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Watch ~監視者~  作者:
「精霊の迷宮」
52/98

<十五>

しばらくぶりの更新です。

 あれから半ジアン程経ち、漸く一行も落ち着いたところで、改めて試練への挑み方の打ち合わせをする。

 「それではもう一度手順の確認をするぞ。」

 「ああ。」

 「…私が持っている身体強化薬を全員が飲む。」

 ディーが最初に話す。錬金術師として、彼女はパーティ用の薬品を用意していた。一部は使用していたが、それでも現状の人数分程度は残っていた。この薬品は3ジアンほどは効果が続く上、他の補助魔法と効果が重複するので、今回のような場合は特にありがたい。

 「次に、俺が扉を開けて『合い言葉』を唱える。」

 シィンが言うと、それに続けてグレンが、

 「合い言葉に応えて出てきた精霊に合わせて、儂が全員に防御魔法をかける。」

 続いてシャリーが、

 「さらに私が筋力強化、続けて敏捷強化をかける。」

 最期にケイトが、

 「それを受けて私達はできるだけ後方に下がり、シィンが一撃を受けるのを待つ。」

とまとめた。

 そこでカイトが

 「質問だが、全員で部屋に入らなくてもいいのか?」

と問いかける。これはディーの安全を考えた問いだ。

 「良いには良いはずだが…、『鍵』の関係でディーを扉の外にはおけん。」

 『鍵』から3ミトル離れると罠が作動する。それは扉の前でも同じだ。シィン達と離れた瞬間、「死」が訪れるだろう。

 「…大丈夫、それに…四大精霊がこの目で見られるのなら。」

 ディーが暗に自分が足手まといになりたくない、と訴える。

 「問題はどんな攻撃がくるか、だ。」

 「確かに全員を巻き込む攻撃か、シィン1人を攻撃するのか、によっても違うからな。」

 「それは考えても仕方ない部分だな。」

 「ですね。」

 先ほどは蒼ざめていたシャリーもどうやら腹を括ったようで、表情は硬いものの顔色は普段通りに戻っている。


 「では、行くぞ。」

 準備を整え、一行は扉をくぐった。

 「セイン・ラ・フィーメ」

 シィンが合い言葉を唱える。

 と、部屋の中央に濃密な気配が生まれた。

 それはどんどんと凝縮していき、1人の女性の形を取った。

 『久方ぶりの挑戦者だこと。』

 全員の頭の中に鈴の音のような美しい「声」が響いた。

 「俺の名はシィン。試練を受けに来た。」

 『其の方は…、以前会うた事がありましたね…。』

 「その節は世話になった。水精王アーフラ殿」

 『契約で力を貸したまでのこと。で、試練に挑むのですか?』

 「お手柔らかに頼む。」

 『試練の手は抜けません。ですが、用意するくらいの間はあげましょう。』


 その声を聞いて、グレンが詠唱を始める。


-我が神、カイロスよ、猛き水より守り賜え-『水防壁プロテクト・ウォーター

-我が神、カイロスよ、害する力より守り賜え-『魔防壁プロテクト・マジック


と、連続して神聖呪文を詠唱する。

 さらに、シャリーが


 -肉体-強化-仲間-宿-『剛力パワービルド

 -敏捷-強化-仲間-宿-『加速アクセル

 -魔力-防護-同胞-宿-『高位防護陣ハイ・プロテクション』-


と古代魔法で仲間を強化していく。 


 『用意はできたようですね。』

 そう告げると水精王アーフラの右手に魔力が凝集されていく。

 その圧倒的な魔力に思わず、眩暈を起こしそうになる一同。

『行きます。』

と同時に、水精王アーフラの手から「水龍」が躍りかかってきた。


 水龍の一撃を最初に受け止めたのはシィン。

 もちろん、まともに受け止められるはずもない。


-我は命ず-我が支配下の火の精霊-壁-『炎壁ファイアウォール

-我は命ず-我が支配下の火の精霊-壁-『炎壁ファイアウォール

-我は命ず…-


 立て続けに精霊魔法で防御壁を作り出して「水龍」の勢いを殺ぐ。

 しかし「水龍」はそこで止まらず、大きく上昇すると、幾つもの小さな「水龍」に分裂した。

 そして上方からシィン達に襲いかかってきた。

 シャリーの「高位防護陣ハイ・プロテクション」で防ぎ止めたようにみえたが、勢いは止まらず、そのままその場にいたものを吹き飛ばす。

 その場に立っているものは水精王アーフラだけだった。


 と、倒れ伏している者の中から一人、そしてまた一人と立ち上がった。

 初めに立ち上がったのはシィン。

 次に頑丈な肉体を有するドワーフのグレン。

 さらに、直撃をかろうじて避けたファーサイト、うまく盾で逸らしたカイトが立ち上がる。

 さすがに女性陣は立ち上がるのは無理そうだったが、ディーを含めて意識は保っていた。


-我が神、カイロスよ、同胞を癒し賜え-『高位治癒アドバンスド・ヒール』 


 グレンが神聖魔法で仲間達を癒す。

 結果として、全員が水精王アーフラの前に再び立つことができた。

 (『試練は終了です。』の声に座り込んだり、寝転がったりしてしまったが。)


※シィンは呪いによる制約で高位魔法を使用することはできないが、魔法技術とセンスに関しては今までの転生によって、ほぼ極限まで高めている。今回使用した『炎壁ファイアーウォール』も精霊魔法の初級魔法になるが、相反する属性と繰り返し掛ける(通常同時に展開できる「壁」系魔法は一枚なので、自分に到達するまでに合計二十三枚の壁を壊されると同時に掛けていった。)ことによって「水龍」の勢いを削いだ。

水精王アーフラは転生をまだ一度もしていない頃のシィンに出会っている。当然、姿形は違うが、シィンを魂の「形」で見分けている。これは精霊王に限らずどの精霊も同じである。精霊が友好的かどうかは、基本的にその魂の「形」が気にいるかどうか、という一点にかかっている。

次回はもう少し早く更新できると良いな…。

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