<十二>
というわけで連日投稿になります。
アルガの17日、深夜。
ニュールカイムの貧民街の奥のとある路地で、女は走っていた。
…クスクス…クスクス…。
不気味な含み笑いが追いかけてくる。
「誰!誰なの!」
叫びながら逃げる。
ここまでは治安隊も入ってこない。
周囲には人影はない。
しかし。
それでもこの場所に人は住んでいるはずだ。
自分もこの辺りに何人もの知り合いがいる。
何故、誰も出てこないのか。
貧民街の結束は案外強い。弱い者は群れなければ生きていけないからだ。
だからこのような場合、必ず誰かしらは様子を見に出てくるはずなのだが…。
…クスクス…クスクス…。
相変わらず追いかけてくる含み笑い。
恐怖に囚われて走る女の前に、突然人影が現れた。
横の路地から出て来たのだろう。
いつもなら身構えたかも知れない。
だが、今は得体の知れないものに追いかけられているせいで安心感の方が先立った。
「た、助けてっ!」
その人影にしがみつく。
「どうした。」
「追われてるのっ!」
「何も見えんが。」
「だけど…変な笑い声が。」
声の震える女を安心させるかのように改めて辺りを見回し、肩を竦める男。
「やはり、何もいないぞ。」
「あんたが来たからあきらめたのかも…。」
「そうかもしれんな。取りあえず送…」
と、突然男が黙る。
ゲヤャハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!
すぐ隣で湧き上がる哄笑。
何が起こったのか分からず立ちすくむ女。
隣の男は何故か何も言わず立ったまま。
いや、少しずつ男の身体が持ち上がっていく。
背中から血が流れ出している。
おかしい。
何故、血がまるで棒のように?
そこに眼に見えない管でもあるかのように血が流れていく。
立ちすくむ女の目の前にうっすらと浮かび上がってきたもの。
グネグネと動く不定形の胴体。ブヨブヨとした袋をいくつもつなげたように見えるその胴体から、牙の生えた口のついた触腕が無数に伸びて蠢いている。
その内の一本が男の身体に背中から潜り込み、音を立てて血を啜っている。
それにつれてますます輪郭がはっきりしてくる「其れ」。
…クスクス…クスクス…。
…クスクス…クスクス…。
それは、蠢く触腕の先から漏れる音。
その光景を見た女は絶叫を上げ、そして狂った。
次の日の朝。
女は身体をバラバラにされ、血を全て吸い尽くされた姿で見つかることになる。
あれ、ホラーになってきちゃった。
というわけでそろそろ小説のタグにも追加しようかなと思ってます。
ほら、あれですよ。
最近流行の。
Cthulhuなんですね。
と言っても、もともと「Watch」には入ってくる予定だったんですけど。




