表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
117/302

今年のサンタ、困りそうだった。

十二月。


町はイルミネーションでキラキラしていた。


コンビニに入るとクリスマスソング。


スーパーには大きなケーキのポスター。


結愛は毎回立ち止まる。


「これたべたい!」


全部。


欲望に正直。


そんなある日。


優月が学校から、少し大きな紙袋を持って帰ってきた。


「ただいまー!」


なんだか嬉しそう。


中から出てきたのは――


手作りのリース。


松ぼっくりやリボンで飾られた、小さなクリスマスリースだった。


「わぁ……!」


唯ちゃんが目を輝かせる。


優月は少し照れながら言った。


「家にかざろうと思って」


僕は、その言葉だけでなんだか嬉しくなった。


“家に飾りたい”って思える場所になってるんだなって。


結愛は、リースを見ながら真顔。


「おいしそう」


食べ物じゃない。


その日の夜。


みんなでクリスマスツリーを出した。


箱を開けた瞬間。


結愛、テンション爆発。


「きたぁぁ!!」


飾り付け開始。


優月はバランスよく飾っていく。


唯ちゃんは、写真係。


僕は――


脚立係。


でも。


案の定。


飾りを取ろうとしてバランス崩す。


「あっ」


グラッ。


優月、即ツッコミ。


「ぱぱー!!」


結愛、大爆笑。


唯ちゃん、もう笑いすぎて写真ブレてる。


結局。


今年も安定の“転びそう担当”だった。


でも。


みんな笑ってる。


それだけで、なんだか楽しかった。


ツリーが完成すると。


部屋が一気にクリスマスになった。


ライトが、ぽわっと光る。


結愛は、床に座って見上げていた。


「きれぇ……」


優月も、その隣で静かに笑っている。


その時。


優月がぽつりと言った。


「なんかさ」


「うん?」


「毎年クリスマスくるの、うれしい」


僕は笑った。


「なんで?」


優月は少し考えてから言う。


「みんな、いっぱい笑うから」


その言葉に。


唯ちゃんが優しく微笑んだ。


僕も、静かに頷く。


たしかに。


この季節は、家族で過ごす時間が増える。


ケーキ食べて。


プレゼント悩んで。


一緒に笑う。


その“当たり前”が、きっと幸せなんだ。


夜。


子どもたちが寝たあと。


僕と唯ちゃんは、光るツリーを見ながら温かいコーヒーを飲んでいた。


唯ちゃんが、小さく言う。


「優月、大きくなったね」


「うん」


「結愛も」


僕は、静かに笑った。


本当に。


少しずつ。


ちゃんと成長してる。


でも。


今みたいに、みんなでツリー囲んで笑う時間は。


ずっと覚えていたいと思った。


その時。


寝室から声。


「……ぷれぜんとは……ぷりん……」


結愛、寝言でサンタ交渉してた。


僕と唯ちゃん、吹き出す。


今年のサンタ、困りそうだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ