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入学先の翌日

入学式の翌日。


結愛、人生初の“小学生だけで登校”の日。


朝。


家の中は、ちょっとそわそわしていた。


結愛は、新しいランドセルを背負って鏡の前。


「へんじゃない?」


唯ちゃんが笑う。


「かわいいよ」


優月も、制服を整えながら頷いた。


「ちゃんと一年生!」


結愛、嬉しそう。


でも。


朝ごはん中。


急に静かになった。


パンを持ったまま、小さな声で言う。


「……ちゃんといけるかな」


僕は、その不安そうな顔を見て、少し胸がきゅっとなった。


優月が、すぐ隣へ座る。


「だいじょうぶ」


「ほんと?」


「うん」


優月は、少し得意げに笑った。


「わたしも最初ドキドキしたもん」


結愛は、じっと優月を見る。


優月は続けた。


「でもね、いってみたら楽しかった」


その言葉に。


結愛の顔が、少しだけ安心した。


家を出る時間。


玄関で靴を履きながら、結愛が深呼吸する。


僕と唯ちゃんは、なんだか自分たちまで緊張していた。


優月が、結愛の手を取る。


「いこっか」


「うん!」


その瞬間。


なんだかすごく頼もしく見えた。


家の前。


小学生たちの列。


結愛は、優月の隣をぴったり歩いている。


何回も後ろを振り返る。


僕たちは手を振る。


その小さな背中が、少しずつ遠くなっていく。


唯ちゃんが、小さく呟いた。


「なんか泣きそう」


僕も、同じ気持ちだった。


昼過ぎ。


玄関のドアが勢いよく開く。


「ただいまぁぁ!!」


帰ってきた。


しかも。


超笑顔。


ランドセル投げそうな勢い。


「どうだった!?」


僕と唯ちゃん、同時に聞く。


結愛は、息を切らしながら叫ぶ。


「たのしかったぁ!!」


その瞬間。


家の空気が、一気に安心でいっぱいになった。


結愛は、興奮しながら話し始める。


新しい友達。


席。


先生。


給食。


全部。


キラキラした顔で話す。


優月は、その様子を見ながら優しく笑っていた。


「よかったね」


結愛は、突然ランドセルを開ける。


「みて!」


中から出てきたのは。


折り紙で作った、ちょっといびつな星。


「おともだちがくれた!」


大事そうに握っている。


僕は、その小さな星を見ながら思った。


学校って。


勉強だけじゃなくて。


こうやって、“世界”が広がっていく場所なんだなって。


夜。


寝る前。


結愛が布団の中でぽつりと言った。


「しょうがっこう、ちょっとこわかった」


僕は静かに聞く。


「うん」


「でもね」


結愛は、小さく笑った。


「たのしかった!」


その笑顔を見て。


僕も笑った。


怖くても。


不安でも。


ちゃんと一歩踏み出せた。


それだけで、すごいことだと思った。


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