<二十四>
やっと戦闘開始です。
ここまで書くのに時間がかかった…。
-また、不確定因子か-
=排除するか?=
-邪魔さえせねば良いだろう-
=しないと思うか?=
-…するだろうな-
=では=
-とりあえず「あれ」で押さえよう-
=排除できんかもしれんぞ?=
-押さえられるなら構わん-
洞窟は自然にできたもののようだった。黴臭く湿っぽい臭いが微かに鼻に漂ってくる。
シィンの点した魔法の灯りに先導されて進む一行。
「…古代魔法も使えたんですね。」
ぽつりと呟くシャリー。ビロウズの弟子、と聞いていたので、少々意外だったのだ。
それは質問ではなく、ただの独り言だった。
だが、シィンは質問されたと思い、答えた。これから戦うかもしれない相手の戦力把握だと考えたのだ。
「ビロウズは使えないぞ。アルもな。」
「え、そうですか。」
独り言を聞かれていたと思わなかったシャリーは、幾分間抜けな答え方をしてしまった。
それから、今の答えに改めて疑問を持つ。
(では、誰から古代魔法を習ったのでしょう?)
その心を読んだかのようにシィンが言葉を続ける。
「古代魔法は父から習った。」
その後は、黙って進む一行。と、その足が止まった。
前方に微かな明かりが見えたのだ。
微かな緊張が一行に走る。しかし、前に進まねばならないことはわかっていた。
「行こう。」
カイトのその声に、また歩み始める。
たどり着いたその場所は、今までの洞窟とは違っていた。
差し渡し2,30ミトルはある真っ白な円形の部屋。周囲の壁が発光しているため、物を見るのに不自由はしなかった。そして、其処に予想通りの2人が待っていた。
カイト達の5ミトル程前にシィンが歩み出る。
「待っていたぞ、シィン。」
声をかけてきたのはアルフォードだった。隣にいるビロウズは無言。ただじっとシィンを見つめていた。
「…。」
対するシィンも無言のまま。ただ悲しみを秘めた目で2人を見つめていた。
「おまえを殺せばフィリアが助かる。」
言葉を続けるアルフォード。それにシィンが答える。
「ああ、俺が死ねばフィリアもアル達も、それにカイト達も助かるだろう。」
2人のやりとりをビロウズもカイト達も黙って聞いている。
「では死を選ぶか?」
「そうした方が良いかもな。ただ…。」
「ただ?」
「その道を俺は選べない。」
「何故だ?」
「ここでアルに殺されることを選ぶくらいなら、母さん達に殺されてたよ。」
「そうか…。」
「母さん達の命を奪ってこの場所にいる俺が、立ち止まるわけにはいかないだろ?」
「そうだな。」
「だから…アル達もここで斃す。」
そう言うと、腰から小剣を抜いて構えるシィン。それに合わせて構えるアルフォード。
「2人で来てくれ。」
ビロウズにも声をかけるシィン。
「本気ですか。」
「それぐらいじゃなきゃ、奴らの前には立てないよ。」
「なるほど、ね。」
そう言うとビロウズも魔法を使う構えをとった。
同時に3人の間の空気が変わる。濃密で熱を持ったようなものが渦巻く感覚。三人の放つ殺気が見ている者にはまるで炎のように感じられた。
それを見たケイトは思わず声を漏らした。
「無茶よ、2人相手なんて…。」
カイトは黙ってシィンの側に出ようとする。
-邪魔はせんでもらおう-
その「声」と同時に空間が割れた。
割れた空間から現れたのは、身の丈3ミトル程の漆黒のゴーレムだった。
-お前達の相手はこ奴じゃよ-
その「声」と同時にゴーレムはカイト達に襲いかかってきた。
ズドァゥム!と言う腹に響く破砕音。
同時に一瞬前までカイトが居た地面が擂り鉢状に陥没した。ゴーレムが振るった右拳の一撃である。空気が焦げるような幻臭すら感じたほどの凄まじさであった。
「散開しろ!」
指示を飛ばすカイト。それに従い、即座に臨戦態勢をとる「風追い人」の面々。同じ場所で2つの命をかけた闘いが始まった。
※ゴレームは付与魔法によって仮初めの命を与えられた存在である。材質によってその強さには大きな差が生まれる。一般に堅い素材ほど強い。ここで使われたゴーレムは金属製の中でもかなりの強さを誇る鋼鉄製ゴーレム(スチール・ゴーレム)。鉄製ゴーレム(アイアン・ゴーレム)よりはるかに強い個体。
何度も書き直した割には余りよくない気が…。




