友達ができる
夏休み。
ある晴れた午後。
結愛は、いつものように公園へ向かっていた。
もちろん――
変身済み。
リボン。
しゃもじ。
タオルマント。
完璧。
優月が苦笑いする。
「今日は誰守るの?」
結愛、真剣。
「へいわ」
スケールが大きい。
公園へ着く。
蝉の声。
青空。
子どもたちの笑い声。
その中で。
結愛は、いつものように変身ポーズ。
「きらりんっ☆ゆあぴか!!」
全力。
すると。
近くで遊んでいた女の子が、こちらを見ていた。
同じくらいの年。
帽子をかぶっている。
そして――
その子の手にも、おもちゃのステッキ。
結愛、停止。
相手の子も停止。
数秒。
風だけ流れる。
そして。
女の子が、小さく言った。
「……まほうしょうじょ?」
結愛の目、キラァッ。
「うん!!」
その瞬間。
二人の距離、ゼロ。
早い。
女の子の名前は――
ひまりちゃん。
結愛より少しお姉さん。
でも。
同じくらい魔法少女が大好きだった。
しかも。
向こうも変身していた。
ピンクのマント。
キラキラステッキ。
完成度高い。
結愛、感動。
「ほんものだ……」
優月、横で笑ってる。
数分後。
公園の一角で――
魔法少女ごっこ開幕。
「わるものがきた!!」
「たいへん!!」
二人、全力。
走る。
回る。
技名叫ぶ。
ただし。
技の8割は“笑顔になるビーム”。
平和。
優月は、ベンチでその様子を見ながら静かに笑っていた。
その時。
ひまりちゃんが結愛へ聞いた。
「ゆあぴかって、どんな魔法使えるの?」
結愛、胸を張る。
「にこにこにする!」
即答。
ひまりちゃん、少し笑った。
「いい魔法だね」
その瞬間。
結愛、超嬉しそう。
そのあと。
二人で砂場に“魔法基地”を作り始める。
城。
秘密トンネル。
プリン置き場。
なぜ。
途中。
結愛が転びそうになる。
でも。
ひまりちゃんが、とっさに手を掴んだ。
「大丈夫?」
結愛、少しびっくり。
それから。
小さく笑った。
「……ありがとう」
優月は、その姿を見ながら思っていた。
結愛って。
人を笑わせるのが上手だけど。
“誰かと一緒に笑う”のも、すごく好きなんだなって。
夕方。
帰る時間。
結愛は、少ししょんぼりしていた。
でも。
ひまりちゃんが言う。
「また会おうね、ゆあぴか!」
その瞬間。
結愛の顔が、ぱあっと明るくなる。
「うん!!」
そして。
しゃもじを掲げる。
「まほうしょうじょともだち!!」
周囲の子どもたち、ちょっと見る。
でも。
ひまりちゃんも笑いながらステッキを掲げた。
「またね!」
その光景が。
なんだかすごく眩しかった。
帰り道。
結愛は、ずっと嬉しそうだった。
「ともだちできた……」
その声が、宝物みたいだった。
優月が優しく聞く。
「楽しかった?」
結愛、全力で頷く。
「まほうみたいだった!!」
たぶん。
本当にそうなんだと思う。
好きなものを通して出会う友達って。
ちょっと奇跡みたいだから。
夜。
優月は、今日の絵を描いていた。
公園。
夕日。
しゃもじ。
ステッキ。
並んで笑う、“二人の魔法少女”。
タイトルは――
『ゆあぴかと、はじめてのなかま』
その絵は。
今までで一番、楽しそうに笑っていた。
その時。
結愛が、眠そうに呟く。
「ゆあぴか……ともだちできたぁ……」
その顔は。
今日一番、幸せそうだった。




