表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
68/302

買い物

夏の始まり。

唯ちゃんのお腹は、だいぶ大きくなっていた。

優月は毎日、お腹へ話しかけている。

「おーい、あかちゃんー!」

「ゆづきだよー!」

でも最近。

なぜか説教もする。

「まま、けらないでね!」

僕と唯ちゃん、大笑い。

唯ちゃんはお腹を撫でながら笑った。

「優月、お姉ちゃんっぽくなったねぇ」

すると優月、胸を張る。

「ゆづき、おねえちゃんだから!」

でも五分後。

アイス落として号泣。

まだまだ子どもだった。

ある休日。

僕たちは、赤ちゃん用品を買いに行った。

小さな服。

小さな靴下。

優月は目をキラキラさせながら選んでいる。

「これかわいい!」

でも選んだの。

全部うさぎ柄。

店員さんまで笑っていた。

「うさぎ好きなんですねぇ」

優月、即答。

「うん!」

そして突然。

小さな帽子を持って僕へ言う。

「ぱぱ、にあう!」

「赤ちゃん用だよ!?」

唯ちゃん、笑い崩れる。

「ちょっと見たい」

その流れで。

なぜか僕、赤ちゃん帽子を被らされる。

サイズ、限界。

優月、床転がって爆笑。

「ぱぱ、ちいさい!」

店員さんまで肩震わせてる。

完全に公開処刑だった。

帰り道。

夕焼け空の下。

優月は、小さな赤ちゃん服を大事そうに抱えていた。

「はやくあいたいなぁ」

その声が、とても優しかった。

夜。

唯ちゃんは少し疲れた様子だった。

お腹も重くて、寝返りも大変そう。

僕が背中をさすると、唯ちゃんは小さく笑う。

「なんかさ」

「ん?」

「優月の時より、あっという間」

僕は頷く。

「たしかに」

「でも、その分」

唯ちゃんは、お腹を撫でながら言った。

「毎日が濃い」

その言葉通りだった。

笑って。

バタバタして。

怒って。

泣いて。

でも。

その全部が、ちゃんと愛しい。

その時。

隣の部屋から。

ドンッ!!

嫌な音。

僕と唯ちゃん、同時に立ち上がる。

「優月!?」

急いで行くと。

優月、布団から落ちていた。

しかも寝ながら。

「……うさぎさん……」

普通に寝てる。

僕と唯ちゃん、数秒静止。

そして。

二人同時に吹き出した。

「寝相すごい!!」

僕が抱き上げて布団へ戻す。

優月は寝ぼけながら、僕の服をぎゅっと掴いた。

「……ぱぱ」

「ん?」

「だいすき……」

その瞬間。

胸がぎゅっとなる。

僕は優月の頭を優しく撫でた。

「パパも大好き」

唯ちゃんは、その光景を見ながら静かに微笑んでいた。

もうすぐ。

また新しい命がやってくる。

不安もある。

大変なことも、きっといっぱいある。

でも。

この笑い声の中なら。

僕たちは、きっと大丈夫だと思えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ