どの季節でも、結愛は結愛だった。
十月の終わり。
町は、少しずつハロウィン色になっていた。
スーパーにはかぼちゃ。
お店にはオレンジ色の飾り。
結愛は、見るたび大興奮。
「おばけぇぇ!」
怖がってるのか楽しんでるのか分からない。
ある日の夜。
優月が学校のプリントを持って帰ってきた。
「ねえ、今年ハロウィンパーティーするんだって」
結愛、即反応。
「へんしんする!?」
その一言で。
山本家ハロウィン計画、開始。
数日後。
みんなで仮装を考える会議。
優月は、少し悩みながら言った。
「魔法使いとかいいかも」
似合いそう。
結愛は――
「ぺんぎん!」
ブレない。
唯ちゃんは、笑いながら黒猫のカチューシャを見ていた。
僕は聞く。
「じゃあ僕は?」
すると。
優月と結愛、同時に言う。
「かぼちゃ!」
即決。
なんで。
ハロウィン当日。
家の中は大騒ぎだった。
優月は、黒い帽子をかぶった小さな魔法使い。
結愛は、まんまるペンギン。
歩き方まで真似してる。
唯ちゃんは、黒猫姿。
そして僕は――
巨大かぼちゃ。
鏡見て自分でも笑った。
「なんか納得いかない……」
優月、笑い崩れる。
結愛なんて床転がってる。
夕方。
近所の子どもたちも集まって、小さなハロウィンパーティー開始。
「トリックオアトリート!」
結愛、元気すぎる。
でも。
お菓子もらうたびに言う。
「ありがとぉ!」
礼儀正しいペンギン。
優月は、友達と笑いながら写真を撮っていた。
その顔が、すごく楽しそうだった。
夜。
家へ帰ると。
みんなで戦利品チェック。
机の上、お菓子だらけ。
結愛、目キラキラ。
「たからもの……」
その時。
優月が、結愛へ小さなチョコを渡す。
「これ、結愛好きそうだったから」
結愛、びっくり。
「くれるの!?」
「うん」
結愛は、嬉しそうにぎゅーっと抱きついた。
「だいすき!」
優月、ちょっと照れてる。
その光景を見ながら。
僕は思った。
優月って。
本当に“優しいお姉ちゃん”になったなって。
夜遅く。
仮装を片付けながら。
唯ちゃんが笑った。
「なんか、イベント増えたねぇ」
僕は頷く。
「うん」
昔は、普通の日だった季節も。
子どもたちがいると、“特別な日”に変わっていく。
その時。
結愛が眠そうな顔で聞く。
「つぎは、くりすます?」
早い。
優月、大爆笑。
唯ちゃんも笑ってる。
でも。
結愛は本気だった。
「さんたさん、くるかなぁ」
僕は、そのキラキラした目を見ながら笑った。
「来るかもね」
すると。
結愛、小声で言った。
「ぷりん、たのも……」
家族全員、吹き出した。
結局。
どの季節でも、結愛は結愛だった。




