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クリスマス

冬の始まり。

山田家では、ある一大イベントが始まろうとしていた。

――クリスマス。

唯ちゃんは数日前から張り切っていた。

「今年は優月、絶対サンタ理解してないけどやる」

「気合いが強い」

部屋には、小さなクリスマスツリー。

うさぎの飾り。

なぜか一つだけ、僕の顔みたいな雪だるま。

「これなに?」

「パパ」

「雑すぎる」

唯ちゃんは笑いながらオーナメントを飾っていた。

優月もお手伝い気分。

でも実際は。

飾りを取る。

投げる。

逃げる。

完全に破壊神。

「優月ー!それ食べない!」

キラキラの飾りを口に入れそうになって、僕と唯ちゃん大慌て。

でも本人は超楽しそうだった。

クリスマス当日。

唯ちゃんは朝からケーキ作り。

僕は料理担当。

優月は――

小麦粉まみれ担当。

気づいたら顔にクリームついてる。

しかも自分で鏡見て爆笑してる。

「きゃはは!」

唯ちゃんが写真を撮る。

「将来これ絶対見せる」

僕は笑いながら優月のほっぺを拭いた。

夜。

小さなパーティーが始まる。

優月はサンタの帽子を被って、超ご機嫌。

でも五分後。

帽子を脱いで鍋に入れた。

「煮込まないで!?」

唯ちゃん、涙出るほど笑ってる。

食後。

プレゼントタイム。

僕と唯ちゃんは、優月へ小さな絵本を渡した。

うさぎがいっぱい出てくる絵本。

優月は目をきらきらさせながらページをめくる。

「わぁ……!」

その顔を見た瞬間。

唯ちゃんが、少し泣きそうに笑った。

僕は気づいて聞く。

「どうした?」

唯ちゃんは小さく首を振る。

「なんかね」

「うん」

「昔、“家族のクリスマス”って、テレビの中の話だと思ってた」

部屋には、優しい灯り。

小さなツリー。

笑う優月。

唯ちゃんは、その景色を見つめながら続ける。

「でも今、ここにある」

その声が、とても温かかった。

僕は唯ちゃんの隣に座る。

「あるね」

優月は、新しい絵本を抱きしめながら僕たちを見て笑っていた。

「ぱぱ!」

「ん?」

「ままぁ!」

唯ちゃんが嬉しそうに返事する。

「なぁにー?」

すると優月。

急に真顔で。

「……ケーキ!」

僕と唯ちゃん、吹き出す。

「結局それ!?」

優月は満面の笑み。

完全に食いしん坊だった。

夜更け。

優月が眠ったあと。

僕と唯ちゃんは、静かなリビングでツリーを眺めていた。

窓の外には、小さな雪。

唯ちゃんは僕の肩にもたれながら、小さく言う。

「ねえ」

「ん?」

「これからもさ」

「うん」

「いっぱい写真撮ろうね」

僕は頷く。

笑ってる日も。

泣いてる日も。

ケンカした日も。

全部。

“家族だった証”として残したかった。

僕は唯ちゃんの手を握る。

「うん」

その時。

隣の部屋から。

「……けーき……」

優月、寝言。

僕と唯ちゃん、同時に笑いを堪える。

食欲、夢の中まで最強だった。

静かな冬の夜。

でも家の中は、笑い声の余韻で、ずっと温かかった。

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