プリン絵本2
次の日。
朝から結愛は、ソワソワしていた。
理由はもちろん――
ぷりりんの続き。
朝ごはん中も落ち着かない。
「きょう、えほんする!?」
優月、笑う。
「するする」
その瞬間。
結愛、ガッツポーズ。
「やったぁぁ!!」
午前中。
リビングに、また“絵本制作セット”が並ぶ。
スケッチブック。
色鉛筆。
マーカー。
そして、今日もプリン。
もう完全に必需品。
優月は、昨日のページをめくりながら言った。
「今日は冒険の続き描こう」
結愛、真剣。
「ぷりりん、うみにいく!」
ということで。
第二章、“ゼリーの海編”スタート。
優月は、青い色鉛筆で大きな海を描き始めた。
キラキラの波。
ぷるぷるしてる海。
ゼリーだから。
その上を、小さなプリン船に乗ったぷりりんが進んでいく。
結愛、大興奮。
「かわいいぃぃ!!」
唯ちゃんは、横でストーリーを整理していた。
「ぷりりん、海で何に会うの?」
結愛、少し考える。
そして。
「ぷるぷるクラゲ!」
名前そのまま。
でも。
優月は、そのクラゲをすごく可愛く描いた。
丸くて、透明で、ちょっと眠そう。
その絵を見て、結愛が笑う。
「ねてる!」
物語は、どんどん広がる。
ぷるぷるクラゲは、迷子だった。
だから。
ぷりりんたちは、一緒におうちを探す。
優月は、絵を描きながら小さく言った。
「結愛って、“一緒に帰る”お話好きだよね」
すると。
結愛は、きょとんとして答える。
「だって、ひとりかわいそう」
その言葉に。
唯ちゃんが優しく笑った。
僕も、なんだか胸が温かくなる。
優しい子だなって思った。
午後。
絵本は、さらに進む。
クッキーの橋。
チョコの雨。
マシュマロ雲。
完全に夢の世界。
でも。
その中に、“山本家っぽさ”がちゃんとあった。
みんな笑ってて。
誰かが転んで。
誰かが助けて。
最後には、一緒にごはんを食べる。
そんな物語。
その時。
優月が、ふと手を止めた。
「最後、どうしよう」
結愛、真剣に考える。
数秒後。
「みんなでぷりんたべる!」
結局そこ。
優月、大爆笑。
唯ちゃん、お腹抱えてる。
僕も吹き出した。
でも。
優月は笑いながら、最後のページを描き始めた。
夕焼けの中。
ぷりりんたちが並んでプリンを食べてる絵。
下には、小さな文字。
『おいしいって、ひとりよりみんなのほうがうれしい。』
リビングが、少し静かになる。
結愛は、そのページをじっと見ていた。
そして。
嬉しそうに笑う。
「ぷりりん、たのしそう」
優月も、小さく笑った。
「うん」
その顔は、なんだか少し誇らしそうだった。
夜。
完成したページを並べて、みんなで読む。
結愛は、何回も同じところで笑う。
優月は、読まれるたび少し照れる。
唯ちゃんは、優しい顔でそれを見てる。
僕は思う。
絵本って。
“お話”だけじゃなくて。
作ってる時間そのものも、思い出になるんだなって。
その時。
結愛が突然言った。
「つぎ、らーめんのえほん!」
優月、即ツッコミ。
「食べ物シリーズなの?」
家族全員、大爆笑。
山本家の物語は。
まだまだ続きそうだった。




