<結>
その後の「風の止まり木亭」では…。
後日、「還らずの迷宮」が攻略されたという噂が広がり、その迷宮に挑む者が一時増えたが、その全てが還らなかったこと、更に情報屋に一部の情報(罠の程度と配置が変更されること)が流れることによって、無謀な挑戦者は居なくなった。
と同時に、其処を攻略した「風追い人」のパーティには、さらなる名声が集まることとなった。(カイト曰く「面倒くさい」)
ディーとフィリアはその後、「風追い人」のメンバーと共に行動することが多くなり、準メンバー扱いとなった。(能力的にはついて行けない部分もあるため留守番に回ることもある)
ケイトは2人のバトルが起きるのを楽しみにしていたようだが、すぐに仲良くなり肩すかしを食らった、とシャリーにこぼしていた。
実際、境遇も種族も、性格も違うのに何故か2人は気が合い、常に行動を一緒にするようになるまで、そう日数はかからなかった。
「風追い人」のメンバーはそれぞれ不死者達の情報を探っていたが収穫は無し。当然シィンの情報も無い、ということで、フィリアはその点には失望感を表していた。そして…。
「風の止まり木亭」の朝。
テーブルには、いつもより少し早めに起きたディーの姿があった。
(…また、あの夢。)
ディーは昨夜見た夢を思い出していた。
正確には同じ夢ではない。
ただ自分が他の人物になって登場するのだ。
その夢の中では、自分はシィンと恋人同士であちこちを散策したり会話をしたりする。 その時の自分はフィリアになっていたり、別の女性になっていたりする。
(やっぱり、シィンのこと好きなのだろうか…。)
そんなことを思っているとフィリアが部屋から降りてきた。
「ディー、お早う。」
「…お早う、フィリア。」
ディーの横に腰掛けると軽く欠伸をするフィリア。
「眠そう…。」
「ちょっと夢見がね…。」
その言葉を聞いて思わずどきりとするディー。
ついさっき自分も夢のことを考えていたばかりだったから。
「どんな…夢?」
「…ん、あ、ああ、そうたいしたこと無い夢よ。」
そう答えながら内心焦るフィリア。
(まさか、私がディーになってシィンとデートしてたなんて絶対言えない!)
何やら気まずい沈黙が生まれたところにギドが朝食を持ってくる。
そのまま、夢のことは話題にならず、2人の新しい一日が始まるのだった。
とある迷宮内では、静寂の中で突然「会話」が生まれ、そしてその声は始まりと同様、突然途絶えた。
『剣と欠片が集い。』
『剣と欠片が一つになる。』
『全き剣は全てを切り裂く。』
『じゃが、それは善きことか悪きことか』
『エリダンテですら見通すことは叶わぬであろう。』
『難儀な事じゃ』
※昼と夜、光と闇を司る双性神「エリダンテ」は、同時に時を司り、見守る運命神でもある。ある神官によると「エリダンテ様の右眼は未来を見通し、左眼は過去を見通してみえます」とのこと。
というわけで2章はお終いです。
次は、幕間の予定です。




