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Watch ~監視者~  作者:
「悲しみの森」
28/98

<二十五>

戦闘前半です。

 その場所は闘争の舞台であった。演目は2組の踊り手達が舞う死の舞踏。対価はお互いの命。舞踏が終わるとき、何れかの命の輝きは消えることになる。


 シィンとアルフォード、ビロウズの闘いは、例えるなら「静」であろう。

 相手の死角に潜り、攻撃をかわし、流し、剣を振るうアルフォード。

 大技に頼らず、必要なときに必要な術を的確に使うビロウズ。

 そして、その2人の弟子であり、相手の手の内をよく知るシィン。

 両者の闘いは自然、相手の出方を探り、予測し、間合いを計る、そんな闘いになっていった。フェイントに次ぐフェイント。時にで相手の足を払い、魔法で動きを止める。

と思うと、睨み合ったまま互いに動きを止める。

 それは、静かで激しい闘争だった。その場にあるのは互いの呼吸音と、時折唱えられる呪文。すぐ側で行われているもう一つの戦闘の激しい物音も、まるで聞こえていないかのようだった。

 いや、事実聞こえていなかったのだろう。それほど両者は戦闘に集中していた。

 客観的に見てシィンの戦闘力は驚嘆に値した。二つ名持ちであるアルフォードとビロウズを相手に互角に戦っているのである。これは個人の能力で比べれば、シィンがアルフォードもビロウズも上回っていることの証でもあった。

 (シィンがこれほどとは…)

 アルフォードもビロウズも心の中で舌を巻いていた。

 弟子として鍛えてきた以上、ある程度その実力は理解しているつもりだった。

 しかし、実際は想像を超えていた。

 身体能力もさることながら、時折交えてくる古代魔法や見知らぬ闘技。自分たちが教えたことのない技術まで使ってくる愛弟子の姿は、確かに自分たちを超えていた。

 (それでも、勝たねばならん。)

 魂に刻まれた呪いがそれを強要する。

 囚われたフィリアの存在がそれを訴える。

 負けるわけにはいかない、その思いがアルフォードとビロウズの胸に、ある決意を芽生えさせていた。


 カイト達とゴレームとの闘いは「動」であった。

 圧倒的な力で敵を粉砕しようとするゴーレム。その動きも決して遅くはない。しかも、鋼でできたその身体は生半可な攻撃は弾いてしまうのだ。

 それに対しカイト達はパーティとしてのチームワークで対抗した。

 ゴーレムに対して有効な攻撃法を持たないケイトとファーサイトが牽制役。

 メイスに武器を持ち替えたカイトとシャリーの魔法で攻撃役。

 グレンは攻撃の補助と回復役。

 瞬時にアイコンタクトで役割分担した後、ゴーレムとの戦闘に入った。

 ケイトとファーサイトが互いの位置を瞬時に入れ替えながら挑発し、ゴーレムの標的を絞らせない。

 カイトはゴーレムの注意がそれている隙に魔力附与エンチャントされたメイスをゴーレムの足に叩きつける。

 上がる金属音。

 自分を攻撃したカイトに反撃しようとするゴーレムに、今度は側面から魔法のマジック・アローが突き刺さる。思わずのけぞるゴーレム。

 すかさずグレンがゴーレムの右足首にバトルアックスの一撃を見舞う。

 と同時に、ケイトとファーサイトがグレンが追撃されないよう、再び挑発を始める。

 翻弄されるゴーレム。

 戦闘の流れは「風追い人」のパーティが握っているようだった。

 しかし、それは綱渡りのようなバランスだった。

 少しでも攻撃が擦れば、ケイトやシャリーあたりなら即座に致命傷になりうる攻撃。

 叩いても、魔法を打ち込んでもなかなかダメージを受けない鋼の身体。

 少しでもタイミングが狂えば、逆に「風追い人」が追いつめられてしまう。

 ゴーレムを破壊するのが先か、自分たちの体力が尽きるのが先か。

 これはそういうデッドレースだった。

 (サーヴァントとやり合って、夜の森の走破、そしてゴーレムとの戦闘…)

 全体を見ているシャリーには、その危うさがパーティの誰よりもわかっていた。現在の「風追い人」はスタミナを消耗しすぎている。

 (このままでは、負けるかも知れない…。)

 何か、何か決定打は無いものか、必死で探りながら呪文を唱えるシャリー。

 その切っ掛けは思いがけない方向からもたらされた。

切りがいいので、まずはここまで。

続きもできるだけ早く投稿します。

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