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家族の時間

年末。


町は少し慌ただしくなっていた。


スーパーでは、お正月の曲。


テレビでは特番。


そして山本家では――


大掃除。


結愛、開始五分で飽きる。


「つかれたぁ」


まだ何もしてない。


優月は、一生懸命本棚を整理していた。


僕は窓ふき担当。


唯ちゃんはキッチン。


でも。


気づくと。


結愛が、雑巾で床を滑っていた。


「しゅーーー!」


遊んでる。


しかも楽しそう。


優月まで笑って参加。


結果。


大掃除なのか運動会なのか分からなくなった。


その途中。


優月が、本棚の奥から一冊のノートを見つけた。


「これなに?」


見ると。


昔、唯ちゃんが書いていた“子育て日記”だった。


「えっ、まだあったの!?」


唯ちゃん、びっくり。


みんなで読む流れになる。


最初のページ。


『優月、はじめて笑った日』


『夜泣きで寝不足。でもかわいい』


『今日も家族で笑った』


優月は、静かに読んでいた。


結愛は途中から絵ばっか見てる。


僕は、隣でなんだか胸が熱くなった。


日記には。


大変だった日も書いてあった。


ケンカした日。


疲れて泣きそうだった日。


うまくいかなかった日。


でも。


最後にはいつも。


『でも、家族で笑えた』


って書いてあった。


優月が、小さく言う。


「まま、がんばってたんだね」


唯ちゃんは、少し照れながら笑う。


「みんなでね」


その時。


結愛が突然。


「ゆあもにっきかく!」


数分後。


完成。


『きょう

ぷりんたべた』


通常運転。


でも。


家族全員、笑ってしまった。


夜。


掃除も終わって、みんなでこたつに入る。


みかん。


テレビ。


ぬくぬく。


結愛は、みかん食べすぎてほっぺパンパン。


優月は、静かに窓の外を見ていた。


「もう一年おわるんだね」


僕は頷く。


「あっという間だったね」


優月は、少し笑った。


「でも、いっぱいあった」


その言葉を聞いて。


僕は思う。


たしかに。


特別なことばかりじゃなかった。


でも。


笑った日。


泣いた日。


ケンカした日。


全部ちゃんと、“家族の時間”だった。


その時。


結愛が突然、みかん持ちながら宣言。


「らいねんも、いっぱいわらう!」


僕と唯ちゃん、顔を見合わせる。


そして笑った。


「うん」


きっと。


来年も。


転んだり。


泣いたり。


くだらないことで笑ったりするんだろう。


でも。


それでいい。


そういう毎日が、幸せなんだと思った。


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