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つきよのうさぎ  作者:
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これからもよろしくね

病室は、朝の柔らかい光に包まれていた。

唯ちゃんはベッドの上で、優月をそっと抱いている。

その姿を見た瞬間。

僕は胸がいっぱいになった。

唯ちゃんは、何度も優月の小さな顔を見つめている。

「……かわいい」

泣きそうな声だった。

優月は、小さな口をもごもご動かしながら眠っている。

まるで、“ここが安心する場所だよ”って分かっているみたいに。

僕はベッドの横へ座る。

唯ちゃんは優月を見ながら、小さく笑った。

「ねえ」

「ん?」

「ほっぺ、あなたに似てる」

「そうかな?」

「うん。あと寝顔も」

僕は思わず笑ってしまう。

「まだ生まれたばっかりだよ」

「でも分かるもん」

その時。

優月が、小さくふにゃっと声を出した。

「……!」

僕も唯ちゃんも、一瞬で顔を見合わせる。

そして次の瞬間。

二人同時に、

「かわいい……」

と呟いていた。

その空気がおかしくて、唯ちゃんが吹き出す。

「もう完全に親バカだね」

「唯ちゃんもでしょ」

「うん」

病室には、優しい笑い声が広がった。

しばらくして。

唯ちゃんは優月の 小さな指を見つめながら、ぽつりと言う。

「この子ね」

「うん」

「いっぱい笑って生きてほしい」

僕は静かに頷く。

唯ちゃんは続ける。

「つらい日があっても、“帰れる場所がある”って思える子になってほしい」

その言葉に、胸が熱くなる。

僕は優月の小さな頭をそっと撫でた。

「大丈夫」

「うん」

「この家、いっぱい“おかえり”って言うから」

唯ちゃんの目に、また涙が浮かぶ。

「……うん」

その時。

優月が、小さなあくびをした。

僕たちは同時に笑う。

「自由だなぁ」

「将来、大物かも」

「絶対マイペース」

そんな会話をしながら、僕たちは何度も優月を見つめた。

昼頃。

看護師さんが、優月をベビーベッドへ寝かせる。

唯ちゃんは、その姿を目で追いながら、小さく呟いた。

「不思議だね」

「ん?」

「この子がいるだけで、世界が違って見える」

窓の外では、雨上がりの空が広がっていた。

青くて、明るくて。

まるで新しい未来みたいだった。

僕は唯ちゃんの肩をそっと抱く。

唯ちゃんは安心したように寄りかかってきた。

「ねえ」

「ん?」

「優月が大きくなったら、いっぱい絵本読んであげようね」

「うん」

「あなたは学校の話して」

「唯ちゃんは、うさぎの話ばっかりしそう」

「する」

二人で笑う。

その笑い声の隣で、優月は静かに眠っていた。

まるで。

“これからよろしくね”って、安心しているみたいに。

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