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「だって、“これほしい”って言ったの、ちゃんと覚えてくれてる」

クリスマスイブ。


朝から、家の中はそわそわしていた。


結愛なんて、六時起床。


早い。


「サンタさんくる!?」


まだ来てない。


優月は、眠そうに笑いながら髪を結んでいた。


「夜だよー」


でも。


本人もちょっと嬉しそう。


その日は、みんなでクリスマスの準備。


唯ちゃんはケーキ作り。


優月は飾りつけ。


結愛は――


生クリーム味見係。


つまみ食い係とも言う。


「ちょっとだけ!」


全然ちょっとじゃない。


僕はチキン担当。


……だったんだけど。


オーブンの時間を間違えた。


「あっ」


嫌な予感。


数分後。


ちょっと焦げた。


優月、大爆笑。


「ぱぱ、またやった!」


唯ちゃん、笑いながらフォロー。


「これは“香ばしい”って言うんだよ」


優しい。


夕方になると。


部屋のライトを少し暗くして、ツリーを光らせた。


テーブルには、料理。


ケーキ。


ジュース。


結愛は、待ちきれなくて椅子ぴょんぴょんしてる。


「まだー!?」


「写真撮ってから!」


毎年恒例。


家族写真。


タイマーセット。


みんな並ぶ。


その瞬間。


結愛、変顔。


「なんでぇ!?」


優月、笑い崩れる。


結果。


今年のクリスマス写真もカオスだった。


でも。


その写真の中のみんなは、すごく楽しそうだった。


夜。


プレゼントを枕元へ置く時間。


優月は、少しだけ気づいてる年頃。


でも。


何も言わない。


結愛は、完全に信じてる。


『サンタさんへ

ぷりんください』


という手紙まで置いてあった。


難題。


翌朝。


まだ外が暗いうちから――


「きたぁぁぁ!!」


結愛の叫び。


家中に響く。


僕、飛び起きる。


リビングへ行くと。


優月も結愛も、プレゼント抱えて目をキラキラさせていた。


「みて!!」


結愛は、大きなペンギンのクッション。


優月は、ずっと欲しがっていた画材セット。


優月は、箱を開けながら小さく言った。


「……うれしい」


その顔が。


なんだかすごく綺麗だった。


結愛は、ペンギンクッションへ話しかけてる。


「ともだち!」


即友達認定。


朝ごはんを食べながら。


優月が、ふと僕へ聞いた。


「ねえ」


「ん?」


「サンタさんってさ」


「うん?」


「“好き”を覚えててくれる人なのかもね」


僕は、その言葉に少し驚いた。


優月は続ける。


「だって、“これほしい”って言ったの、ちゃんと覚えてくれてる」


僕は笑った。


「そうかもね」


たぶん。


サンタって。


“誰かを喜ばせたい”って気持ちのことなんだろう。


その時。


結愛が突然。


「サンタさん、ぷりんわすれてた!」


家族全員、大爆笑。


完全に食い意地が勝ってた。


でも。


笑い声でいっぱいの朝だった。


窓の外には、冬の光。


部屋の中には、温かい空気。


僕は思う。


こういう朝を。


きっと、一生忘れないんだろうなって。


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