「誰かを喜ばせたいって思う人の中に」
冬休み。
街にはイルミネーションが増えて、夜になるとキラキラ光っていた。
家の中では――
クリスマス準備が始まっていた。
優月は、ツリーの飾り付け担当。
結愛は、邪魔担当。
「それ、ここだよー」
優月が丁寧に飾る。
でも次の瞬間。
結愛が全部まとめて一か所へつける。
「きらきらいっぱい!」
偏りすごい。
僕、笑いを堪えながら言う。
「ツリーの右側だけ豪華なんだけど」
唯ちゃん、吹き出す。
「左側、冬眠してる」
結局。
家族全員でバランスを直すことになった。
その夜。
優月は、サンタさんへの手紙を書いていた。
真剣な顔。
何度も消しては書き直している。
僕が覗こうとすると。
「だめ!」
隠された。
でも。
結愛は普通に大声で言う。
「ゆあ、ぷりんほしい!」
サンタ、困る。
数日後。
クリスマスイブ。
外は少し雪が降っていた。
家の中には、シチューの匂い。
ケーキ。
チキン。
そして、子どもたちのテンション。
「ぱーてぃー!!」
結愛、踊ってる。
優月も大はしゃぎ。
唯ちゃんは、そんな二人を見ながら優しく笑っていた。
夕飯のあと。
みんなで写真を撮ることになった。
でも。
タイマー直前で、結愛が変顔。
優月、大爆笑。
僕までつられて笑う。
結果。
全員笑い崩れた写真になる。
唯ちゃんは、その写真を見て言った。
「なんか、うちらっぽい」
完璧じゃない。
でも。
すごく楽しそうだった。
夜。
子どもたちを寝かせる時間。
優月は小声で聞いてきた。
「ねえ、ぱぱ」
「ん?」
「サンタさんって、ほんとにいる?」
その質問に。
僕は少し考える。
そして笑った。
「いると思うよ」
「どこに?」
僕は、優月のおでこを軽くつついた。
「誰かを喜ばせたいって思う人の中に」
優月は、少し不思議そうな顔をして。
それから小さく笑った。
「そっか」
隣では、結愛がもう爆睡。
しかも。
靴下を抱きしめてる。
朝。
まだ暗いうちから。
「ぱぱぁぁぁ!!」
飛び起きる声。
クリスマス、早い。
リビングへ行くと。
プレゼントを見つけた二人が大騒ぎしていた。
優月は欲しかった画材セット。
結愛は、大きなうさぎのぬいぐるみ。
「うさぎしゃぁぁん!!」
抱きついて離れない。
優月も目を輝かせていた。
「すごい……!」
その笑顔を見るだけで。
僕も唯ちゃんも、嬉しくなる。
朝日が差し込むリビング。
包装紙が散らばって。
笑い声が響いている。
僕は、その光景を見ながら思った。
子どもたちは、きっといつか大きくなる。
サンタの正体も知る。
一緒に過ごせる時間も、少しずつ変わっていく。
でも。
今日みたいな朝は。
きっと、ずっと心の中に残る。
唯ちゃんが、温かいコーヒーを飲みながら小さく言う。
「幸せだね」
僕は頷く。
本当に。
何気ない毎日が、ちゃんと宝物だった。




