第11話 帰還と分配
第11話です。
ゴブリンキング討伐後の帰還と、その後のやり取りを描いています。
戦闘後の関係性の変化や、報酬の扱いなどにも少し注目していただければと思います。
森を抜けると、空気が一気に軽くなる。さっきまでの圧が嘘みたいだった。
(……終わったんだよな)
足は動く。だが頭の奥に重さが残っている。考えようとすると、少し遅れる。
(あれが“負荷”か)
横を見る。レナは変わらない足取りで歩いている。
だが――
さっきより、少しだけ距離が近い。
(気のせいじゃないな)
そのまま街へ戻り、ギルドへ入る。中はいつも通りのざわつきだったが、レナが受付へ向かうと、空気がわずかに変わる。
「依頼の報告よ」
受付の女性が顔を上げる。
「はい、お疲れ様です。討伐の証明を――」
レナが袋を差し出す。
耳が並ぶ。その中に、一つだけ明らかに大きいものが混じっている。
受付の手が止まる。
「……これは」
「ゴブリンキング」
ざわ、と空気が揺れる。
周囲の視線が一斉に集まる。
「キング……? 森外縁部で、ですか?」
「出たから倒した。それだけ」
簡潔すぎる説明。
だが、それで十分だった。
受付は一度頷き、すぐに奥へ引っ込む。
その間も視線は消えない。
(……見られてるな)
少しだけ後ろに下がる。
「逃げないのね」
横から声が飛ぶ。
「……え?」
「こういうの、苦手でしょ」
「……まあ」
否定できない。
レナは小さく息を吐く。
「なら、慣れなさい」
「簡単に言いますね」
「簡単じゃないから言ってるの」
少しだけ間。
「……今日のは、あんたの功績もある」
「そうですか?」
「なかったら負けてた」
あっさり言う。
だが、その言葉は重い。
(マジかよ)
少しだけ、胸が軽くなる。
受付が戻ってくる。
「確認が取れました。討伐完了です」
袋が差し出される。
「こちらが報酬になります。討伐分に加え、キング討伐の追加報酬を含みます」
レナが受け取る。
重さを確かめるように一度だけ持ち直し、そのまま紐を緩める。中を一瞥し、すぐに金を取り出した。
手際がいい。
迷いなく数え、二つに分ける。
「はい」
片方をこちらに差し出す。
「……え?」
思わず声が出る。
「半分」
「いや、でも……」
「仮だけどパーティでしょ」
「ほとんどレナさんが倒してましたよね?」
「なかったら負けてた」
視線が刺さる。
(……本気か)
手元の金を見る。
もう一度レナを見る。
「……多くないですか」
「そう思うなら、次で返しなさい」
試すような目。
少し迷って、受け取る。
「……分かりました」
レナはそれ以上何も言わず、残りを自分の袋に戻す。
そのまま視線をこちらに向ける。
「で」
「はい」
「どうするの」
「……何がです?」
「これから」
少し考える。
宿はない。武器もまともじゃない。金は、今入ったばかり。
そして――目の前にはレナがいる。
『提案:当該個体とのパーティ結成を推奨します』
(だよな)
息を一つ吐く。
「……一緒にやりませんか」
真っ直ぐ言う。
レナは少しだけ目を細める。
「断ったはずだけど」
「知ってます」
「理由も変わってない」
「それでも、です」
間が空く。
レナは視線を外し、少し考える。
やがて、こちらを見る。
「……条件付き」
「はい」
「足引っ張ったら切る」
「はい」
「あと」
ほんの少しだけ間。
「今日みたいに“使える”なら」
視線が刺さる。
「考えてあげる」
完全な了承ではない。
だが――
(十分だろ)
「お願いします」
軽く頭を下げる。
レナは背を向ける。
「今日は解散」
「……え?」
「宿くらい、自分で取りなさい」
そのまま歩き出す。
止めない。振り返らない。
(……相変わらずだな)
だが、拒絶ではない。
確実に一歩進んでいる。
『所持金の確認を推奨します』
「ああ、そうだったな」
袋を開ける。
中身を見る。
そして――固まる。
(……増えすぎじゃね?)
――リザルト表示――
所持金 6200G(+4100)
chaPPY
解析LV1
最適行動LV3
確率演算LV1(NEW)
再現可能
剣技(簡易)
盾技(簡易)
風属性魔法(簡易)
第11話を読んでいただきありがとうございます。
今回は
・討伐後のギルドでの報告
・報酬の分配
・レナとの関係の変化
を中心に描いています。
少しずつですが、二人の距離が縮まってきています。
また、今回からリザルト表示を入れてみました。
いわゆる“ステータス表示”みたいなものですが、こういう見せ方のほうが分かりやすいのか、それともテンポ的に邪魔になっていないか、正直まだ探りながら書いています。
もしよければ、このあたりの感想も含めて教えていただけると嬉しいです。
作品を続けていく上で、読んでいただいている方の反応を参考にしながら調整していきたいと思っています。
レビューや感想などいただけると、かなり励みになります。
反応を見つつ、続きを書いていく予定ですので、引き続き読んでいただけたら嬉しいです。




