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結愛が生まれてからの毎日

結愛が生まれてからの毎日は――

とにかく、にぎやかだった。

朝。

結愛、泣く。

「おぎゃあああ!」

僕、飛び起きる。

でも。

その横で、優月も飛び起きる。

「ゆあちゃん!!」

お姉ちゃん、最速。

唯ちゃんは眠そうに笑う。

「二人とも元気……」

結愛は、まだ小さい。

抱っこすると、ふわふわで。

ミルクの匂いがして。

僕は何度抱っこしても、不思議な気持ちになった。

“また守りたい命が増えた”

って。

優月は、完全に“お姉ちゃんモード”だった。

オムツを持ってくる。

タオルを運ぶ。

子守歌を歌う。

でも。

たまに張り切りすぎる。

「ゆあちゃん!たかいたかーい!」

「まだ早い!!」

僕と唯ちゃん、大慌て。

優月はしょんぼり。

「おねえちゃん、むずかしい……」

唯ちゃんは笑いながら優月を抱き寄せる。

「ゆっくりでいいんだよ」

すると優月、小さく頷く。

「……うん」

その顔が、少しだけお姉さんだった。

ある夜。

結愛がなかなか泣き止まない日があった。

抱っこしても。

ミルクを飲んでも。

ずっと「ふぇぇぇ……」って泣いてる。

僕も唯ちゃんも、少し疲れていた。

寝不足でフラフラ。

そんな時。

優月が、静かに絵本を持ってきた。

「ゆあちゃん」

小さな声。

そして。

結愛の隣へ座り、読み聞かせを始めた。

「むかしむかし、うさぎさんがいました」

やっぱりうさぎだった。

でも。

不思議と、結愛は泣き止んだ。

じーっと優月を見ている。

優月は嬉しそうに、ページをめくる。

その光景を見ながら。

唯ちゃんが、小さく涙を拭った。

「……優しいね」

僕も頷く。

優月は、“お姉ちゃん”になろうとしていた。

まだ小さいのに。

ちゃんと、誰かを大切にしようとしていた。

数か月後。

結愛は、よく笑う子になった。

特に。

優月を見ると爆笑する。

「きゃははっ!」

優月、得意げ。

「ゆづき、おもしろいから!」

でも実際。

変顔してる。

全力。

僕と唯ちゃん、大笑い。

そしてある日。

結愛が初めて寝返りをした。

ころん。

僕と唯ちゃん、大興奮。

「今見た!?」

「見た!!」

優月なんて拍手してる。

「すごぉぉい!!」

結愛は、何が起きたか分からない顔。

でも。

その小さな成長が、家族全員を笑顔にした。

夜。

子どもたちが眠ったあと。

僕と唯ちゃんは、静かなリビングで温かいお茶を飲んでいた。

隣の部屋からは、小さな寝息が二つ聞こえる。

唯ちゃんは、ソファへ寄りかかりながら呟く。

「家族、増えたねぇ」

僕は笑う。

「うん。すごい増えた」

「昔は二人だったのに」

その言葉に。

僕は、出会った頃のことを思い出す。

ネオン街。

不器用な会話。

“いってらっしゃい”の一言。

あの日から。

こんな未来になるなんて、想像もしていなかった。

でも今。

笑い声があって。

泣き声があって。

“おかえり”がある。

僕は、唯ちゃんの肩をそっと抱く。

唯ちゃんは優しく笑った。

「幸せだね」

その言葉に。

僕は静かに頷いた。

窓の外には、優しい月明かり。

その光の中で。

四人の時間は、ゆっくり、温かく流れていった。

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