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第二十九話 墓所

 数人は夜の中を歩き続ける。

 背後では、百鍊塔が次第に小さくなっていく。

 足元も、ひび割れた岩地から湿った土へと変わっていった。

 目の前の景色は次第に見慣れないものとなり、辺りには生気がまるで感じられない。


 やがて低い竹林を抜けると、巨大な石門が一行の前に姿を現した。

 石門の真上には、四つの大きな文字が刻まれている。

 ――安魂墓所。


「金族の……起源?」

 エイノは顔を上げ、目の前に佇む荘厳で重々しい古びた石門を見つめた。

 鉄震が前へ進み、手を伸ばし、重々しい石門を押し開ける。

 そして振り返り、一行へと声をかけた。

「行こう。」


 一行は鉄震の後に続き、ゆっくりと墓所の中へ足を踏み入れる。

 墓所の中には、一本の真っ直ぐな道が奥深くまで伸びていた。


 道の両側には、いくつもの石碑が立ち並んでいる。

 その一つ一つの石碑には、黄色い宝石が埋め込まれていた。

「緑耀森林を例に挙げるなら、緑耀神樹が破壊されれば、お前たちは力を失う。だが、俺たちは違う。ここが存在し続ける限り、金族の力は受け継がれていく。」


 一行はさらに奥へと進んでいく。

 深く進むほど、両側に並ぶ石碑に埋め込まれた黄色い宝石が、次第に強く輝きを放つようになった。


「どうして、この黄宝石はどんどん明るくなっていくの?」

 エイノは気づいた。

 入口付近にある黄宝石の多くは光が弱く、中にはすでに光を失っているものさえあった。


「それは魔力金鉱だ。」

 鉄震は前方を見据える。

「人がこの世を去った後、その身に宿っていた魔力は魔力金鉱へと移される。そして、その魔力はここで受け継がれ、すべての金族の者たちが使えるようになる。だからこそ、中央神殿では金族の住民をほとんど見かけないんだ。」


(中央神殿? そういえば、中央神殿にいる人たちは、ほとんどが各族の魔力を失った者たちだったはずだ。)

 エイノは俯き、しばらく考え込んだ。


「そして、奥へ行くほど魔力金鉱は新しいものになっている。だから、あそこにある魔力金鉱はまだ輝いているんだ。」

 鉄震は足を止めた。


 その前には、周囲の石碑よりもさらに古い石台が立っている。

 石台の上には何もない。

 ただ一本の紋様だけが、地面から石台の上へと伸びていた。


「これが誓いの台なの?」

 エイノは前へ進み、石台の傍らにしゃがみ込んで観察する。

「そうだと思う。この墓所の中で、何のためにあるのか分からない石台はこれだけだから。」

 鋼心は台の中央にある窪みを指差し、エイノを見る。

「ここに置いてみて。」


 エイノは頷き、星を取り出すと、台の中央にある窪みへそっと置いた。

 星が窪みに収まった、その瞬間――


 ヴゥン――。

 石台がかすかに震え、先ほどまで沈黙していた紋様が瞬時に黄金の光を放ち始める。

 光は星の周囲から生まれ、紋様に沿って外側へと流れていく。

 瞬く間に台面全体へと広がると、まるで潮のように地面へと流れ落ち、そのまま四方へと広がっていった。


 一つ、二つ、三つ――。

 石碑に刻まれた紋様が、次々と同じように輝き始める。

 石碑に埋め込まれた魔力金鉱もまた、一つ、また一つと光を放ち始めた。

 先ほどまで淡い光しか放っていなかった魔力金鉱までも、まるで再び火を灯されたかのように、輝きを取り戻していく。


 安魂墓所全体が、瞬く間に光に包まれた。

 静寂に沈んでいた墓所が、今、再び目を覚ます。

 星から放たれていた淡い光も、さらに眩いものへと変わっていく。


 全員が思わず手をかざして目を覆う。

 やがて光が徐々に収まっていき、皆が手を下ろすと――

 そこにあった星は、すでに消えていた。


「消えた!」

 エイノは呆然と、何もなくなった石台を見つめる。

「誓いは聖地へと帰る……」


 鉄震はしばらく黙り込んだ後、懐から魔晶の入った袋を取り出した。

「これは最初に約束した報酬だ。お前たち……」

 最後まで言い終える前に、カイロスが言葉を遮った。

「いらないよ、おっちゃん。正確に言えば、俺たちは最初に言われた依頼を達成できてないんだろ?」


 鉄震は呆然と立ち尽くした。

「だからさ、この金は俺たちには受け取れない。」

 鉄震はゆっくりと、皆の顔を見渡した。


 エイノとカイロスは、真っ直ぐで誠実な眼差しを向けている。

 エイラは顔を横へ向けており、その表情は見えない。

 一方、鋼心とデックは二人の間にある事情を知らない。

 一人は棒付きキャンディを口の中でくるくると転がし、もう一人は巨大な大剣を肩に担ぎながら、傍らの雑草を斬り払っていた。


「それなら、俺がお前たちに一つ借りを作ったってことにしておこう。これから何か助けが必要になったら、遠慮なく百鍊塔に来てくれ。」

 鉄震は魔晶をしまい、皆へと目を向ける。


 カイロスがニッと笑った。

「じゃあ、遠慮なく頼らせてもらうぜ。絶対に会いに行くからな!」

 鉄震も笑う。

「いつでも歓迎する!」

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