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お正月

年が明けた。


お正月。


家の中は、おもちの匂いと笑い声でいっぱいだった。


結愛は、朝からテンション全開。


「おとしだまー!!」


まだ意味はよく分かってない。


でも“特別な日”ってことだけは理解している。


優月は、ちょっとお姉さんっぽくなっていた。


「ちゃんとありがとう言うんだよ」


結愛へ教えている。


でも。


自分もお年玉もらった瞬間。


「やったぁぁ!!」


普通に飛び跳ねてた。


まだ子どもだった。


ある日。


家族みんなで初詣へ行くことになった。


神社へ続く道には、屋台が並んでいる。


結愛、即ロックオン。


「チョコバナナ!!」


早い。


参拝前。


僕は笑う。


「まずお参りね」


優月は真剣な顔で頷く。


神社の鈴を鳴らして。


手を合わせる。


僕は、横目で家族を見る。


唯ちゃん。

優月。

結愛。


みんな、ちゃんと目を閉じて願っている。


その姿が、なんだか愛しかった。


帰り道。


僕は優月へ聞く。


「何お願いしたの?」


優月は少し照れながら言う。


「ひみつ」


でも。


少し考えてから、小さく付け足した。


「みんなが、いっぱいわらえますようにって」


その言葉に。


僕と唯ちゃんは、静かに笑った。


結愛は元気よく言う。


「ゆあはね!」


「うん?」


「ぷりんいっぱい!」


現実的だった。


数日後。


冬休み最後の日。


優月は、宿題の“今年の目標”を書いていた。


『やさしくする』


『えほんをいっぱいよむ』


そこまでは良かった。


最後。


『ぱぱみたいに、いっぱいわらう』


僕、吹き出す。


「それ目標なの!?」


優月は真顔。


「いいことじゃん」


唯ちゃん、笑いながら頷く。


「たしかに」


なんだかんだで。


“笑うこと”は、この家族の真ん中にあった。


その夜。


雪が降った。


静かな夜。


子どもたちは窓に張りついている。


「つもるかなぁ!」


「しろーい!」


外は寒いのに。


家の中は、温かかった。


唯ちゃんは、編み物をしながらふと呟く。


「ねえ」


「ん?」


「この子たち、大きくなったね」


僕は頷く。


優月は、もう自分で考えて動けるようになった。


結愛も、少しずつ“できること”が増えている。


でも。


どんなに成長しても。


寝顔だけは、昔のままだった。


夜更け。


子どもたちを寝かせたあと。


僕と唯ちゃんは、ソファで並んで座っていた。


窓の外には、静かな雪。


唯ちゃんが、僕へそっと寄りかかる。


「ねえ」


「ん?」


「これから先もさ」


「うん」


「いっぱい笑おうね」


僕は、静かに笑った。


「もちろん」


その時。


隣の部屋から。


ゴンッ!!


嫌な音。


僕と唯ちゃん、飛び起きる。


「結愛!?」


急いで行くと。


結愛、ベッドから落ちてた。


でも。


寝たまま。


しかも寝言。


「……ぷりん……」


僕と唯ちゃん、数秒沈黙。


そして。


同時に吹き出した。


今年もきっと。


この家族は、騒がしくて、温かい。


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