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誰かを喜ばせたい”って気持ちが、街中に増えるからなんだろう。

十一月の終わり。


街には、少しずつクリスマスの飾りが増えてきた。


駅前のイルミネーション。


お店のツリー。


流れてくるクリスマスソング。


結愛は、見るたび立ち止まる。


「ぴかぴかぁ……」


その日の夜。


みんなでスーパーへ行った帰り道。


大きなクリスマスツリーが飾られている広場を見つけた。


優月が、小さく声を漏らす。


「わぁ……」


金色の光。


赤いリボン。


ゆっくり点滅するイルミネーション。


結愛なんて、完全に目キラキラ。


「ほしみたい!」


僕たちは、少しだけ足を止めた。


冬の空気は冷たい。


でも。


光を見ていると、なんだか心があったかくなる。


その時。


結愛が突然聞く。


「さんたさんって、ほんとにいる?」


来た。


唯ちゃんと僕、目が合う。


優月も、少し気になってる顔。


僕は、少し考えるふりをした。


それから答える。


「“楽しみにしてる気持ち”のところに来るのかもね」


結愛、真剣。


「じゃあくる!」


即確信。


優月は、少し笑いながら聞く。


「ぱぱ、子どもの頃なにお願いしてた?」


僕は懐かしくなる。


「ゲームとか、自転車とかかな」


「ちゃんともらえた?」


「うーん……」


少し考える。


「でも、一番覚えてるのは、朝起きた時のワクワクかも」


その言葉に。


優月が小さく頷いた。


「わかる気がする」


家へ帰ると。


結愛が突然、画用紙を持ってきた。


「おてがみかく!」


サンタさんへの手紙らしい。


優月も、一緒に書き始める。


リビングは、静かな“作戦会議”みたいだった。


数十分後。


完成。


結愛の手紙。


『さんたさんへ

ぷりんください

あとぺんぎん』


欲望が素直。


優月の手紙は、少し長かった。


『家族みんなが元気でいますように。

あと、新しい絵の具セットがほしいです。』


僕は、その文章を見て少し胸が温かくなった。


優月って。


本当に優しい子だなって。


夜。


寝る前。


結愛が窓の外を見ながら聞く。


「さんたさん、そらとんでるかな」


僕は笑う。


「準備してるかもね」


結愛は、嬉しそうに布団へ入る。


その横で。


優月がぽつりと言った。


「クリスマスって、不思議だね」


「ん?」


「寒いのに、あったかい」


僕は、その言葉に静かに頷いた。


たぶん。


“誰かを喜ばせたい”って気持ちが、街中に増えるからなんだろう。


その時。


結愛が、眠そうな声で言った。


「さんたさん……おすしもすきかな……」


家族全員、吹き出した。


結局。


結愛の世界は、食べ物中心だった。


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