表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
146/302

山本家の笑い声が、ふわっと広がっていった。

十一月。


朝、布団から出るのが少しずつ大変になってきた。


結愛なんて。


布団にくるまったまま言う。


「さむいから、きょうおやすみ……」


まだ小学生。


優月は、眠そうに笑ってる。


「冬眠するクマみたい」


唯ちゃんは、温かいスープを作りながら言った。


「ちゃんと起きてくださーい」


そんなある日。


庭のパンジーに、小さなつぼみができていた。


結愛、大発見した顔。


「できてる!!」


優月も駆け寄る。


ほんの小さなつぼみ。


でも。


ちゃんと“これから咲く”って感じがした。


唯ちゃんは、その花を見ながら優しく笑う。


「寒くなっても、ちゃんと育つんだね」


僕は、その言葉を聞きながら思った。


植物って不思議だ。


暖かい時だけじゃなくて。


寒い中でも、ちゃんと次の準備をしてる。


その週末。


みんなで公園へ行った。


紅葉がすごく綺麗だった。


赤。


黄色。


オレンジ。


風が吹くたび、葉っぱが舞う。


結愛は、落ち葉を集め始める。


「みてぇ!」


両手いっぱい。


でも。


途中で全部落とす。


優月、大爆笑。


唯ちゃんまで笑ってる。


その時。


優月が、静かに空を見上げながら言った。


「葉っぱって、なんで落ちるんだろ」


僕は少し考える。


すると。


唯ちゃんが答えた。


「また春に、新しい葉っぱを作るためかな」


優月は、落ちてくる葉っぱを見つめながら小さく頷いた。


「そっか」


その横で。


結愛が突然。


「じゃあ、ぷりんもおちる?」


もう全部プリン基準。


家族全員、吹き出した。


帰り道。


焼き芋屋さんを発見。


あの懐かしい音。


「い〜しや〜きいも〜」


結愛、即反応。


「たべる!!」


ということで。


みんなで焼き芋タイム。


湯気。


甘い匂い。


寒い空気の中で食べると、すごく美味しかった。


優月が、小さく言う。


「冬って寒いけど、あったかいね」


僕は笑った。


「どっちだろうね」


優月は、焼き芋を持ちながら続ける。


「だって、みんな近くなる」


その言葉に。


僕は少し驚いた。


たしかに。


寒い季節って。


自然と、みんな同じ場所へ集まる。


温かいご飯。


温かい部屋。


温かい笑い声。


冬って、“近くなる季節”なのかもしれない。


その時。


結愛が、熱々の焼き芋を慌てて食べて――


「あっつぅ!!」


口ぱたぱた。


優月、笑い崩れる。


唯ちゃん、涙出るほど笑ってる。


僕まで吹き出した。


秋の終わりの空に。


山本家の笑い声が、ふわっと広がっていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ