きらきらの友達
ある夏の午後。
結愛は、朝から大騒ぎだった。
理由はもちろん――
ひまりちゃんと遊ぶ日。
しかも今日は。
「おねえちゃんもくる!」
らしい。
結愛、テンションMAX。
「まほうしょうじょ、ふえる!!」
戦隊化してきた。
公園へ行くと。
ひまりちゃんが手を振っていた。
その隣には――
少し背の高い女の子。
長い髪。
落ち着いた雰囲気。
スケッチブックを持っている。
優月と同じくらいの年齢だった。
ひまりちゃんが紹介する。
「お姉ちゃんの、咲良!」
すると。
咲良ちゃんは、少し照れながら頭を下げた。
「こんにちは」
優月も、少し緊張しながら挨拶する。
「こんにちは……」
最初は、少しぎこちない。
でも。
結愛とひまりちゃんは関係ない。
即変身。
「きらりんっ☆」
「プリズムチェーンジ!」
全力。
咲良ちゃん、苦笑い。
優月も吹き出す。
その瞬間。
なんだか空気が柔らかくなった。
しばらくして。
結愛たちは、“悪のぬいぐるみ帝国”と戦い始める。
平和。
その横で。
優月は、咲良ちゃんのスケッチブックを見て驚いた。
絵が上手だった。
しかも。
風景の描き方がすごく綺麗。
優月が思わず言う。
「すごい……」
咲良ちゃんは、少し照れる。
「優月ちゃんも描くの?」
優月、頷く。
「うん。家族とか、ケーキとか」
その瞬間。
咲良ちゃんの目が少し輝く。
「わたし、お菓子の絵描くの好き!」
優月もびっくり。
「ほんと!?」
そこから早かった。
二人、急に話し始める。
画材。
色。
好きなお菓子。
絵本。
優月の“ケーキ研究ノート”まで見せ始める。
結愛、途中で気づく。
「あれ?」
ひまりちゃんも首を傾げる。
「お姉ちゃんたち、なかよくなってる」
早い。
そのあと。
四人で公園に座りながら、お菓子の話になる。
優月が言う。
「将来、ケーキ屋さんみたいなの出来たらいいなって」
すると。
咲良ちゃんが笑う。
「じゃあわたし、メニュー描きたい」
優月、目を丸くする。
「えっ」
咲良ちゃんは、少し照れながら続けた。
「優月ちゃんのケーキ、絵本みたいだから」
その言葉に。
優月の顔が、ぱあっと明るくなる。
たぶん。
“好き”を分かってもらえるって、すごく嬉しいんだ。
その頃。
結愛とひまりちゃん。
木の枝を持って戦闘中。
「やみのまじょめ!」
「きらきらぱーんち!」
平和すぎる。
夕方。
帰る時間。
結愛たちは、名残惜しそう。
でも。
優月と咲良ちゃんも、なんだか話し足りない感じだった。
咲良ちゃんが言う。
「今度、一緒に絵描かない?」
優月は、少し驚いたあと。
嬉しそうに笑った。
「うん!」
その返事が、とても自然だった。
帰り道。
結愛は、ひまりちゃんの話ばかり。
でも。
優月は、静かに今日のスケッチブックを見ていた。
そこには。
公園。
シャボン玉。
笑う結愛たち。
そして。
隣で絵を見せ合う、自分と咲良ちゃん。
優月は、小さく呟く。
「なんか……友達できたかも」
その声が、少し嬉しそうだった。
夜。
優月は、新しいページを描き始める。
タイトルは――
『きらきらの友達』
その絵には。
二人の魔法少女。
そして。
その後ろで笑う、“二人のお姉ちゃん”が描かれていた。
山本家の夏は。
今日も、少しずつ広がっていた。




