<二十二>
アルガの二十日。
シィン達三人の姿が「破風の窓」亭の一室に見られた。
あの後、とりあえず三人で引き上げ、此処に宿を取ったのだ。(もちろん二部屋)
今は、互いの情報を擦り合わせている最中だった。
「…という訳だ。」
「なるほどね。お互いすれ違いみたいなことをしながら邪神崇拝を追ってたわけね。」
「…でも、シィンがいて助かった。あの怪物には私たちだけじゃ勝てない。」
「だが、『護符』も万能ではないぞ。」
「というと?」
「あくまで邪神の眷属にしか利かんからな。」
「…邪神崇拝者には利かない、ということ?」
「その通りだ。そして邪神そのものにも、な。」
此処で三人の情報の擦り合わせは終わった。
「で、お前達はどうする?」
「どうするって、決まってるでしょ。」
「…絶対にこの事件を終わらせる。」
予想された二人の応えに溜息をつくシィン。
「正直、お前達を関わらせたくはない。心情的にも、能力的にも。」
「でも!」
シィンの諭すような言葉に噛み付くフィリア。
「邪神だけでも大変なのに『奴ら』まで関わってるんだぞ?」
(『奴ら』?)
その言葉に疑念を抱くディー。どうやらシィンとフィリアが知っていて、自分が知らない存在がいるようだ。それも…。
「…本当?」
一気に固くなった友人の声音から尋常な相手ではないことが推察された。正直、シィンの勧めに従ってこの件から降りるのが賢い、それは理解できた。
「…私は…。」
口を開くディー。そのディーを見つめる二人。
「それでも…、この件を解決したい。」
愚かなのかもしれない。しかし胸の中の感情がおさまらなかった。
自分の能力のありったけを振るってもなお届かないかもしれない。
足手まといになるかもしれない。
しかし「彼」が挑むなら助けになりたい。それがあの迷宮で「彼」に救われた自分にできることだから。
「わたしも同じ。」
フィリアもディーに同意する。ディーの心情は判らなかったが、奇しくもディーと同じようなことを考えていた。
何時如何なる時でもシィンと共にありたい、シィンの隣に立ちたい。
そのために全てを捨てて集落を出てきたのだから。
此処で命惜しさに降りたらその思いは叶えられない。
そんなことをしたら死んだアル達に顔向けができない。
二人の決意が固いことを悟ったのだろう。シィンは困った顔をして一言告げた。
「死ぬなよ。」
こうして三人のパーティが結成された。
というわけで、三人は改めてアザトー通りにいた。シェルズから新たな情報ないし助言をもらうためである。しかし…。
「シェルズはおらんよ。」
そう告げたのは先にシィンを試した「エイブ」だった。
「しばらくは帰ってこん、と聞いておる。」
「そうか。」
いないものは仕方ない。諦めて踵を返したその背に「エイブ」が声をかけた。
「じゃが、言伝を預かっておる。儂の住処に来るが良い。」
そう言ってエイブはシィン達を己の住処に案内した。
なかなか筆が進みません。




