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つきよのうさぎ  作者:
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213/302

『おかえり、ぼうけん』

キャンプから帰ってきた次の日。


山本家は――


静かだった。


……いや。


正確には。


みんな、ちょっとだけ電池切れ。


結愛なんて。


ソファに転がりながら言った。


「きのう、たのしすぎた……」


完全燃焼。


ひまりちゃんも遊びに来ていたけど。


同じ状態。


二人並んでゴロゴロ。


まるで干された猫。


優月と咲良ちゃんは、昨日撮った写真を見返していた。


焚き火。


星空。


変顔の結愛。


プリンぬいぐるみ。


見るたび笑ってる。


その時。


一枚の写真で、二人が止まる。


朝の森を歩いている写真。


優月と咲良ちゃんが、並んで笑っていた。


自然な笑顔。


咲良ちゃんが、小さく笑う。


「なんか、いい写真」


優月も、少し照れながら頷く。


「うん」


その空気が、すごく穏やかだった。


午後。


結愛とひまりちゃん、復活。


早い。


そして突然。


「キャンプごっこしよう!!」


始まった。


リビングにテント。


毛布。


クッション。


もう秘密基地のプロ。


優月、笑いながら手伝う。


咲良ちゃんは、紙で“キャンプのしおり”を作り始めた。


細かい。


しかも上手い。


結愛、感動。


「ほんものだ……」


その後。


みんなで“おうちキャンプ”開始。


ランタン風ライト。


お菓子。


ジュース。


そして――


謎の怖い話大会。


結愛、真剣な声。


「あるひ……ぷりんが、きえました……」


全然怖くない。


ひまりちゃん、笑い崩れる。


優月なんて涙出てる。


咲良ちゃんも肩震わせてる。


でも。


その笑い声が、本当に楽しそうだった。


夜。


少し静かになった頃。


結愛が、急に言った。


「またみんなでキャンプしたい」


ひまりちゃんも頷く。


「つぎは、もっとながく!」


優月は、その二人を見ながら笑った。


「また行こうね」


咲良ちゃんも優しく頷く。


その返事が。


“これからも一緒”みたいに聞こえた。


寝る前。


優月は、スケッチブックを開く。


おうちテント。


笑うみんな。


ランタンの光。


そして。


寄り添って眠そうにしてる、結愛とひまりちゃん。


タイトルは――


『おかえり、ぼうけん』


その絵は。


今までで一番、“帰ってくる場所”のあたたかさが描かれていた。


窓の外では、秋の風が少しだけ吹き始めていた。


でも。


山本家の毎日は、まだまだ夏の続きを抱きしめていた。


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