星を見に
十二月の夜。
夕飯を食べ終わったあと。
優月が、学校でもらったプリントを持ってきた。
「ねえ、今日ふたご座流星群なんだって」
僕は驚く。
「今日なの?」
唯ちゃんも興味津々。
「見えるかなぁ」
すると。
結愛、即反応。
「ほし!!」
ということで。
急きょ、“流れ星を見に行こう大会”開催。
みんな、モコモコに着込む。
マフラー。
手袋。
ニット帽。
結愛なんて、ほぼ雪だるま。
車で少しだけ離れた、夜空が綺麗に見える丘へ向かった。
途中。
街の明かりが減っていく。
空が、どんどん暗くなる。
丘へ着くと。
空気はかなり冷たかった。
白い息がふわっと浮かぶ。
でも。
見上げた瞬間――
「わぁ……」
優月が、小さく声を漏らした。
夜空いっぱいの星。
いつもより、ずっと多い。
結愛なんて、口が開いたまま。
「きらきらぁ……」
僕たちは、レジャーシートを敷いて並んで座った。
静かな夜。
遠くの風の音。
そして。
広い空。
しばらくすると。
すぅっ――
一本、光が流れた。
「あっ!!」
優月が指差す。
結愛、数秒遅れて大騒ぎ。
「いまの!?いまの!?」
唯ちゃんも笑ってる。
そのあとも。
何本も流れ星が空を横切った。
短い光。
でも。
一瞬なのに、ちゃんと綺麗だった。
優月が、空を見ながらぽつりと言う。
「なんか不思議」
「ん?」
「すぐ消えるのに、ずっと覚えてる」
僕は、その言葉に静かに頷いた。
楽しい時間も。
綺麗な景色も。
一瞬だからこそ、心に残るのかもしれない。
その時。
結愛が急に叫ぶ。
「みえたぁぁ!!」
でも。
指差した先には飛行機。
優月、大爆笑。
唯ちゃん、お腹抱えてる。
結愛、納得いってない。
「ほしだったもん!」
しばらくして。
みんな静かになる。
ただ空を見ていた。
その時間が、なんだか心地よかった。
すると。
唯ちゃんが小さく言う。
「こうやって並んでるとさ」
「うん?」
「世界って広いのに、家族って近いね」
僕は、その言葉を聞きながら空を見る。
広い夜空。
数えきれない星。
その中で。
こうして同じ空を見上げている。
それって、すごく特別なことなのかもしれない。
その時。
流れ星が、空を長く横切った。
優月が、そっと目を閉じる。
お願い事をしたらしい。
僕は聞かなかった。
たぶん。
そういうのは、聞かない方が綺麗だから。
帰り道。
結愛は、車の中で半分眠りながら呟いた。
「おほしさま、いっぱいだった……」
僕は笑う。
「うん」
すると。
結愛が、小さな声で続ける。
「ぷりんのほし、なかった……」
家族全員、吹き出した。
たぶん。
宇宙のどこかには、あるかもしれない。




