一人じゃ倒れそうでも、誰かが支えてくれると立てる」
それから数日後。
夕方。
庭に出ると、ひまわりがさらに大きくなっていた。
空へ向かって、まっすぐ伸びている。
結愛は、その前で背伸び。
「ぬかされた……」
勝負してたらしい。
優月、大爆笑。
唯ちゃんは、咲き始めたラベンダーを嬉しそうに見ていた。
風が吹くたび、ふわっと優しい香りがする。
「いい匂い」
僕が言うと。
唯ちゃんは、少し照れながら笑った。
「毎日見てたら、愛着わいちゃった」
その言葉を聞いて。
僕は、庭を見回した。
小さかった苗たち。
毎日水をあげて。
虫がついて慌てて。
「大きくなった!」って喜んで。
そうやって過ごしてるうちに。
いつの間にか、“家族の一部”みたいになっていた。
その時。
優月が急に聞く。
「ねえ」
「ん?」
「なんで、植物ってちゃんと上向くんだろ」
僕は少し考える。
すると。
唯ちゃんが優しく答えた。
「太陽探してるのかもね」
優月は、そのひまわりを見上げながら小さく頷いた。
「そっか」
その横で。
結愛が真剣な顔。
「ぷりんも?」
「なにが?」
「ぷりんも、おひさますきかな」
家族全員、吹き出す。
もう何でもプリンに繋がる。
その日の夜。
突然、雨が降った。
かなり強い雨。
風まで吹いている。
結愛は、窓の外を見ながら心配そう。
「おはな、だいじょうぶかな……」
優月も少し不安そうだった。
僕は笑う。
「きっと大丈夫」
でも。
次の日の朝。
庭へ出ると――
ひまわりが一本、少し傾いていた。
結愛、ショック。
「ひまわりぃ……」
唯ちゃんも、そっと近づく。
茎は折れてない。
でも。
風に負けたみたいに曲がっていた。
その時。
優月が、支柱を持ってきた。
「これで支えよう」
みんなで作業開始。
僕が支えて。
唯ちゃんが紐を結んで。
優月が角度を見る。
結愛は――
「がんばれー!」
応援係。
数分後。
ひまわり、復活。
まっすぐ立った。
結愛、大喜び。
「なおったぁ!!」
優月も、安心した顔で笑っていた。
その時。
唯ちゃんがぽつりと言う。
「人も同じかもね」
僕が聞き返す。
「ん?」
「一人じゃ倒れそうでも、誰かが支えてくれると立てる」
その言葉に。
みんな少し静かになる。
風で揺れるひまわり。
支えられながら、また空を向いている。
僕は、その姿を見ながら思った。
家族って。
こういうことなのかもしれない。
元気な時だけじゃなくて。
ちょっと傾いた時に、そっと支えること。
それがあるから。
また前を向けるんだろうなって。
その時。
結愛が突然。
「ゆあも、ひまわりささえる!」
そして。
ひまわりに抱きつく。
「ちがうちがう!!」
優月、笑い崩れる。
唯ちゃん、お腹抱えてる。
結局。
最後はみんなで笑っていた。
でも。
その笑い声の中で、ひまわりは気持ちよさそうに揺れていた。




