でも、大好きは残ると思う!
秋が深まる頃。
家の近くの公園は、赤や黄色の落ち葉でいっぱいになっていた。
結愛は、その落ち葉を見つけるたびに大興奮。
「はっぱのじゅうたん!」
走る。
集める。
投げる。
そして自分にも降りかかる。
「きゃはは!」
優月も負けじと参戦。
二人で落ち葉を投げ合っている。
僕と唯ちゃんは、ベンチに座りながらその光景を見ていた。
唯ちゃんが小さく笑う。
「毎年、季節の遊び方が全力だね」
「うん」
「子どもって、天才かも」
本当にそう思った。
大人なら通り過ぎる景色を。
子どもたちは、宝物みたいに遊ぶ。
その時。
優月が、突然大きな葉っぱを持って走ってきた。
「みて!」
頭に乗せてる。
「王冠!」
たしかに立派だった。
すると結愛も真似する。
でも。
サイズが大きすぎて顔隠れてる。
「……まえみえない」
僕と唯ちゃん、大爆笑。
その帰り道。
商店街を歩いていると、小さな写真展をやっていた。
テーマは――
“家族”。
何気なく入ってみる。
そこには。
手を繋ぐ親子。
笑ってる夫婦。
赤ちゃんを抱っこするお父さん。
色んな“日常”の写真が並んでいた。
優月は、じっと一枚の写真を見ていた。
夕焼けの中。
家族が並んで歩いている写真。
「……なんか、うちみたい」
その言葉に。
僕と唯ちゃんは顔を見合わせる。
たしかに。
特別な写真じゃなかった。
でも。
“帰る場所がある”って感じが、すごく似ていた。
写真展の最後には、小さなノートが置いてあった。
“あなたにとって家族とは?”
自由に書けるらしい。
優月は、迷わずペンを持った。
真剣な顔で、ゆっくり書く。
結愛も隣でぐるぐる描いてる。
多分うさぎ。
書き終わって。
優月は少し照れながらノートを閉じた。
僕はあとで、こっそり見てみる。
そこには。
『いっぱいわらえるところ』
って書いてあった。
たったそれだけ。
でも。
優月にとっての“家族”が、その一言に全部入っていた。
僕は胸が熱くなる。
唯ちゃんも、その文字を見て静かに微笑んだ。
帰り道。
夕焼け空が、街をオレンジ色に染めていた。
結愛は、歩き疲れて僕の背中。
優月は、唯ちゃんと手を繋いでいる。
その時。
優月がふと聞いた。
「ねえ、ぱぱ」
「ん?」
「おとなになったら、家族ってかわる?」
僕は少し考えた。
そして笑う。
「形は変わるかもね」
「かたち?」
「優月も結愛も大きくなるし、新しい夢もできる」
優月は静かに聞いている。
僕は続けた。
「でも、“大好き”は残ると思う」
その言葉に。
優月は少し安心したように笑った。
「じゃあ、だいじょうぶだ」
家へ帰ると。
結愛が急に元気復活。
「おなかすいたぁぁ!!」
数秒前まで眠そうだったのに。
唯ちゃん、吹き出す。
「食欲の妖精だ」
夕飯は、みんなでシチューを食べた。
湯気の向こうで笑う顔。
重なる声。
何気ない夜。
でも。
僕は思った。
こういう瞬間が。
人生で一番、あったかいのかもしれないって。




