左二、前四』


「右三、左二、前四!」


レナが踏み込む。


「右!」


一体。


「そのまま前!」


二体目。


刃が流れるように繋がる。


「左、回る!」


三体目。


迷いがない。動きが途切れない。こちらの声とレナの動きが噛み合い、次の一手が自然に重なっていく。


(……楽すぎる)


考える前に体が動く。敵の位置も軌道も、最初からそこにある答えをなぞっているようだった。気づけば群れは崩れ、最後の一体が地に沈む。


静寂が戻る。


レナが剣を軽く振り、血を払う。


「……やっぱりおかしい」


「そうか?」


「噛み合いすぎ。説明つかないレベル」


(まあな)


否定はできない。


だが、その違和感に言葉を与える前に、空気が変わった。


『新規反応検出』


森の奥から、重く粘りつくような圧が押し寄せる。低い唸りとともに現れたのは、四足の大型獣だった。筋肉の塊のような体躯が地面を踏みしめるたび、土が沈む。


レナの視線が鋭くなる。


「……グレートファングウルフ」


わずかに声が低くなる。


「普通のウルフとは別物。上位種よ」


一瞬だけ間。


「単独で出る時点で、かなり厄介」


(なるほどな)


踏み込む。


だが、その一歩より先に獣が動いた。


速い。


「っ!」


レナが弾かれる。こちらもギリギリで避けるが、爪が地面を深く抉り、土が跳ねる。


(速すぎる)


刃は通るが浅い。削りきれない。さっきまでの流れが通用しない。


押し切れない。


そのとき、視界の端に表示が走る。


『レベルアップを確認』


(……は?)


『解析LV2』

『最適行動LV4』

『確率演算LV2』


(上がった……?)


『提案:サブスク機能の初級解放』


一瞬迷う。


だが、このままでは押し負ける。


「やれ」


『承認。所持金から500Gを徴収。初級サブスク機能を解放します』


 


――――――――――

【サブスク機能】

演算能力向上(初級)

――――――――――


再現可能:

・剣技

・盾技

・風魔法(初級)

・動作トレース


――――――――――


 


感覚が変わる。


視界の奥行きが広がり、目の前の動きが分解されていく。獣の踏み込み、筋肉の収縮、次に来る軌道。そして同時に、レナの一連の動きが細かく分かれ、“再現できる形”で並び始める。


(……見える)


そして理解する。


(再現できる)


「レナ!」


「何!」


「そのまま行け、合わせる!」


レナが迷わず踏み込む。


それに重ねる。


同じ角度、同じ速度、同じ軌道。


剣が走る。


深く入る。


「っ……!?」


レナの目がわずかに細まる。


「次、左来る!」


獣の動きが“線”で読める。


避ける。


そのまま空気を掴むように意識を向ける。


圧縮する。


(いける)


放つ。


風が刃となって獣を削る。


「続ける!」


「分かってる!」


動きが重なる。連携というより、同じ答えに辿り着いている感覚だった。無駄が消え、迷いが消え、“最適”だけが残る。


そのとき――


『戦闘継続時、複数の進行分岐を確認』


(分岐?)


一瞬だけ思考が引っかかる。


『推奨行動を再計算中』


表示が更新される。


だが――


(……妙だな)


提示された動きが、わずかにズレている。


最短でも最速でもない。


「レナ!」


「何!」


「一歩引いて、左から入る!」


レナが眉をひそめる。


「それ、わざわざやる必要ある?」


(だよな)


自分でもそう思う。


だが――


『成功率:上昇』


(……まあいいか)


「こっちの方が通る」


レナは一瞬だけ考え、


「……了解」


動く。


その瞬間、獣の軌道が変わる。


直線的に来ていた動きがずれ、結果的に致命的な一撃を外す形になる。


(……そう来るか)


踏み込む。


一閃。


巨体が揺れ、そのまま崩れ落ちる。


静寂。


重い空気が抜ける。


レナがゆっくりこちらを見る。


「……今の」


少し間を置く。


「さっきと違う。明らかに別物」


(バレるか)


「ちょっと強化した」


曖昧に返す。


レナは何も言わない。


ただ――


ほんの少しだけ距離を取る。


(……おい)


『サブスク効果、残り23時間20分』


(まだまだいけるな…)


さっきの感覚が残っている。


迷いがない。


判断がいらない。


(……楽だな)


 


「シン」


 


レナが低く言う。


 


「それ、便利だけど」


 


少し間。


 


「正直、気味悪い」


 


(……)


 


否定できない。


 


『最適行動継続中』


 


(……まあいいか)


 


小さく息を吐く。


 


そのとき、表示がわずかに更新される。


 


『分岐確定』


 


(……今のは)


 


意味を考える前に、次の動きが流れ込む。


 


森の奥で、新たな気配が動く。


 


まだ見えていないはずの先、その終わり方だけがぼんやりと浮かぶ。


 


 


――最適解は、まだ続いている。


第17話を読んでいただきありがとうございます。


今回は戦闘を中心に、チャッピーの能力強化や新しい要素を少し入れてみました。

これまでの“最適行動”とは少し違う挙動も出てきていますが、そのあたりは今後少しずつ触れていく予定です。


また、レナとの連携も一段階進んだ形になっています。

ただし、うまくいきすぎている部分に対しての違和感も、少しだけ入れてあります。


よければ感想やレビュー、ブックマークなどいただけるととても励みになります。

反応を見ながら続きも書いていきますので、引き続きよろしくお願いします。

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