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ラーメン

魚釣りから数日後。


外は、さらに寒くなっていた。


夕方。


結愛は、こたつで丸くなっている。


「さむいぃ……」


完全に猫。


優月は宿題中。


唯ちゃんは夕飯を考えながら冷蔵庫を見ていた。


その時。


僕のお腹が鳴った。


ぐぅぅ。


静かな部屋に響く。


優月、吹き出す。


「ぱぱのお腹、しゃべった」


すると。


結愛が突然立ち上がる。


「らーめん!!」


なんでそうなった。


でも。


その一言で、なぜか全員ラーメン気分になった。


ということで。


家族でラーメン屋さんへ行くことに。


夜のラーメン屋。


暖簾をくぐった瞬間。


湯気と、いい匂い。


結愛、もう幸せそう。


「いいにおいぃ……」


カウンターから聞こえる湯切りの音。


ジュワッという炒め音。


冬のラーメン屋って、なんだか特別だった。


席へ座ると。


結愛、メニューを真剣に見ている。


でも。


読めない。


優月が笑いながら教える。


「これは味噌」


「これは塩」


結愛、考える。


すごく考える。


そして。


「ぷりん!」


頼まない。


結局。


僕は醤油ラーメン。


唯ちゃんは味噌。


優月は塩ラーメン。


結愛は、お子さまラーメン。


数分後。


ラーメン到着。


湯気。


きらきら光るスープ。


結愛、拍手。


「きたぁぁ!!」


まずは一口。


ふーっ、ふーっ。


でも。


待ちきれず食べて――


「あっつぅぅ!!」


優月、大爆笑。


唯ちゃんまで笑ってる。


僕も吹き出した。


そのあと。


結愛は慎重にふーふーして食べ始めた。


「おいしい……」


すごく幸せそう。


優月は、塩ラーメンを食べながら言う。


「冬のラーメンって最強かも」


僕は頷く。


寒い日に食べる温かいものって。


なんでこんなに美味しいんだろう。


その時。


唯ちゃんが、僕のどんぶりを見る。


「またチャーシュー最後に食べるタイプだ」


バレてる。


優月、笑う。


「ぱぱ絶対そう」


すると。


結愛も真似する。


小さいチャーシューを、レンゲの上へ避難。


「たいせつ!」


家族全員、大爆笑。


途中。


隣の席の人が、大盛りラーメンを注文した。


超巨大。


結愛、目まんまる。


「やま……」


優月なんて笑い止まらない。


その時。


僕は、湯気の向こうのみんなの顔を見て思った。


冬って。


“あったかいものを一緒に食べる季節”なんだなって。


ラーメン。


鍋。


焼き芋。


そういう時間が、家族を近くするのかもしれない。


帰り道。


みんな、お腹いっぱい。


吐く息が白い。


結愛は、僕の手を握りながら眠そうに言う。


「またらーめんたべたい……」


僕は笑った。


「いいね」


すると。


結愛が、ふと思い出したように聞く。


「らーめんに、ぷりんいれるとおいしいかな」


家族全員、吹き出す。


優月なんて歩けなくなるほど笑ってる。


でも。


結愛は本気だった。


山本家の冬は。


今日も、笑い声であったかかった。


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