好きなことを誰かのために
夏休みの終わり。
夜風が、少しだけ涼しくなっていた。
優月は、宿題ラストスパート。
机の上には――
プリントの山。
僕は隣で丸つけ係。
結愛は、その横で応援係。
……のはずだった。
「ねぇね、がんばれー!」
とか言いながら。
消しゴムを持って逃走。
「こらぁぁ!!」
優月、追いかける。
リビング、運動会。
唯ちゃんはキッチンで笑っていた。
「毎年こうなるねぇ」
ある日。
優月の学校で、“家族参観日”があることになった。
「ぱぱとまま、ぜったいきてね!」
優月、珍しく真剣。
僕と唯ちゃんはもちろん頷く。
当日。
教室へ入ると、優月は少し照れくさそうだった。
でも。
僕たちを見つけた瞬間。
ぱあっと笑顔になる。
その顔を見ただけで、来てよかったと思えた。
授業は、“将来の夢”。
一人ずつ前へ出て話していく。
サッカー選手。
ケーキ屋さん。
動物のお医者さん。
みんなキラキラしていた。
そして。
優月の番。
少し緊張しながら前へ出る。
僕も唯ちゃんも、静かに見守る。
優月は、大きく息を吸って言った。
「わたしのゆめは――」
教室が静かになる。
「えほんをつくるひとです」
唯ちゃんが、小さく息を飲む。
優月は続けた。
「ままみたいに」
その瞬間。
唯ちゃんの目が、一気に潤んだ。
優月は、恥ずかしそうに笑いながら話す。
「かなしいひとも、わらえるおはなしをつくりたいです」
僕は、その言葉を聞いて胸が熱くなった。
唯ちゃんが、ずっと大事にしてきたもの。
“好きなことを、誰かのために使う”
その背中を。
優月はちゃんと見ていた。
発表が終わると、教室は拍手に包まれた。
優月は照れながら席へ戻る。
でも。
途中で転びそうになる。
「あっ」
僕、反射的に立ち上がる。
でもギリギリ耐えた。
するとクラスの子がぽつり。
「優月ちゃんのパパみたい」
教室、大爆笑。
優月まで笑ってる。
「にてる!」
僕、ショック。
DNAレベルで転び認定されていた。
帰り道。
唯ちゃんは、ずっと静かだった。
僕が聞く。
「どうしたの?」
すると唯ちゃん、小さく笑う。
「なんかさ」
「うん」
「嬉しくて」
少し涙ぐみながら言う。
「ちゃんと見ててくれたんだなって」
僕は頷く。
優月は、ただ育っているだけじゃない。
ちゃんと。
誰かの優しさを受け取って。
それを、また誰かへ渡そうとしている。
その姿が、本当に眩しかった。
夜。
家へ帰ると。
結愛が突然、




