ちゃんと次へ繋がっていくんだろうなって。
九月の終わり。
少しずつ、風が涼しくなってきた。
庭のひまわりも、夏の頃とは少し違う顔をしていた。
大きく咲いていた花びらが、ゆっくり色を変え始めている。
結愛は、その前でしょんぼり。
「げんきない……」
唯ちゃんが、優しく隣にしゃがむ。
「いっぱい頑張ったからだね」
結愛は、ひまわりをじっと見上げていた。
「もうおわり?」
その声は、少し寂しそうだった。
すると。
優月が、花を見ながら静かに言う。
「でも、“終わる”って悪いことじゃないよ」
結愛が振り向く。
優月は続けた。
「いっぱい咲いたから、次ができるんだと思う」
僕は、その言葉に少し驚いた。
優月。
いつの間にか、こんなこと言うようになったんだな。
その日の午後。
みんなで、枯れ始めた花を少し整理することになった。
夏の終わりを片付けるみたいで、少し切なかった。
でも。
その中で。
優月が、小さな種を見つける。
「これ……ひまわりの種?」
唯ちゃんが笑う。
「来年用だね」
結愛、目キラキラ。
「またさく!?」
「うん。また咲くよ」
その瞬間。
結愛の顔が、ぱぁっと明るくなった。
「やったぁ!」
その姿を見ながら。
僕は思う。
終わることって。
“なくなる”だけじゃない。
次へ繋がっていくことなんだなって。
夕方。
みんなで、種を小さな袋へ入れる。
結愛、超真剣。
でも。
途中で半分こぼす。
「あぁー!」
優月、大爆笑。
唯ちゃんまで笑ってる。
僕も手伝いながら笑った。
その時。
優月がぽつりと言う。
「なんか不思議」
「ん?」
「春は小さかったのに、ちゃんと大きくなった」
僕は頷く。
「うん」
優月は、種を見つめながら続けた。
「人も、こんな感じなのかな」
その言葉を聞いて。
僕は、優月と結愛を見る。
少し前まで、小さかった二人。
でも。
気づけば。
言葉も。
笑い方も。
優しさも。
ちゃんと育っている。
植物みたいに。
ゆっくり。
でも確かに。
その時。
結愛が突然。
「らいねんは、ぷりんうえる!」
家族全員、大爆笑。
唯ちゃん、笑いながら言う。
「プリンは育たないかなぁ」
結愛、真剣。
「なんでぇ!?」
そのやり取りが可笑しくて。
みんなでずっと笑っていた。
秋の風が吹く。
庭のひまわりが、ゆっくり揺れる。
僕は、その景色を見ながら思った。
きっと。
家族の時間も同じだ。
季節みたいに変わっていく。
でも。
ちゃんと次へ繋がっていくんだろうなって。




