表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
147/302

それは、まだ誰も食べたことない。

十一月のある金曜日。


夜。


僕が仕事から帰ると。


結愛が、なぜかソワソワしていた。


「ぱぱ!」


「ん?」


「きょうね!」


すごい勢い。


「おすし!」


……なんの話。


すると。


優月が笑いながら説明してくれた。


「今日、学校で“好きな食べ物”の話してたんだって」


なるほど。


結愛、胸を張る。


「ゆあ、おすしたべたい!」


唯ちゃんが笑った。


「じゃあ、みんなで行っちゃう?」


その瞬間。


結愛、ジャンプ。


「やったぁぁ!!」


ということで。


急きょ、家族で回転寿司へ行くことになった。


夜の回転寿司。


明るい店内。


流れていくお皿。


結愛、入った瞬間から大興奮。


「まわってるぅぅ!!」


優月も、ちょっと嬉しそう。


「なんか久しぶりだね」


席に座ると。


結愛、タッチパネル連打しそうになる。


「まってまって!」


僕、慌てて止める。


危うくプリン十個注文。


唯ちゃん、大笑い。


最初に来たのは、たまご寿司。


結愛、真剣な顔で食べる。


もぐもぐ。


数秒後――


「おいしぃぃ……」


幸せそう。


優月は、サーモンを食べながら笑った。


「お寿司って、なんか特別感あるよね」


たしかに。


同じ外食でも、“今日は楽しい日”って感じがする。


その時。


注文したお寿司が高速レーンで到着。


ビューン。


結愛、びっくり。


「はやっ!!」


取ろうとして焦る。


でも。


勢い余って醤油こぼす。


「あぁぁ!!」


優月、笑い崩れる。


唯ちゃん、慌てて拭いてる。


僕まで吹き出した。


やっぱり山本家だった。


途中。


優月が、小さく僕へ聞く。


「ぱぱは何が好き?」


僕は少し考える。


「えんがわかな」


すると。


結愛が真顔。


「おとなだ……」


なんで。


優月、大爆笑。


そのあと。


みんなでデザートタイム。


結愛、もちろんプリン。


迷いゼロ。


しかも。


運ばれてきた瞬間、拍手してる。


「ぷりんきたぁぁ!!」


周りのお客さんまで少し笑ってた。


でも。


結愛は気にしない。


超真剣に食べてる。


その横で。


優月が、ふと小さく言った。


「なんかさ」


「ん?」


「こういう普通の日、好き」


僕は、その言葉を聞いて少し嬉しくなった。


特別な旅行じゃなくても。


大きなイベントじゃなくても。


みんなで笑って。


同じテーブルを囲む。


それだけで、“いい日”になる。


家族って、そういうものなのかもしれない。


帰り道。


外は少し寒かった。


でも。


みんな、お腹いっぱいでぽかぽかしてる。


結愛は、僕の手を握りながら眠そうに呟いた。


「また、おすしたべたい……」


僕は笑った。


「いいね」


すると。


結愛、半分寝ながら続ける。


「つぎは……ぷりんのおすし……」


家族全員、大爆笑。


たぶん。


それは、まだ誰も食べたことない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ