家族って増えるたびに幸せも増えるね。
ある冬の日。
外では雪が降っていた。
窓の外を見ながら、優月が大騒ぎしている。
「ゆきー!!」
結愛も真似して。
「きー!!」
まだうまく喋れない。
でも勢いだけはある。
唯ちゃんは笑いながら、マフラーを巻いていた。
「今日は雪だるま作れるかもね」
すると優月、超ハイテンション。
「うさぎゆきだるまつくる!!」
もう全部うさぎになる。
庭へ出ると、空気はひんやり冷たかった。
でも。
子どもたちは元気いっぱい。
優月は雪へダイブ。
「つめたぁぁい!!」
自分で飛び込んで、自分で騒ぐ。
結愛は、小さな手で雪を触って固まっていた。
「……!」
初めての雪。
不思議そうに見つめている。
僕はそんな結愛を抱っこしながら笑う。
「冷たい?」
すると結愛、突然。
雪を僕の顔へぺちっ。
「ぶふっ!?」
優月、大爆笑。
「ゆあちゃん、つよい!」
唯ちゃん、笑いすぎてしゃがみ込んでる。
結局。
みんなで雪だるまを作ることになった。
でも。
優月の希望で――
耳をつける。
完全にうさぎ。
しかも。
なぜか僕に似せられていた。
「ぱぱうさぎ!」
「なんで!?」
鼻だけ妙にリアル。
唯ちゃん、腹筋崩壊。
その時。
結愛が、小さな声で言った。
「……ぱぱ」
空気、止まる。
僕と唯ちゃん、同時に振り返る。
「え?」
結愛は、僕を指差してもう一回。
「ぱぱ!」
僕、固まる。
優月、飛び跳ねる。
「いったぁぁ!!」
唯ちゃん、もう泣いてる。
「初めて……!」
僕は、胸がいっぱいで言葉が出なかった。
結愛は何も分かってない顔で笑っている。
「ぱぱー!」
その一言だけで。
疲れも。
寒さも。
全部、吹き飛んだ。
夜。
お風呂上がり。
結愛は眠そうに僕へ抱っこされていた。
小さな手で、僕の服をぎゅっと握っている。
「ぱぱ……」
まだ少したどたどしい。
でも。
ちゃんと僕を呼んでくれている。
僕は結愛の頭を優しく撫でた。
「はい、パパですよー」
すると優月が、隣からぷくっと頬を膨らませる。
「ゆづきも!」
「はいはい」
僕は優月も抱き寄せる。
すると結愛、なぜか大笑い。
「きゃはは!」
唯ちゃんは、その光景を見ながら静かに笑った。
「なんかさ」
「ん?」
「家族って、増えるたびに幸せも増えるね」
僕は頷く。
もちろん、大変なこともある。
寝不足の日。
ケンカする日。
余裕がなくなる日。
でも。
笑い合える瞬間が、その何倍もあった。
夜更け。
子どもたちが眠ったあと。
僕と唯ちゃんは、静かなリビングで温かいミルクティーを飲んでいた。
窓の外では、雪がしんしんと降っている。
唯ちゃんは、ふと昔のアルバムを開いた。
そこには。
小さかった優月。
泣き虫だった頃。
保育園の日。
そして今日の、雪だるまの写真。
僕は笑う。
「思い出だらけだなぁ」
唯ちゃんも微笑む。
「これからも増えるよ」
その言葉通り。
きっとこの先も。
笑って。
泣いて。
転んで。
また笑って。
そんな毎日を重ねながら。
僕たちは、“家族”になっていくんだと思った。




